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令和7年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(東京)ワークショップ
令和7年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(東京)を開催しました。
酪農教育ファーム活動のこれまで&これから
〜ファシリテーターとして〜

堀北 哲也氏
日本大学 生物資源科学部 教授


 私は千葉農済で獣医師として30年ほど働いていて、10年くらい前に大学に獣医産業動物臨床学研究室ができるということで、大学へ移って仕事をしています。
 前半は教育側からの話でしたが、私からは酪農側からの話をしたいと思います。来年度から認証の制度が変わり、酪農教育ファーム研修会の参加も任意となりました。せっかくなので今日は参加している皆さんの話し合いの場を多く持ちたいと思っています。
これまでの酪農教育ファーム活動を振り返る
 皆さんはこれまでどんな酪農教育ファーム活動をしてきましたか。こんな子どもたちが来場した、こんな体験活動した。また、こんな体験を考え中など振り返ってみてください。
 そして、その活動は前半の講義と関係することはありましたか。

■ 支援学校の生徒の受け入れ
■ 親子遠足
■ 児童養護施設へ子牛の貸出し
■ 仮想空間での体験(イベント)を考え中
ファシリテーターのコツ!質問には種類がある
 今日は話し合いの場面が多くありますが、話を聞くだけではなく質問することもあると思います。
 質問には「閉じた質問、限定質問(Close ended question)」と「開いた質問、拡大質問(Open ended question)」があります。
 閉じた質問は、「はい、いいえ」や数字で答えられる質問、あるいは選択肢から答えを選ぶような質問です。これは絞り込みたい時、聞きたいこと(ねらい)がある時に使う質問です。普通に質問していると8割ぐらい閉じた質問になるそうです。閉じた質問は、答えは返ってきますが、会話の発展性はありません。
 一方、開いた質問は相手が自由に答えることができる質問です。例えば、「どうして○○が好きなのですか?」というような質問です。「どうして?」と聞くと相手は考えて、思っていない答えが返ってくると会話が広がります。
 閉じた質問と開いた質問を組み合わせることで話が広がり、より多くのことが聞けて良いと思います。ファシリテーターのコツでもあります。
酪農教育ファーム活動が子どもたちに与えた影響
 皆さんが行ってきた酪農教育ファーム活動は、子どもたちや社会にどの様な貢献をしてきましたか。またどの様な影響を与えてきましたか。

■ スタッフとして養護施設の方の受け入れをしています。その人はもう4年ほど働いていて楽しいと言っています。もしかしたら普通の会社で息苦しさを感じていたり、働くことが難しいと感じたりする人も、酪農なら楽しく働くことが叶えられるのでないかと思った。
■ 大人でも土がついている野菜は食べられないという理由でお店に返品しに来ることがある。酪農に携わるとそういう意識がなくなると思う。理解へつながる。
■ 農家の子どもが体験に来た時に私たちの話を聞いて、自分の家のすごさに気がついて帰り、後に家を継いだ。農家の人の話が心に響いたのだと思う。
■ 家畜保健衛生所の先生が見学にきた時に、実際に作業(搾乳など)を体験してもらった。知識はあるが、体験したことが無かったようなので、現場を知るきっかけになったのではないかと思う。
■ 長いこと体験を受け入れていると、昔体験した子どもたちが、親になって子どもと一緒に訪れてくれる。親から子へ繋がっていると実感した。
酪農教育ファームを実施するにあたっての改善点
 今後も酪農教育ファームを実施していくにあたり自分の酪農経営や飼養環境を、どう改善しますか?
 牛舎のここを改善したいや、こういう体験をさせたいなど具体的なことがあれば教えてください。また、酪農家の想いを語る時には、どの様に生き様を語るか、こんな話をしたいなどあれば考えてみてください。
■ 大人数の来場者の消毒方法(特に足の消毒)
■ 夏の暑さ対策(牛の暑熱対策)
■ 頭数が多く牛が優先になり、牛舎の天井などの掃除まで手が回らない。
■ スタッフの意識改革
■ 自社で製品を生産していないので、牧場から生産までをうまく繋げて説明ができない。今は過程をお話している。工場見学とセットのイベントなどをやってみたい。
■ 他の農作物や食品、産業と絡められれば、学校のカリキュラムに埋め込みやすいのではないか。酪農だけではなく、地域の産業などをまとめて学べるように出来るものがあれば良い。

 海外では学校のカリキュラムにあわせた体験などを提示する発想があります。それを聞いて思ったのが、牛舎消毒剤のpH(ペーハー)の組み合わせの話は理科にもつながると思いますし、牛乳が血液から出来る仕組みは生物学へつながるかもしれません。酪農はいろいろな科目へ繋がっていく可能性があると思います。
研修会を終えて、思ったこと、そしてこれから
■ 子どもたち向けて体験の場を作る大事さ、まず知るきっかけがないとその先にもつながっていかないなと思った。自分たちも他の人に向けて発信していきたい。
■ 熱い気持ちを持った方と話しが出来て自分のやる気が燃えました!
■ 集まって皆さんの生の声が聞けたことがすごく良かった。
■ 新しい出会いがあって嬉しかった。
■ オンラインだと自由に話す場が少なく、その場で繋がりが切れてしまう。対面で会えた方とは話も多くでき、繋がれて良かった。
■ やりたいことやアイディアはあるが、人手不足や機会がないなどの課題があると思った。もっと酪農や乳牛の価値を高め、仲間を増やせるような仕組みがあると良いと思った。
■ 今日話して、「あれも、これもやりたい」と思った。いろいろな動物の担当をしてきたが、教育として効果があると実感できたのは牛だった。子どもの反応も一番よく、食育にも繋げることが出来る。牛を通じて教育していくことに力を入れたい。
■ 全国に熱い思いをもっている酪農家がいる、酪農教育ファームはいろいろなところで役に立っていると感じられた。
 ファシリテーターの肝は教えないということです。集まった人の学びを促すだけです。子どもたちが集まった時に、教えるのではなく体験を通して学ぶ、気づくことをファシリテートしてあげてみてください。
 酪農教育ファームは決して観光ファームではなく、ただの体験ファームでもありません。体験した上で学びがある。それをファシリテーターが促してあげる、気づかせてあげる、そんな活動をこれからも続けて行ってもらえればと思います。
日本大学生物資源科学部 教授 堀北 哲也

1960年 大阪生まれ
1986年 東京農工大学修士課程修了
 〃   千葉県農業共済組合連合会(ちばNOSAI連)
2005年 岐阜大学大学院連合獣医学研究科にて博士号
     (獣医学)
2015年 千葉県農業共済組合連合会(ちばNOSAI連)退職
 〃   日本大学生物資源科学部獣医学科教授
     (獣医産業動物臨床学研究室)
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