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ーワークショップ(抜粋)ー(11月10日)
令和3年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(7回目/11月10日)
石川 世太
株式会社musuhi 取締役 COO/
ひとつまみの希望 主宰


 スキルアップ研修会は基本的に3年に1回の受講ですし、昨年度はスキルアップ研修会自体が開催されなかったということで、今日は久しぶりに研修会に出ている方も多いと思います。
 そして昨年度はいろいろな面でコロナの影響が大きかったのではないかと思います。
 今日は1人1人がコロナの期間の中でどのような体験をしてきたのか、酪農教育ファーム活動はどのような影響をうけたのか、コロナ禍でもこんなやり方があった、これからどのようにやっていけるか等について、ここに集まったみんなで感じ合って、これから先の活動に活かしていければと思っています。
ファシリテーションをやる上で大切な事
・目的と意図、そして到達したい状態
・やる事の設計

 私はファシリテーターとして場を作る時に、どんな目的や意図を持って行うのか、そしてこの場が終わる時にどのようなところに到達しているのかを大事にしています。
 何をやるかというプログラムはありますが、どんな思いや目的でやるのか、どこまでいこうとしているのかという意図があると、プログラムをやる必然性が出てきます。また一緒にやるみなさんにも届きやすくなります。
 今日は「たくさん話せた。聴いてもらったし、自分も聴いた」と思ってもらえること。改めてどうして酪農教育ファーム活動をしているのかに気付くこと。仲間と改めて繋がるきっかけになること。研修会が終わる時に、そんな感想が聴けることを描いて場を作っています。
 「ファシリテーションはこうですよ!」と一方的に伝えるのではなく、一緒に作っていく場にしたいと思います。
チェックイン(この場に入るための時間)
  この場により深く「入る」ために、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って、参加者同士が3人組になって5つの項目を話し合いました。
 研修会等でよく、グループになって自己紹介をしましょうという場面があると思います。そのように、「その場に入るための時間」をファシリテーター用語で「チェックイン」と呼びます。

1.呼ばれたい名前
2.今どこから参加しているかというと…
3.最近あったよかったことや、自分にとって新しい出来事は…
4.この時間に期待していることは…

 話し合いの後「4.この時間に期待していることは…」について感想を共有しました。
・新しい気付き
・楽しく過ごしたい
・ファシリテーションスキルを学びたい
・一人一人の話をしっかり聞きたい
・皆さんが酪農の魅力をどうやって発信しているのか
・自分のモチベーションアップ
・遠方の方々と繋がれるのが楽しみ
・教育ファームで何を大事にしているか
Be(あり方)とDo(やること、やり方)の意識
 何をやるかの「Do」は、酪農教育ファーム活動で言えば、乳搾りやバター作り等の体験(やること)です。その体験をどんなあり方でやるのか、どんなあり方でみんなと共に体験するのかが「Be」です。「やり方=Do」と「あり方=Be」の両方が重要です。
 体験をやることはもちろん大切ですが、それをやったことで何を伝えたいか、どんなあり方で自分がいるのかが大切なのです。

「どんな声にも居場所をつくる存在」
 今は特にコロナ禍の中で、みなさんがいろいろな状態にあると思います。人には言わないけれど実はこんな大変なことがあった等、人は出しにくい声を持っていると思います。
 本当のところはどう思っているのか。本人でさえも、自分の内の中にある声に気付いてないこともあります。言葉にできないけれど自分の内の中に何かがある感じ、というのもあると思います。
 「氷山の一角」という言葉がありますが、目に見えるものは本当に一部で、見えていない部分の方が大きいのです。見えていない部分を大事にする、引き出してあげる、出しにくい声も出して良い場だと思ってもらえる、そんな場を作ることがファシリテーターにとって大事なことだと思っています。
話し、聴き合う
 参加者同士で3人組になり、「話し手」、「聴き手」、「書き手」に分かれインタビューをしあうワークをしました。ローテーションで全員が全ての役を体験します。
 聴き手の人はインタビューシートに沿って話し手に聴いてください。話し手の人は聴かれたことをあるがままに話してください。書き手の人は、話し手が話してくれたことをインタビューシートに書き込んでください。大切な空間になるように3人で場を作っていってください。
 3人組で話したことをまとめて全体で共有しました。
「コロナ」の中でも活動がうまく行えた、という話にはどんなものがあったか?
・オンライン牧場散歩の企画
(事前に乳製品等を送る)
・遠方の学校と繋がれた
・以前に体験した方が、販売しているジェラートを食べに来てくれた
・緊急事態宣言の合間で来てくれた子どもたちのキラキラした笑顔
・従業員とのコミュケーションがじっくりとれた
・オンラインの活動で全国の方と繋がれた
・来場者は少なくなったが、じっくりと話ができた
今後の活動において、どんな助けや協力が必要だろうか?
・情報交換できる場が欲しい
・みんなと悩みを共有したい
・酪農家のファンづくり
・牧場とFAのマッチングサイト

このつながりのみんなと話したい、聞いてみたいことは?
・みんなの活動内容が知りたい
・高齢化が進む中、若い人に参加してもらうには
・体験の中で大事にしいること
・牧場の環境をどれくらいきれいにしているのか
・牛乳を使った料理の紹介
・なぜファシリテーターの資格を取ろうと思ったのか
今日の収穫
 今日の研修で得たことや発見したことなどを思い起こし、インタビューシートの5つの項目に書き込まれたことを3人組で共有したのち、全体で発表しました。

「私のこれからの酪農教育ファーム活動」のために、私がまず取り掛かりたいと湧いてくることはなんだろう。

・オンラインを使って多くの人に酪農を知ってもらう
・週末にお手伝いに行く、酪農家さんを元気づけたい!
・経済動物の存在意義を考えてもらうきっかけを作りたい
・これから酪農と教育活動を続けていくためにアフターコロナ対策を考える
・酪農教育ファームの価値を若い方に広げていく
・地域とのコミュニケーションをとる
・来場者との密なコミュニケーション
・今日この場で繋がれた方と今後も繋がっていきたい
 どのようにファシリテーションするかという技術も大事ですが、どんな自分を持ち寄っていくかということ、なぜ自分がやるのか、何を起こしたくてやるのかをあらためて大事だと感じられた時間だったと思います。
 たくさんの大切な声をこの場に出してくれてありがとうございました。これからも皆さんが繋がって、そこから何かが生まれていったら良いなと願っています。


株式会社musuhi COO/ひとつまみの希望 主宰 石川 世太

1984 年東京生まれ。
学生時代に「ファシリテーション」と出会い、「人と人が共に何かを生み出す」その場をより良くできる方法に心惹かれ、その実践に明け暮れる。
鹿児島に移住し、まちづくりワークショップ、中高生と社会をつなぐこと、持続できる暮らし、住み開きなど様々試みる。「心と身体、魂に働きかける場と問いをデザインし、人や組織が持つ無限の可能性をひらくことで、愛と生命力に満ちた未来を共につくる」をミッションに様々な事業に取り組む。

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