スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



平成23年度酪農教育ファームスキルアップ研修会(岡山会場)ー講演ー
平成23年度酪農教育ファームスキルアップ研修会 (岡山会場)を開催いたしました。
引き込み、引き出し、学びを創る
子どもたちを引き込み、子どもたちの中にあるものを引き出し、子どもたちが主体的に考え、気付き、学びを創るための、子どもたちとのコミュニケーションのヒント
牧場という場の魅力
 酪農家さんの魅力は大きく分けて2つあると思います。牧場へ行けば子どもたちから引き出される場の魅力。2つ目は、どんなものを用意して、どの順番で活動していくかという、流れ、プログラムの魅力です。それを繋げるのがコミュニケーションなのですが、例えば、「この牛何歳かな?」と聞かれても、子どもはキョトンとしています。私達から見たら聞きやすい質問ですが、子どもは判断が出来ないのです。それは、決める物差しを持っていないからです。聞き方を「あなたたちと比べて上?下?」と変えてあげると、判断が出来るので、一緒に考えていく事が出来ます。
子どもとどうやって仲良くしたらいい?プログラム作りのヒント
 どうしても伝えなければいけないという想いを持っている事は良い事ですが、想いが強すぎると、それに引きずられてしまい、目の前の子どもの動きがあまり見えなくなってしまいます。

 時間のゆとり  ……  1つの事に浸る時間
 空間のゆとり  ……  話題に合った場所へ行く
 心理的なゆとり ……  次々と体験を変えてしまうと、楽しめない


上記のような3つのゆとり。牧場だから出来ること、心や身体に入っていく時間を大切にしていく。
子どもと近づく為のコミュニケーション
 子どもたちが牧場に来て、まず一番最初にやる事は、アイスブレイキングです。アイスブレイキングとは、氷が溶けるようなイメージで、話で言うと「つかみ」にあたる部分です。出来ればそれが、1日の体験に繋がっていくような「つかみ」になっていくと良いと思います。今回見るDVDにも、ウォーミングアップで、ふりふりバター作りしています。
例えば、その時に、バターの事や牛さんの事を話しても、子どもは緊張しているので、ほとんど頭に入っていません。それに、みなさんは振ったらバターになると知っていますが、子どもたちは知らないので、心配なのです。ひたすら振って、出来てきたら「これでいい?」と必ず酪農家さんに聞きます。酪農家さんは「どのくらい固まったら、大丈夫」という按配を知っているので、その時点で、上下関係が決まっているのです。判断してくれて認めてくれると、次からも話を聞くようになります。それが関係性です。関係性というのは、けっして同じ目線で仲良くすれば良いものではないのです。
 牧場は、子どもが普段の生活で感じれない豊かな時間がながれている場なのです。
 子どもは言葉を分かっていないだけで、色々なものを持っています。表現するのは苦手かもしれませんが、身体には出てきます。だから活動を取り入れるのです。体験を作業にしていませんか?知る事よりも感じることが大事です。
 何かを教える、学ばせるのではなく、一緒に共感する事を大事にしてもらいたい。
教育ファームファシリテーターの役割
 既に皆さん、やられている事だとは思いますが、もう一度整理し、自分の身体の中にあるものを引き出し、考えて頂ければと思います。


藤本 勇二・武庫川女子大学 文学部教育学科 専任講師

徳島県生まれ。鳴門教育大学大学院修士課程修了。2010年より現職。小学校教諭として、ソバ、大豆、米などさまざまな農作物を育てて、食べて、学ぶ総合学習活動を展開。地域の持つ伝統的な技術や食文化、生活の知恵を取り入れた食育カリキュラムの開発にも長年にわたって尽力している。
著書に「学びを深める 食育ハンドブック」(学研)、「学級担任のための食育の授業」(ひまわり社)など。
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