ふん尿にょう
 乳牛はとても食欲旺盛おうせいです。しかも、あれだけ大きな体をしているので、ふん尿の量もなみたいていではありません。1日1頭あたりの尿が6〜12kg、ふんは20〜40kgとものすごい量です。
酪農家は、牛舎をきれいに保つため、毎日朝夕、一生懸命に掃除そうじをしています。 牛舎の中にはミゾなどがあって、牛の尿はそこを流れてタンクにたまるしくみになっています。また、ふんは、おがくずなどをかけて一緒に処理しています。こうして集めたふん尿は捨てたりしないで、たい肥と呼ばれる肥料にします。牛のふん尿からできたたい肥は、土の性質を改善するため、おいしくて新鮮で安全な農作物ができます。
 たとえば酪農家は、稲作農家からわけてもらった稲わらやモミガラを牛のふん尿にまぜて、たい肥にします。そしてそれを農家へ提供する。農村では、こうした協力関係が結ばれています。そして、安全な野菜やくだものが作られ、私たちの食卓を豊かにしてくれます。
 現在、酪農と耕種こうしゅ農業を組み合わせて、資源リサイクル型の新しい農業のかたちをめざしています。ふん尿を有機質ゆうきしつの肥料として飼料用草地に還元する。野菜やくだもの、花などの有機栽培を進めるほかの農家に提供する。こうした環境保全かんきょうほぜん実践じっせんをめざす、持続的じぞくてき・リサイクル型の産業の中心に、酪農があります。