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2019年度 認証研修会(大阪会場)ーワークショップー(抜粋)
酪農教育ファームファシリテーターの役割
石川 世太 氏
ファシリテーター


 ファシリテーターの石川世太さんを講師に迎え、ワークショップを行いました。
 自らの言葉で「話す」、「聴く」ことを通して、「自分にとっての酪農教育ファームファシリテーター」を見つけるための研修を行いました。
心に響くような時間にしたい
 「ファシリテーション」という言葉を調べると「促進する」や「円滑にする」など、色々な意味が出てきます。
 私はファシリテーターとして、人々が自分の仕事に活かせるようなスキルを教えたり、森の中での体験で人生に響いていくような気付きを生む手伝いをしたり、色々な領域のファシリテーションを行ってきました。その中で、「ファシリテーションとは何だろう?」と考えた時に、自分の人生と同化したものなのではないかと感じました。皆さんの中にも、酪農や牛と生きることが人生と同化している人もいるのではないでしょうか。
 
 人が大勢いる所で緊張したり、人に苦手意識を持ったり、周りに合わせようとしたり、本来の力をなかなか発揮しづらい世の中だと思います。今日、私は「伝える人」という役割ですが、例えば学びを押しつけるようなことをしたら、みなさんはきっと学びづらいと感じるのではないでしょうか。私と皆さん、お互いが協力し合わないと学びは起こりません。「個人」や「この場」の力や可能性を十分に発揮するのに、ファシリテーションが役立ちます。
 今日は表面的なスキルよりも、「自分はなぜ酪農教育ファームをやるのか」という皆さんの心と向き合い、心の深いところにある想いに響くような時間にしたいと思います。
今日の場で大切にしたいこと
■率直な言葉が流れる空間であること
■大切に聴いてもらえる空間であること
■沈黙も大切にされる空間であること
■自身の可能性、願う未来を描きそこにつなげる時間であること
チェックイン(この場に入るための時間)
 この場(研修)に入るための時間をファシリテーター用語で「チェックイン」と言います。
 この場により深く「入る」ために、まずは3人組になって4つの項目を話し合いました。
1.呼ばれたい名前
2.どこから来たかというと…
3.体の状態、心の状態は…
4.この時間で学び、持ち帰りたいことは…
インタビューワーク
 2人組になり、お互いがインタビューをし合うワークをします。
「話す人」、「聴く人」に分かれ、交代で2つの役を体験するようにローテーションします。
 2人組は、目があった、ピンときた、この人ともっと話したいと思った方と自由に組んでください。全てにストーリーがあります。ここで組むのもなにかの縁です。

大事にしてほしい点
 聴く人が大事にすることは、話す人の存在を大切に思って聴くことです。聴き手がどんなふうに聞くかで、相手が何を話すかが変わります。相手が本当に大切な事を話せるかは聴き手にかかっています。
【聴く人】
■ただただ聴く
■自分の意識・注意を相手に100%向け続ける
■自分の存在を相手へのギフトにするような感覚
■質問、コメントはしない
■反応もできるだけ小さく静かにする
■微笑みをたたえながら小さくうなずくくらい
■相手の話を評価・判断しない
■相手の目を見続けている

【話す人】
■自分の中にあるものを、浮かぶままにただただ話す「自分との対話」
■まとまりなくてOK、とりとめなくてOK、時間通りに終わらなくてOK、途中で止まってもOK、上手でなくてOK
■言葉が出てこないときは、沈黙して自分の中での探求を進める
(間をつくらないようにすると、習慣的な言葉が出る)
■相手の目を見てもいいし、目を閉じても、どこかよそを見ていてもOK
インタビュー項目(抜粋)
■あなたが今の仕事をするようになったことについて聴かせてください。他のなにかではない、この仕事をするようになったのには、どんな背景があったのでしょう。人生の中のどんな流れが、その入口に立たせたのでしょうか。
■あなたの今の仕事について聴かせてください。あなたがその仕事をやっていて本当に良かったと感じるような、「このためにこの仕事をやっているのだ」と思えるような出来事には、どんなものがありましたか。
■あなたが、今の子供たちが未来に生きることを思うとき、本当に心配だと思うことには、どんなことがあるでしょうか。
■あらためて、あなたが酪農教育ファームファシリテーターをするのは、どんな世界をつくるためなのでしょう。世界というのは、“全世界”という大きなものでもいいですし、あなたのまわりの世界という意味でも構いません。取り組むその先に、どんな未来をつくりたいと願っているのでしょうか。

ワークショップを通じて感じた「ファシリテーターとして大切にしたいあり方」
 最後に「私が酪農教育ファームファシリテーターとして大切にしたいあり方」や、「明日から取り組み始めたいと思うこと」などを発表しました。

●自分もまだ知識が足りないので、参加者と一緒に学ぶような気持ちで体験などしていきたい。参加者の気持ちに寄り添えるようにしていきたい。
●牛の魅力を十分に伝えて、記憶に残る体験、場所(牧場)を作りたい。自分が何を伝えたいかを反芻、整理し、どうすればもっと伝えられるかを考えてきたい。
●いのちと向き合い、いのちを届ける仕事だということに自信と誇りを持ち、教育ファーム活動に取り組んで行きたい。
●人の目を見て、自分の言葉で、その時感じたことを言葉にのせられたらと思います。話し方、聞き方ひとつで相手の受け止め方や想いが変わるということを明日から意識したい。
●生産者と消費者の1番近い存在になりたい。そのために、質問されたことなどにきちんと応え信頼関係を築いていきたい。
 今日のワークショップで学んだことは、ファシリテーションのほんの一部です。でも、全てを学ぶ必要はありません。皆さんの中に今日のストーリーがあることが大切です。自分の中にあるものを言葉にすることが大事なのです。
 ファシリテーターをやる時に必ず「話す」ことはすると思います。何かハプニングが起きた時、それをその後の流れにどう織り込むかが大事です。「気付く」、「質問する」どれにも言葉が必要です。
 ファシリテーションの技術は学ぶ事ができます。でも、子どもたちが牛と出会っていのちと触れ合って、色々なことに気付き、牧場を後にする時には来た時と全く違う顔になっている、知識を教えるのではなく子どもたちが自ら気付くことをお手伝いする方が大切だと思います。
 酪農教育ファーム活動は「文化創り」だと思います。皆さんは今ある文化の維持、またより深く強いものにすることに携わろうとしているのだと思います。文化創りは長い時間がかかりますし、エネルギーもいります。牧場があるということ自体も文化ですが、言葉で語られて創られていくこともまた文化だと思います。

ファシリテーター 石川 世太氏

ひとつまみの希望 主宰 (https://oiwai.life)
Life Embody Facilitator & Write
会議ファシリテーター、組織のビジョニング、企業研修(共感能力開発、言語化能力開発、チームビルディング等)。WEB制作、ライティング。
Life Workとして、鹿児島のオーガニックのプラットフォーム(器)づくりに奔走、鹿児島中央助産院の支援、夫婦ブログの運用。
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