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ーワークショップ(抜粋)ー(10月20日)
令和4年度 酪農教育ファーム認証研修会(東京会場2回目/10月20日)
上田 融氏
NPO法人いぶり自然学校 代表理事
私は大学卒業後に小学校の教員として働いていました。その中で社会教育に関わり少年自然の家のような施設で活動をしていました。その後NPOの自然活動に参画し、今のいぶり自然学校を運営しています。
酪農との接点はほとんどありませんでしたが、教員をしていたので子どもたちをどのようにうまく乗せるかなど、そういった点ではファシリテーターの方と共通点があると思います。
いぶり自然学校では、子どもたちと週末や放課後に、また最近では学校に行けない子供や、その保護者と一緒に活動をしています。今は薪き割りや森へ行って木を切ったり、暮らしに係わるような体験に加え、馬や羊、ニワトリなどを飼って小規模な里山畜養をはじめています。
酪農教育ファームファシリテーターとは?
「酪農教育ファームファシリテーター」という言葉を確認してみます。
「酪農」「教育」「ファシリテーター」と3つに分けたときに、「酪農」は、皆さんのお仕事であり、酪農を通して命の大切さを伝えていると思います。「教育」は、命令や管理、強制ではない方法で伝えることです。では「ファシリテーター」とは何でしょうか。
例えば似たような言葉では「指導者」や「コーチ」、「インストラクター」などがありますが、どれとも違います。
「ファシリテーター」とは「促進者」ということです。促進とは「〇〇しないではいられない」と言い換えることもできますので、「酪農のことについて学ばずにはいられない」、「酪農に関する体験などをやらないではいられない」という気持ちに、子どもたちや来訪者になってもらうようにする人が「酪農教育ファシリテーター」です。
効果的な学習法「体験学習法」
「酪農のことについて学ばずにはいられない」ようにさせるには、具体的にどうしたらよいのでしょうか。
いろいろな方法がある中で、最も効果的なのは「体験から学ぶ」方法です。皆さんも経験しているかもしれませんが、牛のことをいくつもの言葉で語るより、牛に近づいたり、触ったりした方が伝わることが多いです。
もちろんただ体験するだけではそこから学びには繋がりません。体験から学ぶことへ促す「体験学習」でなければなりません。
「体験学習」には4つの要素があります。まず「体験する(Do)」。その後体験を「振り返る(Look)」、そして体験でなぜそうなったか「分析(Think)」し、次はこうしたらうまくいく方法を考え「一般化(Grow)」する。この4つの要素のサイクルを回すことにより体験学習になります。これを上手に回していくと、子どもたちや来訪者は気が付けば、牛乳が飲みたい、牛を飼いたいなど「○○しないではいられない」となっていきます。
感動の拡大再生産
デモンストレーション「ペンをファシリテート」
一般的なマジックペンがあります。ファシリテーションをせずこれを紹介すると「これば黒色の水性ペンです。」以上です。ここからはなんの欲求もおきません。
このペンを使いたくて仕方なくなるためには、例えばペンの良いところを言い合います。
「細いと太いと両方書ける」「デコボコが付いていて滑りにくくていいですね」「そうですね、細字の時は滑らないですね」、さらに「様々な色もありますね」……
相手が褒めたことを拡大してさら褒めていく、それを繰り返し行う。これは演劇の手法で「感動の拡大再生産」といいます。テレビ等の通販番組がそうだと思います。
議論の体験
あるストーリーを読み、それについて話し合いをしてもらいます。
まず個人で、ストーリーの登場人物5人を好感の持てる順に順位付けします。その後、グループに分かれて話し合い、グループでの順位を決めてください。グループでの順位付けにあたり、いくつかルールがあります。
多数決やじゃんけん、くじで決める、年長者や偉そうな人の意見に従うのはナシとします。また、妥協や論破もナシです。全員が納得する順位を決めること。つまり全員が合意する必要があります。
議論を通して価値を創出する
議論は答えを導き出すことが目的ではなく、話し合うプロセスがポイントで、何か法則(テーマ)を決めると進めやすくなると思います。
皆さんに感想や意見を出してもらいましたが、そこから話し合い、議論のコツが導き出されました。これから体験学習法をするにあたってぜひ使っていただければと思います。
議論を振り返って分析していくと、おのずと次の行動が出てくると思います。
一歩踏み込んだ学びの場を
安全に気を使って、牛も人も病気が起きないように酪農体験をさせることまでは、皆さんやってきていると思います。それが「酪農教育体験」まで来ているということだとしたら、酪農教育ファームファシリテーターには、さらに次のステージがあると私は思っています。
それは体験に来た人たちに、酪農が抱えている問題を一緒に考えてもらうことです。ファシリテーターはそこまでできると思っています。「エサが高い」「担い手がいない」どうしよう、と子どもたちに投げかけ、学びの場を作ることが出来るのはファシリテーターの特権です。そのための技が「話し合う場を作る」。皆さんならここまで出来ると信じています。
私のファシリテーション宣言
自分のファシリテーションの技術を高めるために、「明日から取り組んでいくこと」を書いてを宣言しましょう。
「明日からこうする」
・家族と話し合う
・笑顔で聞く力をつける
・人の話を最後までしっかり聞く
・頼る、任せる
・見つめなおす
・職場の仲間と話をして、合意する
NPO法人いぶり自然学校 代表理事 上田 融氏
昭和48年生まれ。
小学校教諭1種、幼稚園教諭1種、CONE トレーナー、社会教育主事等の資格を持つ。
平成24年度から、酪農教育ファーム研修会の講師を務める。
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