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平成27年度 酪農教育ファーム認証研修会(福岡会場)
ワークショップ ―酪農教育ファームファシリテーターの役割―
講師/ 株式会社 マチトビラ 取締役・事務局長 石川 世太氏

 鹿児島から参りました、石川と申します。私はアドバイザーの松原さんとの縁があり、去年から講師として呼んで頂いていますが、酪農と関わりがある仕事をしているわけではありません。「ファシリテーション」という、話し合いの場作りや、人と関わるシーンをより実り多くするための技術を持った「ファシリテーター」。そのファシリテーターとして11年程活動しています。
今日の狙い!
1、酪農教育ファームで役立つファシリテーションのエッセンスをお伝えします
2、すでにある経験、知恵を元に相互に学びを得られる機会にします
 今日のこの場は、各現場での酪農教育ファームの取り組みを良いものにしていく事を目指していると思います。持ち帰りたいものは、それぞれ違うでしょう。これから活動を始める方は、不安を減らしたいでしょうし、こうやれば良いのか、という方法を持ち帰りたいかと思います。すでに活動を行っている方は、こういう時の対処が分からないなど課題があれば、その時に活かせるヒントを持ち帰りたいかと思います。今日、持ち帰りたいものを個々で思い浮かべて欲しいと思います。
こんな雰囲気でやりたい、3つのこと
 研修をどのような雰囲気でやるのかをお話しします。配布した資料に、僕が場作りをする時にこんな風に出来たらいいなと思ってイメージしている事が、あれこれと書かれています。
 これから今日こんな雰囲気でやりたいなという事を3つ挙げますが、その背景には資料に書いてあるようなことがあります。
1、質問はいつでもしてください
 僕が、話している時に分からなかった言葉や意味について、「どうして?」と思った時には質問してください。グループで話し合いもしますが、「何を話すのだっけ?」、「何をするのだっけ?」と分からなくなった時も、いつでも質問してください。

2、反応を多く、高め合う場に
 反応を多くというのは、話している事への頷きであったり、面白かったら笑って、分からなかったら分からないという表情をする。その様な反応が多いと、言い方を変えたり出来るので僕がありがたいし、皆さんで話し合う場でも、反応を多くすることで、お互いが高め合える関係が作れると思います。
3、自由度の高い場にしたい
 椅子に座らなくてもいいし、部屋の中ならどこで話し合っても構いません。自分がこうしたいという気持ちが満たされるような空間にしたいと思います。どんどん動いてください。僕自身もあまり縛られたくないと思っていますし、ファシリテーションの場では縛られないこと、自由なことがとても大事だと思っています。
この3つを大事にした場にしたいと思います。
頭の整理!瞑想で気持ちをリラックス
 昨日からの研修で、初めての人と慣れない場を過ごしてきたと思いますが、ワークの前に、少し気持ちの整理をする時間を設けたいと思います。何をやるかと言うと、一分間、静かな時間を作ります。目を閉じて、リラックスしましょう。そう「瞑想」です。
 「瞑想」のイメージは個々あると思いますが、集中力を高めたり、生産性を高めたりするために、グーグルでも会社の中で瞑想を取り入れているそうです。ビジネスシーンや本当にやりたい事を実現させるシーンでは、そういう事が大事だと言われています。
 頭の中で、これからのワークショップで何を持ち帰ろうかをイメージして貰えたらいいなと思います。瞑想は呼吸に意識を向ける事が、まずベースだそうです。息を吸っている、吐いているという事を意識してください。でも、意識は勝手に逸れます。「昼に何を食べよう」、「帰ったらあれをしなきゃ」等、勝手に逸れるものですが、それはあなたの集中力が無いわけではありません。自然な事です。逸れたと思えば戻せば良いのです。楽な姿勢で、且つ椅子にあまり頼り過ぎない姿勢が良いです。
ニックネームで呼び合って、親しみアップ!
 初めに、呼ばれたい名前をみんなの前で発表しましょう。
 酪農教育ファームの現場でも、打ち解ける事が大事になると思います。受入側も緊張すると思いますが、来る人も同じように緊張しているかもしれません。様々なシーンを見てきて、人の前で話す場合には、形式ばらない方が、親しみを持ってもらうことが出来ます。こういった研修会で、司会者や講演者のような話し方をしていたら参加者と距離が出来てしまいます。特に酪農教育ファームは、より近い距離で話す事が大事になります。
 コミュニケーションの場での、ファシリテーターの役割として、話さなければならない事、言わなくてはならない事を伝える事が重要になります。相手に気づきを持たせようとして、無理な問いかけをしていないか、相手の為になっているのか等の姿勢が大事です。聞く時は相手の為に自分が存在する位の姿勢でいると、相手も話がしやすくなり、この人と話せて良かったという気持ちになります。
ワーク1:「たった今の気持ち」を話そう!
 3人組になり、酪農教育ファームについて、より知りたい事や気になる事、不安な事を話してみてください。最初の話し出しの言葉として、「たった今の気持ち」を教えて下さい。たった今の気持ちというのは、例えば「眠い」でも良いです。今の気持ちや、状態を教えて下さい。
 普段、「今の気持ち」を聞かれる事なんてあまりないと思いますが、気づき、学びを考える上では大事な事です。牧場にやって来た人達が、今どんな気持ちか、体験をやってみて今どんな気持ちなのか、それを見ている自分はどんな気持ちなのだろうと、自分の気持ちに立ち返る事が大事です。
ワーク2:インタビュー
 皆さんは、これまでの経験で得た知恵や強み、素晴らしさを持っているはずです。それを引き出すような、インタビューワークをしてもらいます。
 相手の話を聞く事、相手の大事な気づきや、それぞれが持っている素晴らしいところをフォーカスする練習です。話す側の人は、出来るだけありありとイメージを思い浮かべながら、思いつくままに、時間も相手の事も気にせず話してみてください。自分を出して話す事は、日常ではなかなかありません。相手の評価を恐れたり、時間を気にしたりすると、ありのままの自分を出して話せないからです。そんな状況では、伝えたい事も伝わりづらくなります。率直に、自分の中から出てくる言葉を話す練習です。
 聞く人は、話す人の体験、気持ち、考えに好奇心を持って聞きましょう。微笑みをたたえつつ、話す人が話しやすいように頷いたり、相槌を打ちながら聞きましょう。話す人が主役の時間です。基本的に、聞く人は言葉をはさまず、じっくり聞きましょう。
 質問の言葉も資料に書いてありますが、無理に答える必要はありません。その質問に対して話す人がじっくり考える時間も必要です。沈黙や、長い間を取る事は悪いことではありません。時間内に答えてもらう事が目的ではないのです。相手の想いを聞く姿勢を感じ取ってもらう為です。
酪農体験の事例から学ぶ。
 これから、牧場での酪農体験事例を見てもらいます。見てもらうのは4つの場面です。「初めに」、「バターづくり」、「搾乳体験」、「終わりに」です。
この4つの場面をみて、「ここは良かった、真似したい」、または「ここは、他にもっと良いやり方があるよ!」という事を出し、そこから「自分だったらこうやる。こうしたらもっと良くなる!」を考えます。3人組になって話し合ってみましょう。それぞれで気になった部分が違ったり、話したかったことが違うと思います。
格言!1人1人の「酪農教育ファームファシリテーター」の私とは!
 最後に『「酪農教育ファームファシリテーター」の私とは』を、一言で表してもらいたいと思います。これから活動するにあたって、何を大事にしていきたいかです。格言のような感じです。自分なりの、自然に出てくるような表現でかまいません。

「酪農教育ファームファシリテーター」の私とは!
・食育の大切さ
・感動を伝えたい
・いのちをいただく
・牛の大切さを伝えたい
・酪農家
・人との繋がり
・相互理解
・楽しいをたくさん
・大変な仕事だけれど、俺はおもろいおっさんでありたい
・たくさんの方々に酪農を知ってもらって、いのちの大切さを知ってもらう
・人と動物との関わり合いを伝えていきたい
・牛の代弁者になりたい。牛乳の美味しさを伝えながら

 今、発表してもらった格言は活動を行っていく中で変わっていくと思います。私も11年のファシリテーター活動の中で変わってきています。 「ファシリテーターってなんだろう?」からはじまり、今では一言では表現できません。これからそれぞれの 「酪農教育ファームファシリテーターとは何か」はどんどん進化していくでしょう。人との係わりは終わりがありません。その道に一緒に立っている皆さんにすごく親近感を覚えながら、今日のこの時間を過ごさせていただきました。
 今、プログラムを一通り終え、ほっとしているとともに、皆さんの中にどれくらいのものを残せたかな、お土産に出来るものがあったかなというところが、まだ分からないので少し不安でもあります。ただ、今、皆さんの楽しい表情が見てとれるのですごい嬉しく、今日のこの場の意味が持てて良かったなと思っています。この機会をいただけたことにとても感謝していますし、しっかり参加してもらったことに感謝を伝えたいと思います。本日はありがとうございました。

株式会社マチトビラ取締役・事務局長 石川 世太
 東京生まれ、2011年4月に鹿児島へ移住。環境・地域活性の分野でのサラリーマンの後、現在はファシリテーターと長期実践型インターンシップ「鹿児島起業家留学」株式会社マチトビラの取締役。 「自分のことも、相手のことも大事にするあり方」が、よりよい人間関係・社会をつくると感じている。2009年度「国連持続可能な開発のための教育の10年」円卓会議メンバー。2010年度環境NGOエコ・リーグ代表理事、全国大学生環境活動コンテスト実行委員・選考委員。平成26、27年度認証研修会東京会場の講師を務める。
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