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ー酪農教育ファーム活動における安全・衛生の基準(抜粋)ー(3月3日)
令和3年度 酪農教育ファーム認証研修会(2回目/3月3日)
酪農教育ファーム活動における安全・衛生の基準
村田 亮氏
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医細菌学ユニット 講師
安全について
アレルギー体質の子どもへの配慮
アレルギーの有無については事前に必ず確認しておいてください。ただ、牛舎では今まで接したことがないアレルゲン(寝藁、牛舎の粉塵、ウシのフケなど)があるので、突然アレルギーを引き起こす可能性があります。
普段他のアレルギー(花粉や食べ物など)がある方には注意も含め、確認してください。
万が一「ひきつけ」を起こした場合は、衣服をゆるめ安静にさせて、5分くらい経っても治まらない場合は救急車を呼んでください。発熱を伴う場合は、症状が治まっても医師の診察を受けるように勧めてください。
ケガについての留意点
牧場に救急箱を置いていると思いますが、中身が古くなっていないかなど定期的に確認をしてください。消毒液や飲み薬なども入っているかと思いますが、体質もありますので安易に傷口に消毒液を塗ったり、飲み薬を飲ませたりしないでください。傷口は水や出来れば温水で洗い流し、清潔なガーゼや傷パッドのようなもので覆い、心配であれば医療機関で適切な治療を受けてもらう様にしてください。
牧場で飼育されている牛以外の動物について
牧場に来場された方が、牛以外の動物の飼い方について虐待ではないかという問い合わせ事例が発生しています。
牧場側にとっては当たり前のこと、また理由があってしていることでも、見学者からしたら非日常であるということがあります。その場で直接説明が出来れば解決できる話も、今は、「誤解」したままSNSへ掲載され、拡散、拡大される時代です。
動物の愛護及び管理に関する法律は内容が細かくなっていっているので、1度確認するとともに、見学ルートは一般目線で確認、撮影の際に一言声掛けしてもらう様な基準を設けると安心かもしれません。書き込みやクレームを見つけた場合は直接反応せず、周囲に相談するようにしてください。
衛生について
感染症の基本対策
●入れない(出入り口の消毒や靴底を洗うなど)
●拡げない(動線の確保、踏み込み消毒槽の設置など)
●持ち出さない(牛舎を渡り歩かないなど)
感染リスクを低減させるために
感染リスクを低減させるためには大切なのは手洗いの励行です。手洗い場を適切に配置することや来場者に見合った手洗い施設を設けるなど気を付けてください。
ウシに感染して問題となる伝染病
●口蹄疫
●BVD、RSなどウイルス性呼吸器病
●ロタ、コロナなどウイルス性下痢症
●サルモネラ症
●黄色ブドウ球菌
●ヨーネ病
一番気にしているのは口蹄疫だと思います。日本のまわりは口蹄疫が治まっていない地域が多いです。いつ入って来てもおかしくありませんので気を付けてください。
感染症の成立要因
1.感染源(微生物そのもの、微生物を持つ動物など)
2.伝播経路(感染源と感受性宿主をつなぐもの)
3.感受性宿主(微生物が体内に入ると病気を起こしてしまう動物、人間など)
感染症が起こるには3つの要因があり、このどれかをなくせば感染症を予防することができます。
伝播経路の遮断
ウイルス(感染源)の排除やウイルスに感染した動物(感受性宿主)を排除するのは難しいので、みなさんには伝播経路の遮断を積極的に行っていただければと思います。
他の農場との接触を遮断してください。複数の農場の往来を禁止、牛舎環境周辺へ消石灰散布、関係者以外の立ち入り、流行国からの帰国者の立ち入りや飛び込みの体験の禁止などを徹底してください。
最近はコロナの影響もあり、至る所でアルコール消毒を目にするかと思いますが、口蹄疫ウイルスにはアルコール消毒は効きませんので気を付けてください。口蹄疫には酸やアルカリが効果的で、pHを変えるような消毒剤が混ざったものも売っていますので活用してみてください。またはキッチンで使うようなハイターを少量薄めても消毒剤として活用できます。
踏み込み消毒槽の消毒剤は逆性石鹸など普段使用しているもので構いませんが、悪性の伝染病が心配な時には消石灰を混ぜて溶かしたものが効果的です。より効く消毒剤は、危なかったり、物を劣化させる力が強かったりします。常に最も強い消毒剤を使うことは安心かもしれませんが、状況に合わせて使い分けれるとよいと思います。
また、消毒剤は紫外線に弱く、寒い地域では消毒剤の表面が凍結することもあります。防止策としてバスマットのような穴が開いていて液体の上に浮くようなものを中蓋として入れておくと良いと思います。
Covid-19と酪農教育ファーム活動
酪農教育ファーム活動として気になる事は、動物に罹るのかということだと思います。分かってきたことは牛や豚への影響はあまりなく、万が一感染してもそこからヒトに移す可能性も低いということです。ただ猫に関してはヒトに移す可能性があると言われていますが、牧場付近にいる野良猫と見学者が濃厚に接触することはあまりないと思いますので、可能性としては低いと思います。
出入口の手指消毒や踏込消毒槽などの消毒は昔から行っていると思いますので、牧場に行ったからコロナの感染リスクが高くなるということはないと思います。消毒の際には、まず手や長靴を洗い汚れを落としてください。汚れたままだと消毒剤は失活します。洗った後には必ず乾燥させてください。濡れたまま消毒をしても濃度が薄まり効果が半減しますので気を付けてください。
人に感染して問題となる伝染病
人に感染して問題となる伝染病には、カンピロバクター症、クリプトスポリジウム、サルモネラ症、腸出血性大腸菌症などがあります。これらは動物にはあまり害はありませんが、人間が感染すると強い症状が出るものもあります。これらの予防も手洗いの励行です。十分に手洗いをして病原体を持ち出さないように注意してください。
牧場内でガムや飴を舐めたり、赤ちゃんのおしゃぶりをなど手洗い前だと感染のリスクが高まりますので、注意してあげてください。
生乳の取り扱い
手作り体験教室での注意点
今はコロナもあり、手作り体験は難しいと思いますが、実施する場合は以下のことに気を付けて行ってください。
●搾った生乳をその場で参加者に飲ませることは避けてください
●手作り体験の原料は市販の牛乳を用いる
●屋内・日陰で作業する
●手指の洗浄・消毒
●容器は加熱(殺菌)可能なものを用いる(使い捨ての容器など)
●作った乳製品は絶対に持ち帰らせない
不特定多数への譲渡には許可が必要(食品衛生法・乳等省令)
質疑応答
Q1体験前後にきちんとアルコール消毒をすれば、手洗いは省いても良いですか?
アルコールなどの消毒剤に汚れ(有機物)が混入すると、消毒効果が大きく低下します。手洗いをし、しっかりと乾燥させてからアルコール消毒をするようにしてください。
Q2小学校から子供たちが見学に来ました。先生がきちんと見ているので、学校に戻ってから手洗いをしても良いですか?
帰りの移動で色々なところを触りますし、手に付着していたものが口に触れることも十分にありえます。必ずその場で手を洗わせ、ファシリテーターの方がしっかりと見届けるようにしてください。
Q3冬場は寒いので消毒薬はお湯で溶かしても良いですか?
次亜塩素酸系などの一部の消毒薬は高い温度で溶かすと消毒効果が失活しますので注意してください。手で触れれるくらいのぬるま湯でなら大丈夫です。
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医細菌学ユニット 講師 村田 亮氏
生産動物も伴侶動物も、人間が生きていくためには欠かせない大切な存在である。そんな身近な動物たちが感染し、病気の原因要因となる細菌について、予防や治療に役立つ基礎的な情報を収集。
畜産物やペット(=家族)が安心で安全に暮らし、快適に生活を送れることを目指して、細菌病の研究を進める。
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