全部が伏線!しくみの場面の解説!
DVDを鑑賞後、加茂さんが「仕組んで」いた場面について解説していただいた。
●「みんなの家のお母さんはどう?」という話に持っていくと、牛乳は雌の乳牛から搾られること、だから酪農家にいる牛は基本的に雌ということについて、子どもたちはハッと気が付きます。牧場には雄雌どのくらいの割合でいるかと質問をしたとき、雌が100%と回答をする子どもはほとんどいません。雄が多いと思っている子どもの方が多いくらいです。
●栄養の話から、エサの話に持っていきます。実際に持参し、においを嗅いでもらい子どもたちの五感に働きかけます。私は香りの強い「ルーサン」という種類の牧草をよく持って行きます。
●牛の排泄物が堆肥になり、それが飼料を育て、また飼料を牛が食べて……という循環の流れが子どもたちの中に落とし込まれると、納得が生まれます。都会の子どもたちは、糞が堆肥になるイメージがないので、こういった話を教えていかなければならないなと思います。
●学校では今、キャリア教育が叫ばれているので、酪農家の仕事やたくさんの仕事の人との関わりを説明します。
牧場には雌しかいないという話のときに、なぜ赤ちゃんが産まれるのかという疑問を投げかけていたので、雄は別の場所にいて、その種を運んでもらっているという話を、学年に合わせた言葉で話します。
●最後は廃用牛の話をします。ここは集中して話を聞いてもらいます。
雄として生まれた牛は肥育屋さんが買っていく、牛はビジネスパートナーで、みんなの命につながっているということを話します。
こういった流れで出前授業を行ってきました。これで子どもたちに「命」という主題が落とし込まれるようです。「牛乳は栄養があるから飲みなさい」という話は一切しませんが、食べ残しは少なくなるそうです。
「道筋を作って話をする」ということをしてきました。子どもたちが牧場に来て、実際に牛や酪農家の仕事を見て、驚きがあった上で話の仕組み作りができれば、それが最強だと思います。でも、出前授業のハードルが高いと思わず、それぞれの最強の酪農体験に繋げていっていただけたらと思います。
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