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ーワークショップ(抜粋)ー(11月5日)
令和3年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(6回目/11月5日)
石川 世太
株式会社musuhi 取締役 COO/
ひとつまみの希望 主宰


 スキルアップ研修会は基本的に3年に1回の受講ですし、昨年度はスキルアップ研修会自体が開催されなかったということで、今日は久しぶりに研修会に出ている方も多いと思います。
 そして昨年度はいろいろな面でコロナの影響が大きかったのではないかと思います。
 今日は1人1人がコロナの期間の中でどのような体験をしてきたのか、酪農教育ファーム活動はどのような影響をうけたのか、コロナ禍でもこんなやり方があった、これからどのようにやっていけるか等について、ここに集まったみんなで感じ合って、これから先の活動に活かしていければと思っています。
チェックイン(この場に入るための時間)
 この場により深く「入る」ために、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って、参加者同士が3人組になって5つの項目を話し合いました。
 研修会等でよく、グループになって自己紹介をしましょうという場面があると思います。そのように、「その場に入るための時間」をファシリテーター用語で「チェックイン」と呼びます。 

1.呼ばれたい名前
2.今どこから参加しているかというと…
3.最近あったよかったことや、自分にとって新しい出来事は…
4.この時間に期待していることは…

 話し合いの後「4.この時間に期待していることは…」について感想を共有しました。
・元気になりたい
・話すだけではなく聴く力も養いたい
・普段、酪農家の方と話す機会が少ないから楽しみ
・コロナでどんなことをしているか
・コロナで思った活動ができていないから、みなさんの取り組みを聞きたい
・ファシリテーション能力向上
・毎日の日常からの変化
ファシリテーションをやる上で大切な事
・目的と意図、そして到達したい状態
・やる事の設計

 私はファシリテーターとして場を作る時に、どんな目的や意図を持って行うのか、そしてこの場が終わる時にどのようなところに到達しているのかを大事にしています。
 何をやるかというプログラムはありますが、どんな思いや目的でやるのか、どこまでいこうとしているのかという意図があると、プログラムをやる必然性が出てきます。また一緒にやるみなさんにも届きやすくなります。
 今日は「たくさん話せた。聴いてもらったし、自分も聴いた」と思ってもらえること。改めてどうして酪農教育ファーム活動をしているのかに気付くこと。仲間と改めて繋がるきっかけになること。研修会が終わる時に、そんな感想が聴けることを描いて場を作っています。
 「ファシリテーションはこうですよ!」と一方的に伝えるのではなく、一緒に作っていく場にしたいと思います。
Be(あり方)とDo(やること、やり方)の意識
 何をやるかの「Do」は、酪農教育ファーム活動で言えば、乳搾りやバター作り等の体験(やること)です。その体験をどんなあり方でやるのか、どんなあり方でみんなと共に体験するのかが「Be」です。「やり方=Do」と「あり方=Be」の両方が重要です。
 体験をやることはもちろん大切ですが、それをやったことで何を伝えたいか、どんなあり方で自分がいるのかが大切なのです。

「どんな声にも居場所をつくる存在」
 今は特にコロナ禍の中で、みなさんがいろいろな状態にあると思います。人には言わないけれど実はこんな大変なことがあった等、人は出しにくい声を持っていると思います。
 本当のところはどう思っているのか。本人でさえも、自分の内の中にある声に気付いてないこともあります。言葉にできないけれど自分の内の中に何かがある感じ、というのもあると思います。
 「氷山の一角」という言葉がありますが、目に見えるものは本当に一部で、見えていない部分の方が大きいのです。見えていない部分を大事にする、引き出してあげる、出しにくい声も出して良い場だと思ってもらえる、そんな場を作ることがファシリテーターにとって大事なことだと思っています。
話し、聴き合う
 参加者同士で3人組になり、「話し手」、「聴き手」、「書き手」に分かれインタビューをしあうワークをしました。ローテーションで全員が全ての役を体験します。
 聴き手の人はインタビューシートに沿って話し手に聴いてください。話し手の人は聴かれたことをあるがままに話してください。書き手の人は、話し手が話してくれたことをインタビューシートに書き込んでください。大切な空間になるように3人で場を作っていってください。
 3人組で話したことをまとめて全体で共有しました。

「コロナ」の中でも活動がうまく行えた、という話にはどんなものがあったか?
・感染者数が少ない地域だったの体験の機会が少し増えた
・密にならない屋外の体験なので評価されたのではないか
・オンライン用の素材作りをはじめた
・クラウドファンディングで資金援助の募集
・遠方へ行くのが難しくなり近場の学校や見学者が増えた

今後の活動において、どんな助けや協力が必要だろうか?
・教育ファーム用のツールを新調したい
・オンライン用のツールが欲しい
・民泊を今度どう続けてけば良いかの知恵
・酪農家の横の繋がり

このつながりのみんなと話したい、聞いてみたいことは?
・スキルアップ研修会以外でも、話が出来る場が欲しい
・「くさい」という話が出た時どうするか
・地域や牧場の規模による「見せ方」の違いを聞いてみたい
・牧場のトイレの問題
・ベテラン酪農家の方にお話を聞いてみたい
今日の収穫
 今日の研修で得たことや発見したことなどを思い起こし、インタビューシートの5つの項目に書き込まれたことを3人組で共有したのち、全体で発表しました。

「私のこれからの酪農教育ファーム活動」のために、私がまず取り掛かりたいと湧いてくることはなんだろう。

・まわりを巻き込んで楽しいことをやる!!
・まずはどんどん活動に取り組む
・できないと考えるのではなく、何ができるか考えていきたい
・しっかり聴くということを大切に
・ファシリテーターとしての教育活動
・心を込めて話しかけたい
・環境、学びの場を整えていきたい
・しっかり話し合って内容を組み立てる
・深く考えてもらえるような体験の構成を考える
・自分磨き
・新人ファシリテーター勧誘
・ちゃんと寄り添っていきたい
・子どもたちだけではなく、親たちにも酪農を知ってもらいたい
 今日の研修会で私はみなさんの大事な時間を預かっている立場にいます。その時間を大切に使っていくために事前に出来る準備はします。準備した全ては出来ないかもしれませんが、大事なものを預かっているそんな心もちで場を持っています。どんな意図を持っているかで本当に体験の質は変わります。
 明日から前に向かっていく気持ちを持って、今日のつながりを継続したもらい、みなさんの日々がすこやかで実りあるものになることと体験活動が豊かになることを願っています。


株式会社musuhi COO/ひとつまみの希望 主宰 石川 世太

1984 年東京生まれ。
学生時代に「ファシリテーション」と出会い、「人と人が共に何かを生み出す」その場をより良くできる方法に心惹かれ、その実践に明け暮れる。
鹿児島に移住し、まちづくりワークショップ、中高生と社会をつなぐこと、持続できる暮らし、住み開きなど様々試みる。「心と身体、魂に働きかける場と問いをデザインし、人や組織が持つ無限の可能性をひらくことで、愛と生命力に満ちた未来を共につくる」をミッションに様々な事業に取り組む。

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