乳質にゅうしつ
 乳質とは、生乳(牛乳)の品質のことです。乳質には、成分的乳質と衛生的乳質があります。牛乳に含まれる乳脂肪分や無脂乳固形分などの栄養的成分は、牛の種類、飼養地域や季節、飼料などさまざまな要素によって違いがあります。
季節による乳質の違いについてみると、青草などを食べ、水分を多く取っている夏の時期の生乳は乳脂肪分、無脂乳固形分とも低く(薄く感じる)、逆に乾草などを食べている冬は高く(濃く感じる)なるといいます。
 生き物である乳牛、特に日本に多いホルスタイン種の乳牛は、寒さに強く、暑さに弱いという習性があり、牛の体調の変化によっても乳質が変わってきます。
 給与飼料の質と量は乳量のみならず、乳質に大きな影響を与えます。乳脂肪分の向上には粗飼料の給与が大きく影響しており、飼料乾物中に、粗繊維を約17%以上含ませることが必要です。また、無脂乳固形分の向上には濃厚飼料の給与量を多くします。
 成分的乳質は年々向上していますが、最上級の乳成分の基準として、乳脂肪率では3.7%以上、乳たんぱく質率では3.2%以上、無脂乳固形分率では8.7%以上とされています。
 また、衛生的乳質では細菌数と体細胞数が重要ですが、これらも年々向上しています。最上級の基準として、細菌数30万/ml以下、体細胞数10万/ml以下とされています。このためには、正しい搾乳法の励行、牛舎や牛乳処理室などの環境衛生の改善がつねに求められます。