スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             







千葉県館山市で須藤裕紀・陽子夫妻そして父・裕氏の3人を柱に経営。小学校に通う3人の子供たちも一丸となり、良い牛乳を提供できる酪農を基本に、誰もが気軽に集える「ふれあい牧場」作りを推進。多くの消費者との交流を通じて、酪農や牛乳のPRにも積極的に取り組んでいます。









牛にふれているともっともっと酪農のことが知りたくなります。








乳脂肪分が違ってもおいしさは変わらないんですね。







自然や牛乳のことをたくさん勉強になりました。須藤さんありがとう。






谷川/牧場って広くて気持ちいいですね。こんな素晴しい環境なら牛も元気で、お乳をいっぱい出してくれますよね。


須藤/もちろん、おいしいお乳をたっぷり出しますよ。でも本来、乳牛の出すお乳には季節の波があるんです。ホルスタイン種という乳牛はもともと北方系の品種なので、暑さに弱く、夏場になると泌乳(乳を出す)量が減ってしまうのです。また乳脂肪分も低下してしまいます。


谷川/えっ、つまり牛乳にも季節があると言うことなんですか。初めて聞きました。


奥様/牛のお乳は本来、子牛を育てるためのものですが、暑い夏には乳脂肪分が低下し、反対に冬は乳脂肪などが多くなるんです。だから、牛乳が季節で変化するのは当然のことなんです。


谷川/なるほど、牛の生理を考えれば自然なことなんですね。でも、私たちは夏でも冬でも、いつでも同じ表示の牛乳を買って飲んでいますよね。


須藤/そうなんです。現在、一般的な成分無調整牛乳は、年間を通して乳脂肪分3.5%以上ということで販売されています。このために多くの酪農家は、年間を通して高い乳脂肪分を維持するために苦労しています。たとえば、その基準を満たすために、高価な輸入飼料を使わざるを得ないこともありますし、夏場には牛の暑さ対策のために牛舎に扇風機を回したり、細霧を散布したりもしています。何しろ、牛にストレスを与えないように気を配っています。


谷川/酪農って、想像以上に大変なんですね。


須藤/でも、うちはまだいいほうです。中には、輸入飼料にほとんど頼らざるを得ないところもあります。また乳脂肪分を高めたり、泌乳量を増やしたりするあまり、乳牛にストレスが溜まり、出産回数が減ったり、寿命が短くなったりしたケースもあるんですよ。乳牛は、毎年赤ちゃんを出産することで、たくさんの良質な牛乳を作り続けることができるわけですから、酪農家にとっては、これは大問題です。


谷川/そこまで厳しいところもあるんですね。酪農家の皆さんもますます大変ですし、牛もかわいそう。そんなことなら、もっと牛の生理を尊重して高い乳脂肪分にこだわらず、幅を広げても良いのではと思いますけど? 第一、乳脂肪分が下がると味が変わるとか、栄養価が下がるとか、マイナス面があるんですか。




須藤/消費者の皆さんの中には、乳脂肪分が高い牛乳のほうがおいしいと思っていらっしゃる方も多いかもしれません。でも、牛乳がおいしいと感じられるのは、乳脂肪だけでなく、たんぱく質、乳糖、ミネラルが高いからなのです。牛乳は栄養バランスの良い食品ですから、乳脂肪分が減ったからといって、牛乳本来のおいしさや良さが損なわれることはありませんよ。


谷川/それなら、私たち消費者も”乳脂肪分の高い牛乳こそがおいしい牛乳“といった先入観をもしも持っていたら、変えていくことも必要なんですね。もちろん、今までお伺いした牛の生理とか、酪農の実情を知れば、そんな意識も変わるでしょうし、自然に即した、乳牛にやさしい酪農をもっともっと応援するようになれるような気がしますね。


須藤/そうですね。もちろん酪農家としては、より良質な牛乳作りのためにこれからもさまざまな創意工夫とか、牛の衛生面・健康面での管理は必要ですが、それとは別に、もっと自然に即した、それぞれの土地や環境に根ざしたそれぞれの酪農があっても良いと思います。そうなれば、輸入飼料に頼り過ぎない、コストを抑えた酪農も実現できますし、酪農がますます活性化してくるでしょうね。そのためにもぜひ、消費者の皆さんにもっと酪農を知っていただきたいですね。


谷川/酪農を知ってもらうために具体的に、何かやっていらっしゃいますか。




奥様/うちの牧場では、もちろん基本は『良い牛を育て、良い牛乳を提供する酪農』ですが、一方では、消費者の皆さんの訪問を積極的に受け入れています。皆さんに動物との触れ合いを楽しんでいただいたり、牛の飼育や搾乳体験、バターやアイスクリーム作りとかを楽しみながら、その体験を通じて、牛のこと、牛乳のこと、酪農のことなどを知っていただければと思っています。


谷川/その気持ち、すごくわかります。私もランナーとして「マラソンの楽しさを多くの人たちに伝えること。そして、たくさんの人が走るためのお手伝いをすること」を念頭に活動しているのですが、やっぱり楽しみながら、体験を通じて知ってもらうのが一番ですものね。私自身こうしてお話を伺って、これからは牛乳をもっと味わって、もっと大事に飲もうって気になりましたからね。体験の効果は大きいですね。


須藤/そう言っていただくと、うれしいですね。もっと良い牛乳を作ろう、もっと良い牧場を見てもらおうと、ますますやる気が湧いてきます。谷川さんもぜひ、これからもどんどん牛乳を飲んで、ますます元気に走ってください。


谷川/はい! 牛乳をいっぱい飲んでがんばります!
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