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平成26年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(関東会場2)
―パネルディスカッション1―
平成26年度 酪農教育ファームスキルアップ研修会(関東会場2)が行われました。
体験から学ぶ出前授業
 本日は全国からファシリテーターに集まって頂いております。最近の口蹄疫発生の情勢や、安全衛生リスクを念頭に置いた出前授業についてのディスカッションを予定していましたが、ファシリテーターの皆様が牧場でたくさんの受け入れ、体験を行っている中、「出前」という括りだけではもったいないのではないかと思いました。そこで、皆さんの想いや意見を聞き、子ども達に「寄り添う」感覚を学び、気づきや、今後やってみたいことを自らの体験プログラムに活かし、プログラムの精度を高めて頂きたいと思います。
―講演の中で、動物から人間を育むことに興味を持って教師になったとありましたが、秦先生は毎日子ども達と向き合う中で、どういう子ども達であって欲しいと考えていますか。

秦:
タイの農村の子ども達は食べるものを自分で育て調理し、遊ぶおもちゃがなくても自分たちで工夫して森の中で遊んでいます。今の時代を生きる日本の子ども達にも自分で生活していく知恵を身に付けた人間に成長して欲しいと思っています。知識として教わるものではなく、感覚、体験、沢山の人との出会いなどを通じて、人間力の高い子ども達に育って欲しいと思っています。

―子ども達と接する上で何を一番大事にされていますか。

秦:
子ども自身が体験して、子ども自身で気付く事です。学校の先生は、自分の仕事を「教える事」だと思っている人が多いのですが、子どもにとって先生から押し付けられ教わったことほど身に付かない事はありません。子ども達が自分でやってみて失敗したり成功したり、面白いと感じたりする事は必ず身に付いていきます。そのために大人がまず学んでおかないと、そういった体験の場を作る事が出来ません。以前「教師の仕事は教えることじゃなく学ぶ事」と言われたことがあります。
子ども達と触れ合う中で大切にしている想い、大事な事
―次にパネラーの皆さんにお話しを聞きたいと思います。
パネラーの皆さんは子ども達と接する時に大事にしている想いなどありますか?

須藤:
私は酪農教育ファームの活動を始めて20年ほどになります。酪農家に嫁ぐ前に少し中学校で仕事をしていたので、今日秦先生の話を聞いて、私の若い頃の想いとよく似ていると感じました。
私が大事にしている事は、先生と同じなのですが、自然と触れ合う機会が少ない子ども達に、自然の中で生きる力を養って貰いたいという想いがあります。怪我をするならしなさい、牧場のぬかるみに入ったらどうしたらいいか、自分の身を守る、生き抜く力を与えたいという想いを今思い出しました。ただ、今は「寄り添う」という気持ちにも変わって来ました。ただ生き抜く力を教えるというのではなく、寄り添ってあげられる方法を探しながらやっています。
小澤:
私が体験授業をする時は「〜してはダメ」「あそこに行ってはダメ」など、「ダメ」という言葉を使わないようにしています。牧場に来てくれた時ぐらいは自然の中で、開放的にやって欲しいからです。

清水:
こちらからあまり教えないというか、子ども達から質問があれば答えてあげるようにしています。子ども達が自分で気になったことは、自分で調べたり、また牧場に来て質問したり自ら学ぶと思います。最初の頃は説明をしていましたが、子ども達は自分が興味の無い事だと聞いてくれません。牛についての簡単な説明はしますが、それ以上のことはあまり教えず、雑談の中で話したり、沈黙にならない程度に話します。

―須藤さんの気持ちの変化はきっかけがあるのですか?

須藤:
若い頃は熱血で、自分の身は自分で守れ!というのを伝えたくて、色んなことをやってきました。口蹄疫の状況もありますが、東日本大震災以降、プログラム的には当初と変りないですが、自分の気持ちに変化がありました。地震が起きてから、とても多くのいのちが自分の目の前で流されてしまう経験をした子ども達が沢山いて、私よりもいのちの大切さを知っています。大きなショックを受けた子ども達に寄り添って、私たちも学んで支えてあげられる、酪農家として支えてあげられる方法はないかと、目的が変わってきたと思います。
―会場の皆さんにもお聞きします。

参加者:
子どもたちは言葉で伝えてもすぐに忘れてしまうので、五感を使うことを大事にしています。牛は牛乳だけでなく、米や野菜作り、果物にも牛の糞や尿が役立っているなど循環しているということが一番伝えたいことです。

参加者:
私も色々な学校の子どもを受け入れていますが、今の大人も子どもも食べ物はスーパーに行けば何でも買えると思っていて、ない事がどんなに大変な事かわかっていません。震災が起きて一番大事なのは食料と水です。食べ物が一週間なかったら、みんな死んでしまうということを目の前の牛達のことと併せて説明すると反応があります。丈夫な体になるには、色んなものを無駄なく大事に食べること。何を食べるかによって健康にもなるし、具合も悪くなるといったようなことを、体験をきっかけに考えてもらえると嬉しいと話しています。

参加者:
酪農家は牛のお陰で生活しているということを一番伝えたいです。電気、ガス、水道を使い、私は学校にも行かせてもらった、だから感謝している。酪農家は牛をただ経済動物として飼っているわけではないということを感じて貰いたいと思っています。酪農家は学校の先生が教えられない事を教えられることに自信を持っています。仕事は休みが少なくて大変ですが、子ども達に酪農もすごく楽しい仕事だということを伝えたいです。
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