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−安全衛生−(10月20日)
令和4年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(東京会場2回目/10月20日)
酪農教育ファーム活動における安全・衛生対策の確認
山村 文之介氏
千葉県農業共済組合 北部家畜診療所 技術主査
コロナウイルスと教育ファーム活動
酪農教育ファーム活動ではそもそも感染症対策を十分考慮して実践されていると思います。新型コロナウイルス感染拡大から3年が経ち、現在だいぶ緩和されてきて活動を再開している牧場も多いと思いますが、活動を行う際には、引き続き三密の回避、マスク着用、手洗い等の手指衛生の徹底をしてください。
牧場毎に状況に即した具体的な感染予防対策を実施し、「感染予防対策を実施している」ことを十分に説明し来場者の協力を得るようにしましょう。
動物を飼っている人に向けて新型コロナウイルス感染症の対応として
犬や猫、牛など様々な動物からは、それぞれ固有のコロナウイルスが検出されています。多くの場合、宿主となる動物は軽症で済み、種の壁を越えて他の動物に感染することはほとんどないと言われています。
しかし新型コロナウイルスは人からペットの犬・猫への感染が考えられる事例も報告されています。逆に、ペットから人に感染したという事例はなく、牛等の家畜への感染の報告もありません。
基本的には種を超えた感染はありませんが、動物との過度な接触は避け、接触の前後には手洗いや消毒等の一般的な衛生管理をするようにしてください。
酪農教育ファーム活動における衛生・防疫対策
安全対策
確認ポイント
1.危険区域の事前確認
2.アレルギー体質の子どもへの配慮
3.熱中症対策
4.怪我についての留意点
普段見慣れた牧場でも来場者にとっては知らない場所であることを認識し、子どもやお年寄り目線で危険区域の確認が必要です。また「自由行動ができる場所」、「スタッフと一緒でなければ行けない場所」、「立入禁止の場所」と区分けし、立て看板やロープ等で遮断するなどして注意喚起をして下さい。
衛生・防疫対策
子どもたちなど多くの人に来場してもらうことが多い思いますが、本来『関係者以外立ち入り禁止』のはずの牧場に人を入れるという意識を持つ事が重要です。
そのために『飼養衛生管理基準』があります。『飼養衛生管理基準』は農林水産省 消費・安全局 動物衛生課が所管する省令です。守らない場合は罰則がありますので気を付けてください。
大きく下記4つの項目に分かれています。
【管理責任】
=家畜防疫に関する基本事項
【入れない】
=衛生管理区域への病原体の侵入防止
【拡げない】
=衛生管理区域内における病原体による汚染拡大防止
【持ち出さない】
=衛生管理区域外への病原体の拡散防止
家畜防疫に関する基本事項では、新たに飼養衛生管理マニュアルの作成及び従事者等への周知徹底(令和4年2月)、大規模所有者が講ずる措置(令和4年10月)が加わっています。
特に交流活動に影響の大きい点として、衛生管理区域専用の長靴、衣類の準備、使用が義務付けられました。これに関しては「観光牧場等における病原体の持ち込みおよび持ち出しを防止するための規則」を作成し、家畜防疫員の確認を得て、入場者に防疫対策の周知協力を求めることでこの措置に代えることができます。
衛生管理区域について
飼養衛生管理基準の中で「衛生管理区域」と言葉が重要なキーワードとして出てきます。
「衛生管理区域」とは、病原体の侵入を防止するために衛生的な管理が必要となる区域です。
衛生管理区域とそれ以外の区域の場所が明確に分かるようにします。出入口の数は必要最小限とし、家畜、資材、死体等の持込みまたは持出し場所を可能な限り境界に位置するように設定してください。
具体的な防疫対策
■参加者名簿の作成
■動物と接触する区域、接触しない区域を明確に区別
■入場者に協力を依頼
人を感染症から守るために
牛と人との共通感染症はたくさんありますが、代表的なのは病原性大腸菌O-157です。
O-157は健康な牛の0.5〜15%が保菌していると言われています。牛の糞で汚染された何らか(水や食肉、無殺菌牛乳等)が人の口から入って、感染する経口感染です。潜伏期間は3〜10日間で、乳幼児・高齢者では重症化、死亡することもありますので、気を付けて下さい。
O-157をはじめいろいろな感染症がありますが、どれにも共通する感染症の対策は手洗いの励行です。
コロナ禍で一般の方にも広まって常識になりつつありますが、よく泡立てて、最低20秒間洗いましょう。洗った後は使い捨てのペーパータオルなどで十分に水分を拭き取り、そのタオルを使い蛇口を締めると、手洗い後。直接蛇口に触れず効率的です。また幼児の手洗いは監督者が手助けをするようにしてください。
出前授業での注意点
■牛に直接触れる体験者の情報が確認できる場合のみ
(海外渡航歴、動物アレルギーの確認)
■衛生上の動線確認(手洗い、足ふみ消毒)
■体験前後の手洗い・靴底消毒の徹底
■大腸菌O-157の保菌検査
連れていった牛は1週間程健康観察をし、すぐに牛群に戻さないようししてください。
また、妊婦や乳幼児、免疫機能低下者などは、感染のリスクが高かったり、感染した場合重症化しやすいのでしっかり注意するようにしてください。
酪農教育ファーム認証牧場における動物愛護
最近、動物愛護に関心がある方が増えており、酪農教育ファーム認証牧場にも消費者から動物愛護に関する問い合わせが届いています。内容としては「認証牧場で飼育している『牛以外の動物』への虐待を改善してほしい」というものです。
現地確認した結果、虐待の事実はありませんでしたが、「誤解される恐れのある事例」はありました。牧場へは適切な対応のお願いし、問い合わせ者に対しては現地確認の状況等を伝えました。
牧場を一般公開するということは、様々な視点で見られることになります。酪農教育ファームの活動は伝える側としてだけでなく、消費者から意見を伝えられる側にもなります。
価値観や考え方に違いがあるのは当たりですが、誤解されてしまったり、悪意をもって切り抜かれてしまうこともあるかもしれませんので、一般消費者の目線に立った畜舎環境の整備を心がけて頂ければと思います。
質疑応答
Q.1
動物愛護の観念で、スタッフが治療等で牛に注射をするのは良いのでしょうか。
A.
自分牧場の牛に注射をすること自体は禁止されていませんので問題ありませんが、動物愛護法では苦痛を与えない方法をとらないといけませんので、地元の獣医師に相談していただくと良いと思います。
Q.2
イベントで牛を連れて行く場合、牛がいるエリアに出入するスタッフも靴底消毒をした方が良いでしょうか(お客さんは出入りしない)
A.
踏込消毒層などおいて消毒した方が良いです。併せて手洗い消毒もして出入りするようにしましょう。
Q.3
搾乳体験は手指消毒のみで良いでしょうか。手袋もした方が良いでしょうか。特に小さな子には手袋が大きく、しなくても大丈夫でしょうか。
A.
手袋はした方が良いです。特に小さなお子さんは感染しやすいことと、黄色ブドウ球菌性の乳房炎はほぼ人間の手から感染しています。人にとっても牛にとっても手袋はした方が安全です。少し小さめの手袋を用意するなど工夫していただければと思います。
千葉県農業共済組合 北部家畜診療所 技術主査 山村 文之介氏
神奈川県出身。元々猫が好きで獣医師を志したが、学生時代は旅行が趣味で長期休みは全て海外で過ごしていたことから、動物病院のインターンに行かず、「とりあえず」という気持ちで北海道十勝で産業動物の獣医師の仕事に就く。仕事をしていくうちに産業構造を理解し、解決すべき問題や人材育成の必要性を感じ、気づけば12年間十勝で診療や疾病防除、人材育成に奮闘。平成29年から千葉県で日々の仕事や人材育成に取り組んでいる。
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