スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



2019年度 スキルアップ研修会(札幌会場)
ーワークショップー(抜粋)
“きく”ことでみえてくる相手のオ・モ・イ〜自覚
して“きく”スイッチを入れてみる体験学習〜
立野 美香
イナ・アソシエーション 代表


 イナ・アソシエーションの立野美香さんを講師に迎え、ワークショップを行いました。
「きく」ことをテーマに、参加者同士がコミュミケーションを取りながら、相手の話を大事に「きく」ことの大切さを学びました。
相手の話をきちんときけていますか?
 私はファシリテーターの仕事をする前は幼稚園の先生をしていました。その後、学校現場に入り学級崩壊を建て直したり、企業コンサルタントや個人のカウンセリングをしたりしています。
 今は昔と違って、学級崩壊の形が変わっており、子どもとの関わり方も変わってきています。問題が表面化しないのです。学級崩壊しているクラスへ行き、「話をするから前に来て」というと、子どもたちはどんな行動をすると思いますか?まず、周りを見ます。なぜかというと、みんなと違う行動をしたくないからです。今の子どもたちは、人にどう思われるかということを常に考えて行動しています。
3つの「きく」
聞く=Hear(聞こえている、聞き流す)
聴く=Listen(相手に心を寄せて聴く)
訊く=Ask(尋ねる)

 今回は、「聴く」ことをメインに、意識して聴くこと、相手に心を寄せて聴くことを意識してみてください。
 みなさんどうですか?旦那さんの話、奥さんの話や子ども話をどの「きく」で聞いていますか?
 今回は、「聴く」ことをメインに、意識して聴くこと、相手に心を寄せて聴くことを意識してみることを練習しようと思います。
 牧場体験の中で、子どもたちからの質問を受け応えする場面があるかと思います。今日はその質問コーナーの場面を切り取ってワークショップをしたいと思います。
 質問を受けるときはどうでしょうか。その場ですぐ質問は出てきますか? 今は事前に質問を考えてくる場合もあると思います。事前に考えてきた質問は「リアル」ではないと私は感じます。調べてきた質問は、答えも調べることが出来ると思うからです。子どもたちが牧場に来て、今リアルに体験したことが活かされて、質問や疑問が湧いてくることこそが体験学習ではないかと思います。
 子どもたちが体験を通して感じたことを引き出すこと、今この場だから答えられることを引き出すことが、酪農教育ファームファシリテーターの役割ではないかと思います。
会話を見るデモンストレーション
 会話はキャッチボールです。お互いに笑顔で声を掛け合うとキャッチボールはうまくいきます。表情や姿勢は大切です。人がコミュニケーションを受け取るときの情報を100%とすると、実は言語からはたった7%の情報しか受けていません。ほとんどが表情や声のトーンなどから受け取っているのです。
 険しい表情、いいかげんな姿勢で投げ合ってもうまくいきません。また、投げたボールを相手が受け取ってくれないと会話は成立しません。受け取ってもらえないと投げることすらやめてしまいます。自分が傷つきたくないからです。
 大事に話をきいてくれる相手がいたら、人との関係、人を信頼する力、自分の生き方に影響するのではないかと思います。話をきいてもらうというのは、それくらい大事なことだと思います。
 自分にとって心地の良いこと、学びになることを、今日のワークを通じて勝ち取って欲しいと思います。私はヒントやポイントは伝えますが「教える」ことはしません。皆さん自身が体験して、気づき、感じたことのひとつひとつが学びになります。たくさんコミュニケーションを取り、振り返り、気づき、次に活かす。今日はその繰り返しをしたいと思っています。
ロールプレイで「大事にきく」を練習
 子どもにきかれて答えに困ってしまった質問はありますか?
■牛の素晴らしところはどこですか?
■なんでくさいの?
■牛の寿命はいくつまでの?
■なんで牛は繋がれたままなの?
■お乳が出なくなった後はどうなるの?
■雄はどこにいるの?

 これから牧場体験の中の質問コーナーの場面を切り取って、「酪農家役」と「子ども役」になってペアワークをします。
 子ども役をする時は、自分の演じる子どもの年齢や性別などの設定を決めてください。また、自分が子どもに質問されて困った時を思い出しながら子どもになると良いと思います。自分が困った質問に対して、相手がどうやって返すのかを学ぶことができるからです。酪農家役の方はいつも通りで構いません。
 大事なのは「主体は相手」にあるという事です。子どもたちがなぜその質問をしたのか、本当は何をききたいのかを大事にきいてあげてください。自分が話すのではなく、まず相手の話をきくことに重きを置いてみてください。交代でどちらの役もやり、最後に振り返りをします。
 自分が聞き手(酪農家)、話し手(子ども)をしていた時に、相手がどんな反応をしていたか、困ったところや難しかったと感じたところを書き出し、相手とシェアします。良いことばかりではなく、困った、話したくなくなったなど、嫌だった部分もフィードバックしてあげてください。その事が1番の学びになります。

意識するポイント
■主体を相手に
 「○○くんは…」「○○ちゃんは…」と付ける
■興味関心を持つ
 「うんうん」「それで?」などレスポンスをきちんと返す
 少し大げさなくらいが良いです
■確認をする
 「それはこういうことでいいのかな?」と質問を確認する
 最初から全てを意識するのは難しいと思いますので、まずはこれを意識してみようということを決めてみてください。今日は自分の学びのための練習の場です。
 大人が面白いのは質問されたら答えなければいけないと思ってしまうことです。大人には「聞かれたら答える」という流れが染みついているからです。でも、質問に答えようと答えを「考える」とき、主体は自分にあるのです。主体が自分にある時間が長くなればなるほど、子どもたち(相手)は置いてけぼりになります。
 もちろん答えをいうのが悪いということではありません。ただ今日はそれを取り払って、相手のその質問は何を考えて出てきた質問なのかという事に興味を持ってみてください。答えを一緒に想像したり、考えてみたりする事も教育だと思います。
「私は明日から○○な場面の時、○○します!」
 今日の学びの中で、気が付いたことや思ったことで明日からやってみようと思ったことを言語化します。できるかできないかが重要ではなく、やってみようと思ことが大事です。

●私は明日から、質問をされた時、子どもになった気持ちになって(意識を持ち)質問に答える
●私は明日から、答えにつまった質問をされた時「なんでそう思ったの?」と聴くことをします
●私は明日から、質問の答えに興味関心を持ったと思った時にさらに興味を引き出します
●私は明日から、いろんな場面の質問タイムの時に自分の熱量の強弱をつけるようにします
●私は明日から、難しい質問をされた時困った顔をせずに相手のキモチを引き出せる発言をします

 今日学んだことをやり続けていってもらえばと思います。
子どもたちは皆さんのことをみています。一生懸命きこうとしてくれている姿をみて、また会いたいなと思うと思います。素敵な皆さんのありのままをどんどん見せてあげてください。

イナ・アソシエーション 代表 立野 美香氏

大阪生まれ。モットーは、「一人一人がありのままで輝き在る中、共に育ち合うおもろい場をおもろく創造していく!」
幼稚園に務めた後、フリーでイベントやワークショップ、チームビルディング研修、子育て講座、養成講座などの企画運営、プロデュース、ファシリテーターなどを行う。
その後、全国の教育現場や企業で職員研修や人権教育、人間関係トレーニングなどを主な活動とする「マザーアース・エデュケーション」と出会い、スタッフとしてファシリテーターやカウンセラーとして関わる中、自己肯定感の育みの必要性を感じると共に、「教える」「教わる」という関係ではなく、共に育ち合う「共育」の場や存在そのものを認め合える場を創りはじめる。
平成26年10月に独立し、「イナ・アソシエーション」を設立。「場づくりのプロ」として、イベントアドバイザーや企業コンサルティング、個人カウンセリングも行う。
(C) Japan Dairy Council All rights reserved.