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平成29年度 スキルアップ研修会(名古屋会場)
ーワークショップ ー(抜粋)
「〜話し上手は、きき上手〜
     「積極的傾聴」でプログラムの質が格段に変わる」
上田 融氏
NPO法人いぶり自然学校 代表理事


 NPO法人いぶり自然学校の上田氏を講師に迎えワークショップを行いました。
 体や頭を使いながら参加者同士がコミュケーションをとり、「きく」ことの重要性を実感しました。


相手の望んでいることはなんだろう?
 牧場には、子どもから大人まで様々な目的の方が訪れると思います。その中で、今日は特に「学校」に絞って話を進めたいと思います。 
 学校は、牧場に体験をお願いする、いわばクライアント(お客さん)です。学校の先生方は子ども達に対して何をして欲しいと望んでいるのか。学校側のニーズに合った体験プログラムを提供する必要があります。この体験とこの体験をやってと押し付けるのではなく、相手のかゆいところに手が届くようなプログラムを作る必要があるのです。
 残念ですが、皆さんがどれだけ凄いことをやっても、いくら強い思いを訴えても、それを学校側が望んでいなければ何の意味もありません。先生達が望むこと、期待することをプログラムとして提供してあげる。そのうえで、最後に皆さんの思いをエッセンスとして入れるのはよいと思います。それが相手の枠組みに合ったプログラム作りです。
 では、そんなプログラムを作るにはどうしたらいいでしょうか? 色々な方法やテクニックはありますが、基本は学校側が何を望んでいるのかをひたすら「きく」ことです。
「きく」にも、いろいろな「きく」があります。
■聞く  ■聴く  ■訊く

 「聞いた」事は忘れますが、一歩踏み込んで「訊ねて」みる。積極的に「聴いて」相手のことを理解し、くみ取ったうえで、「うちの牧場ではこんなことができます」と提供する。これがプログラムという商品になります。
積極時にきく
『デートゲーム』
1.1週間(月曜から日曜まで)、日ごとに違う相手とアポイントを取りあいます。同じ人はダメです。
2.さっきアポイントを取った7人の所に行って、本当にアポイントが取れているか確認してもらう。1.でアポイントをとる事だけに夢中になっていると、相手の顔を忘れてしまったりします。これがミスコミュニケーションのはじまりです。恥ずかしいかもしれませんが、オーバーアクションで「ありがとうございます」とお礼を言って下さい。

きく、話す時のコミュニケ―ションの技術
 きく時にAIのようなきき方では上手くいかないし、恥ずかしいからと突っぱねていても上手くいきません。すこし大げさなくらいのコミュミケーションが相手に伝わるのではないかなと思います。少し演じるような努力をすると良い答が返ってくるような気がします。
 よいプログラムを作るには相手の話をよくきき、理解して反映させていくことが重要です。きちんと相手の話を聞き、関わりを持つことが大事だと思います。
 いくら「きく」ことが重要だといっても、実感しないままだと、講師が言っていたな、で終わってしまいます。「きく」コミュニケーションの重要性を実感してもらいたいと思っています。
『Faxゲーム』
 発信者が1人。他は全員、受信者です。
 発信者が“ある図”を言葉のみで説明します。受信者はそれを聴き、紙に描きます。理論上は発信者の持っている図と受信者が描いた図は、同じものになるはずです。
 受信者はあくまでもfaxを受けるだけなので質問はできません。ひたすら黙ってきいて下さい。

 どうですか、図は同じになりましたか? 発信者は的確に説明していたはずなのに、なぜか伝わっていない。例えば、図を描く紙は縦書きなのか横書きなのか、縮尺はどうなのか等、受信者が質問することができれば同じ図が描けたかもしれません。これはあえて対話を寸断したゲームです。
 コミュニケーションを絶たれたらイライラしませんでしたか。逆に言えばコミュニケーションがとれるとイライラしないのです。
ロールプレイ(役割を演じる)
『学校との模擬打ち合わせ』
 ペアになって、酪農家役・先生役に分かれて、模擬打ち合わせします。酪農家役は普段通りだと思いますが、先生役はなりきって演じて下さい。ペアで役を交代して両方の役をやって下さい。打ち合わせ後、聴き取った内容でプログラムを考えます。話の内容を汲み取ってプログラムが作れているかペアで確認をします。

■先生役(話し手)
 学年や人数、クラスの状態等の設定はこちらで用意して、皆さんにお配りします。その設定からクラス像を思い描き話していってください。話を膨らませてもOKです。
また、子ども達に体験後、何を言わせたいかを選んでださい。
 『酪農家ってかっこいい』
 『牛乳ってすごいね』
 『牛(いきもの)ってすごいね』

■酪農家役(聴き手)
 先生役からやりたいことをしっかりと聴き出して下さい。自分のことではなく、相手が望むことは何なのかを的確に、です。

 上手く先生になれましたか?クライアントの気持ちを汲み取るには、クライアントに近づかなければならないと思います。皆さんは先生ではないけれど、先生になれる! くらいの気持ちは持っていても良いと思います。
相手の枠組に立ち、話をききながらプログラムを立てるのはとても難しいと思いますが、それがあるから、よいプログラムが生れるのだと思います。
相手の話をきき、プログラムを作るという体験をしてもらいました。これはひとつの「型」です。これを家に帰って自分なりに変えてもよいと思います。ひとつの参考にして頂ければと思います。
明日からこれを取り入れます!
 ワークの中で、この考え方を明日から取り入れよう、試してみよう、取り組みたいことを紙に大きく書いて宣言!
 皆さんが自分の中から引き出したアイディアや方法が、明日の皆さんの活動になると思います。
心を動かす感動をしくむ
「今日のワークは恥ずかしかったですか?」
 酪農体験には感動が多くあると思います。感動とは、心がプラスにもマイナスにも動くことです。私はプラスばかりでは感動とは言えないと思います。マイナスに動いても、跳ね返ってプラスにいくような心の動きが感動ということだと思います。今日も心がすごく動いたのではないでしょうか。
 それが牧場や牛の前ならもっと大きく心を動かせると思います。
 感動を意図的に作るために、先生達としっかり打ち合わせをし、仕込んでいって下さい。子ども達はもちろんですが、その後ろにいる保護者や先生達の心も動かせたら最強だと思います! そんなシーンを目指して今後活動していってもらいたいと思います。


NPO法人いぶり自然学校 代表理事 
上田 融(とおる)氏


昭和48年生まれ。
平成8年より北海道の小学校で6年間勤務。
平成14年より4年間、登別市教育委員会社会教育グループで社会教育主事として、ふぉれすと鉱山の運営に携わる。平成18年よりNPO法人ねおすの活動へ参画し、道内各地の自治体と協働し、第一次産業の取り組みを子どもたちに体験的に伝え、学ばせるプログラム開発および協議体の設立に関わる。
平成20年より苫東・和みの森運営協議会副会長。平成27年より現職。
プロジェクト・ワイルドファシリテーター、小学校教諭1種、幼稚園教諭1種等の資格を持つ。
平成24、25、27、28年度に中酪研修会の講師を務める。
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