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令和6年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(web3)ワークショップ
令和6年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(web3)を開催しました。
ワークショップ
「ファシリテーターは教えない
~体験ファームではなく教育ファームに~」
赤間 倫子氏
神奈川県鎌倉保健福祉事務所 三崎センター 生活衛生課 主査
私は北里大学獣医畜産学部を卒業後、小動物の動物病院に勤務しました。現在は神奈川県の職員として保健所や食肉衛生検査所、家畜衛生保健所等で働いています。
ファシリテーターとは?
ファシリテーターとは「先生」に代わって、参加者主体の学びを促進、容易にする人です。理想は、参加者と同じ目線に立ち、全体をよく見て、場のエネルギーをうまく活性化させることです。特に参加者主体の学びを引き出す、促進させるということが重要です。
皆さんはただの「ファシリテーター」ではなく「酪農教育ファームファシリテーター」です。酪農教育ファーム活動のねらいは「酪農を通して、食やしごと、いのちの学びを支援する」ことにあります。「教える」ではなく「支援する」ということがポイントです。
では「教える」と「支援」の違いは何でしょうか。「教える」は「一方通行的な知識伝達」、「支援」は「参加者の興味や意欲を引き出す」ことです。子どもたちが疑問に思ったことを引き出していき、こちらの伝えたいことに興味を持たせるように、上手く引き出していくことがファシリテーターには必要です。
引き出すってなんだろう?「教えられる」と「引きだされる」を比べる
豚を題材に「教えられる(授業形式)」と「引き出される(ワークショップ形式)」の2つを体験してもらいます。
2つを体験して、どういう違いがあるかを比較してください。
教えられる(授業形式):豚について授業の様に講師の話を座って聞く
引き出される(ワークショップ形式):自己紹介した後、講師から投げかけられた豚の質問について考え、それを共有
「教えられる」を体験して
■説明的
■興味がなければ記憶に残らない
■つまらない
■一方通行
「引き出される」を体験して
■考えるから、興味が出る
■記憶に残る
■引き出す方の話し方で聞きたくなるかも
■知識がないとわからない
「引き出す」でやったこと
場づくり…話しやすい雰囲気を作る
問いかけ…知ってほしいことを問う
考えてもらう…考えて気づいてもらう
共有…さらなる気づきを導く
振り返り…今日の気づきを確認する
牧場で体験をして「楽しかった」で帰るのも良いですが、体験をして、考え・共有し、振り返って学ぶと、帰った後の生活にちょっとした変化をもたらしてくれると思います。「いただきます」と言う時に皆さんの顔が浮かぶなど、ちょっとした変化かもしれませんが、年を重ねるにつれ大きな変化になり、酪農の発展につながっていくきっかけになると思います。体験だけではなく、学びにつながるような体験を意識していただければと思います。
ファシリテーターのコツ!傾聴体験!
2組になって話し手と聴き手に分かれ、話を聴く体験をします。
聴き手の人は、1回目は相手の話に相槌などを打たず、聴いている間無視し続けてください。2回目は相槌などを打ち、相手の目を見て話を聴いてください。
話し手が1回目と2回目の感じたこと
1回目(相槌がなかった):
■話に興味があるのかなぁ…と思った
■話していてツライ
■孤独感がある
■雰囲気が悪い
■焦る
■話し方が悪いかな?と思った(どうしたら聞いてもらえるかな)
2回目(相槌があった):
■共感してくれているのがわかる
■話しやすい雰囲気
■時間が経つのが早い
■ストレスがない
1回目の相槌がない方は、話していてツライ気持ちになったり、焦ったりという気持ちが出ました。特にどうすれば話を聞いてもらえるのかを考えたと言うことも出ましたが、これは、子どもたちにそういう気持ちにさせてしまう可能性があるということです。ファシリテーターとして、子どもたちにそのような気持ちになって欲しくはありません。
話を「よく聞く」、傾聴することはとても大切です。傾聴とは、自分の意見を挟んだり、否定をしたりせず、相手の立場に立って共感して聴くことです。共感も大事なワードで、相手の考え方、状況を相手の心の基準で理解をしようとすることです。相手の文脈で最後まで話を聴く、うなずいて言葉を繰り返すことで相手は理解してくれていると思い、話しやすくなってもっと話してくれます。また、周りにいる人も話すようになり、場の雰囲気が良くなります。ファシリテーターは場を作ることがとにかく大事なので、そのために話を聴く、共感することを意識していただければと思います。
酪農体験ファームの「プログラム」を考える
酪農体験には搾乳、ブラッシング、給餌など、いろいろな体験があります。しかし体験だけをするなら、それは「酪農体験ファーム」だと思います。皆さんが行っているのは「酪農教育ファーム」です。
人は体験から学ぶと良く聞きますが、体験だけだと忘れてしまっていることが多いと思います。個人差はあると思いますが、自分の子どもをみていると、小さい時にしたいろいろな体験を忘れています。
プログラムを作る方法もいろいろありますが、ひとつの方法として、まず「ねらい」や「問い」を考えます。何を学んでもらいたいかを決め、それを学んでもらうために、どんな「問い」をすれば良いか、質問をしてもらえるような環境を作るためにはどうすれば良いか。そして、その「ねらい」や「問い」に促すための「体験」「観察」をして、「考えて」「学ぶ」ような流れが出来れば良いのかなと思います。
「プログラム」を考える時の3ステップ
ステップ1:「ねらい」を考える
ステップ2:「問い」を考える
ステップ3:
「タイムスケジュール」を考える
設定:
牧場に親子が体験に来ます
1.50頭のつなぎ牛舎
2.小学生(5、6年生)15人と
その親
3.2時間
参加者が考えた「ねらい・問い・タイムスケジュール」
Aグループ
ねらい:「食育・いただきますの意味を考える」
問 い:「いただきますについてどう思う?」
タイムスケジュール:
1.注意事項・ルールの説明(10分)
2.問いかけ「いただきますについてどう考えている?」
3.牛舎を見て回って牛の大きさなど見てもらう・搾乳体験(30分)
4.牛の一生の話・哺乳体験(30分)
5.放牧地を散歩
6.全体の共有、まとめ・問い「「いただきます」はご飯を作ってくれているお母さんだけではなく、酪農家や牛のいのちにも関わっているかな?」
搾乳をしたり、哺乳をしたりといろいろな経験が出来そうなプログラムだと思います。1つアドバイスできるとしたら、最初の問いかけをきちんと言うことです。「問い」をしっかり伝えることにより、その後の体験で見るものが変わってくると思います。体験や話を聴く場面が多そうなので、どういった質問や問いかけをするかが大事です。
例えば、「いただきますの意味はなんだろう?ご飯を作ってくれてありがとう以外のいただきますはあるかな?」、「いただきますは誰に言っている?」などでしょうか。いただきますを牛に対して言っているとしたら、「牛のどこにいただきますを言うかな?」と思って、見学をしたり、牛に触れたりすると見方が変わると思います。
「問い」かけをしてから体験をしてもらうことを心がけて活動をしていただければと思います。
最後に
子どもたちに対してやることは、まず質問をしやすい場を作ること。そこから問いかけ、引き出して、考えもらって気づいてもらう。そうやって体験したことを身に着けていってもらいたいと思います。生産現場を見ることによって、酪農を好きになって応援したい!という気持ちに、子どもたちだけではなく、親も含めてなってもらえれば良いと思います。
ちょっとした子どもたちの気持ちの揺れが、成長とともに大きな揺れになっていくと思うので、皆さんの牧場ですてきな酪農教育ファーム活動を続けてもらえれば良いと思います。
神奈川県鎌倉保健福祉事務所 三崎センター 生活衛生課 主査 赤間 倫子氏
2006年 北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業
〃 犬猫動物病院
2008年 神奈川県入庁/三崎保健福祉事務所
2013年 食肉衛生検査所
2019年 県央家畜保健衛生所
2023年 食肉衛生検査所
2024年 鎌倉保健福祉事務所三崎センター
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