季節放牧きせつほうぼく
 乳牛はふつう、生後5〜6ヶ月ころまでは牛舎で育てられますが、放牧地がある場合、子牛の体力や環境に適応する能力を考えて、8〜10ヶ月以降には本格的な放牧が始まります。こうして成長とともに放牧地の環境に慣れさせ、時間的な放牧から全日放牧へと移行していきます。放牧地に牛を放し飼いにして採食させるわけですが、この放牧という方法は、牛たちが自由に運動しながら栄養価の高い牧草を十分採ることができるので、乳牛の生理・習慣にもっとも適した方法とされています。
 日本では牧草が生育するのは春から秋までです。このようにある特定の期間に限定して行う放牧のことを季節放牧といいます。しかし、一般的には夏枯れで草量が不足したり、吸血昆虫によるストレスが増える夏の放牧は避ける傾向にあります。つまり、春放牧と秋放牧、または春放牧だけをふつう季節放牧と呼んでいます。
 これに対して、年間を通じて放牧を行うことを周年放牧といいます。北海道や東北のように、冬の気象条件の厳しいところではむずかしい方法ですが、四国などの温暖な地域では牧草でもほぼ1年中放牧することができるという利点があります。放牧した草地は、つぎの放牧までに休牧期間をおき、草の再生を助けるようにします。