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平成27年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(東京会場)
−ディスカッション−(抜粋)
平成27年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(東京会場)が行われました。
事例から学ぶ、出前授業のあり方
 ディスカッションの前に、アイスブレイクとして、全員で誕生日順に輪となり、1人ずつ自分が今までに呼ばれた、又は好きなあだ名を発表し、自己紹介を行いました。今日一日はそのあだ名でお互いを呼び合うことに決め、グループごとのディスカッションが始まりました。
 
 千葉県加茂牧場の加茂さんが小学5年生を対象に行った出前授業の様子(DVD鑑賞)を見て、感想や印象を話し合い、グループごとに発表しました。
Aグループ
・プロジェクターやグーグルアースなどの使い方が上手だった。
・堆肥や廃用のことで臭い等の問題がある中、うまく話していた。
・このDVD自体が、われわれ(酪農家)の教材として役に立った。

Bグループ
・牛を連れて行かなくても、えさなど持っていくことで話せると感じた。
・牛と人を比べて、牛を人に例えてうまく説明していた。
・子ども達は臭いに敏感で、それに特化して話を進めていったこと。子どものひきつけ方が上手だった。
・やり取りが活発だった。(子ども達全員参加だった)
Cグループ
・全体の流れが良かった。
・加茂さんが自分でやられていることを話していたが、全体的な情勢等も含めて話しても良かったのではないかと感じた。例えば、加茂さんの牧場は循環型でやっていますが、私のところは100%購入飼料なので、そういうパターンも説明に付け加えてほしかった。

Dグループ
・話術が巧みだった。伝えることは大事だが、つまらなかったら子ども達は反応しないと思う。いかに子ども達をひきつけるかが大切だと感じ、勉強したいと思った。
・最初に牛、えさなどの話をして最後に、いのちの話でまとめていましたが、それがすごく大切な事だと感じた。酪農の話にとらわれがちだが、最後「いのちをいただきます。」という事を伝える事もすごく大切だと思いました。
Eグループ
・出前授業と受入の違いがあり、受入だとあれもこれもになり、なかなか酪農についての話が進まず、伝えられないが、出前だとそういう事がなく具体的に話ができて良いと思った。
・酪農のリサイクルの話が出たことが良かった。
Fグループ
・オーバーヒートしてしまった子どもを静止する方法が上手だった。ただ、その子どもにその場ですぐダメというのではなく後に活躍の場を作ってあげたこと。メリハリのつけ方が上手だと思った。
・専門用語にはこだわらない。酪農の知識を教えるのではなく、イメージが伝われば良いと感じた。例えば、堆肥ではなくブリブリハウスなど。
・種雄牛のパンフレットを見せるのは面白いと思った。(高学年対象)
・子どもはうんちが大好き。疲れた時にやると効果的。
・プロジェクターに映し、みんなが見れる形していたところ。小さな紙芝居だと後ろの子どもが見えないため、見えるようにしてあげることが第一。教材の使い方が上手だった。
Gグループ
・話の流れが良かった。ポイントをつかんでいて、最後にいただきますの話をしているところが良かった。
・堆肥を実際に持ち込んで、臭いの反応等を見るのが面白いと思った。くさいを見せる。
・酪農家として言葉に説得力があった。酪農が大変だという事よりも、興味をもってもらう話題づくりが上手だと思った。
・受精師の話をしていたが、子ども達が勉強したメダカの話につなげて話していたところが参考になった。
子ども達の反応がなかったら、どう対応する?
松原:やり取りが活発だった。という意見がありましたが、やりとりがうまくいかなかったら、どうしますか?
参加者:全員が話に食いつくことはあまりありません。シーンとなる方が多いです。
参加者:シーンとした時は挙手をしてもらうと良いです。それで「どうして?」と聞いてみると反応が返ってきます。DVDのように子ども達に質問を投げかる事はとても良いと思いました。質問すると子ども達は反応せざるを得えません。手を挙げて答えて行くと、そこからやり取りが始まると思います。
松原:シーンとしたら、とりあえず質問してみることは1つですね。
参加者:それでも反応がない時がありますが、私はその時には思い出を話します。あと、つかみがあると良いと思います。反応してくれます。
松原:相手に求めるだけでなく、こちらからアクションする事も大事ですね。
酪農家が学校へ出向く出前授業と、牧場に子ども達が来る受入体験
松原:牧場に行くと体験がメインになりますが、出前だと限られたスペースなので、話に対しての反応がダイレクトに返ってくる怖さもあります。しかし、きちんと話が出来る場なので自分達の話したいことが話せるメリットがあると感じます。
参加者:受入は小学校メインで修学旅行や林間学校が多く、そのスケジュールに組み込まれているので時間が足りません。体験がメインになり、説明をするタイミングがないのです。1日に3校、4校と詰まっている時もあり、うまく時間が取れません。
松原:そんな時の工夫はありますか?
参加者:私は最後のしめの挨拶で伝えたいことをまとめて話しています。
参加者:体験の時間だけではあまりに時間が足りないので、教材やプリントを配ります。それである程度伝わるかと思っています。
話す?どう伝える?性の事
松原:受精の話が出ましたが、DVDではお父さんお母さんを引き合いにうまく話していたという意見も出ました。受精の話はどう伝えたら良いか悩んでいる方もいると思います。どういう風に話をしたら良いと思いますか?
参加者:私がお父さんお母さんで失敗したのが、最近はシングルマザーの子どももいて、お父さんの顔を知らないことがあります。今の社会情勢では微妙なことろもあると思う。その時はどうしたら良いでしょうか。
参加者:事前打ち合わせの時に先生と話していて、シングルマザーの話題もでますが、実際にお父さんとお母さんがいないと子どもが産まれないのは事実なので、そこはきちんと話しています。
松原:高学年になると第二次性徴期に入ることもあり、男性がそういう話をすると過敏に反応してしまう女の子達がいます。今回のDVDの中で、加茂さんは最初に「僕のことは変なおじさんだと思わないで、今日は勉強だから。」と、ひと言言っていまた。そういうひと言も大事だと感じました。
酪農ってかっこいいだろ!等身大で子ども達と向き合う
 最後に、子ども達のコミュニケーション、関わり方の中で、自分自身が大切にしていること、大切にしたいと思っていることを発表してもらいました。

・子ども達に接する時に1番大切なのは誠実さだと思っています。場がシーンとしても自分の伝えたいことを伝えることが大事だと思います。
・笑顔で楽しい雰囲気づくり、面白く自分も子どもになって勉強することが必要ではないか。
・出前授業に限りませんが、「いただきますの意味、楽しい、美味しい、感謝の気持ち」を言葉にする。私の牧場でも最後に「いただきます。ごちそうさまでした。」と言いますが、今の酪農情勢が大変だとか、苦労しているとか、農家は大変だから牛乳飲んでねとか、ネガティブに話すより、伝える時には俺達の仕事、酪農ってかっこいいだろという思いをもって伝えています。聞いている子ども達の中に酪農ってかっこいい、俺もやりたいって思ってくれる子が1人でも2人でも出てくれると嬉しいと思います。それが将来的に微力かもしれないが、農業全体の地位の向上につながり、また地域への理解の向上にもつながると良いなという思いで話しています。
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