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酪農教育ファームにおける安全・衛生(認証研修会:大阪会場)
安全対策について
危険エリアの事前確認
体験者を受け入れる前に、まず、実際に見学ルートを歩いてみてください。自分が初めて入る気持ちになり危険な場所と見学してもよい場所をはっきり区別するという事が大切です。大人にとっては気にならない事も、子どもにとっては危険な場合もあるので、子どもの目線になり、もう一度確認をしてください。
また、入ってはいけないエリアには、はっきりと立ち入り禁止の指示を出しておくことです。
最近は、アレルギー体質の子どもたちがとても多いです。乳製品を口にしてアレルギーを起こすお子さんは、保護者や引率の先生方が知っていると思うので、受け入れる前によく確認しておく事が大切だと思います。また、動物の毛やチリ・ホコリに対するアレルギーのお子さんもいるので、あわせて確認する必要があります。
夏場に一番危険なのは熱中症だと思います。熱中症は、熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病の大きく4つに分けられます。熱失神は、めまいや失神。熱痙攣は、痛みを伴う筋肉の痙攣が起きるものです。熱疲労は、体温は正常かやや高めで、めまいや頭痛に吐き気などの症状が出ます。熱射病は、汗をかかず、体温は39度以上、めまいや吐き気、頭痛などの症状が出て、意識障害が起き、ひどくなると昏睡状態になります。
対策としては、まず、体調を整えること、通気性の良い服を着る。帽子の着用、水分補給や休憩をこまめにとることです。応急処置としては、涼しい日陰に移動し、衣服を緩めて休むこと。身体をよく冷やし、水分や塩分を補給してください。
認証牧場の申請書の中に、救急箱の用意という項目がありますが、絆創膏や三角巾、包帯などの用意をお願いします。消毒薬に関しては、現在、傷などに使用しません。けがをしたら良く流水で洗うことが基本です。消毒薬をつけることで傷が治りづらくなるので使用しないでください。また、解熱鎮痛剤(飲み薬)に関しても、副作用や人によっては悪い影響が出る場合があるので、安易に飲ませないでください。
衛生について
[人を介して牛に感染する病]
隣国で口蹄疫が発生している中、いつ日本に口蹄疫が入ってきてもおかしくない状況だという事を頭に入れておいて下さい。
防疫の三原則
「入れさせない」
1.牛舎周囲の消石灰散布
2.踏み込み消毒槽の設置と管理(人や車両出入り制限)
3.導入家畜の隔離、観察
4.野生動物や害虫の侵入防止(特に飼料エリア)
5.獣医などの個人長靴の確保
「拡がらせない」
1.牛舎内の整理整頓、糞を早く片付ける
2.ネズミ、ハエ、ゴキブリ等の駆除
3.定期的な牛床の清掃・消毒
4.異常家畜の早期発見、早期受診(伝染病に関する知識の習得)
「持ち出さない」
1.畜舎を出るときは靴を洗浄・消毒
2.共同使用機械(バキューム等)の洗浄・消毒
3.異常家畜発見後はすべての人が移動禁止
敷地入口・牛舎内外に消石灰の散布や牛舎出入り口に踏み込み消毒槽を設置するなど、衛生管理ができてるか、もう一度確認をしてください。例えば、消石灰を用いた踏み込み消毒槽についてですが、消石灰は粉のままでも効果があります。だた、粉のままだと風が強いと舞い上がってしまいますし、目や喉に入ると痛めてしまう事もあるので、水に溶かして使用するのも良いと思います。単純に水に溶かしても効果がありますが、それにカチオン系の界面活性剤(逆性石鹸)を加えると、鳥インフルエンザにも有効です。
水に溶かした消石灰が乾いてしまうと、効果がなくなってしまうので、乾いたら新たにもう一度撒いてください。
家畜伝染病予防法の改正 (改正のポイント)
1. 海外からのウイルスの侵入を防ぐため、水際での検疫措置を強化
2. 家畜の所有者は、
(1)日頃から消毒等の衛生対策を適切に実施
(2)家畜の飼養衛生管理の状況を都道府県へ報告(都道府県は、家畜の飼養衛生管理が適切に行われるように指導・助言、勧告、命令)
3. 飼養衛生管理基準の内容に埋却地の確保等についても規定
4. 患畜・疑似患畜の届出とは別に、一定の症状を呈している家畜を発見した場合、獣医師・家畜の所有者は、都道府県へ届出(都道府県は遅滞なく国へ報告)
5. 口蹄疫のまん延を防止するためにやむを得ないときは、まだ感染していない家畜についても殺処分(予防的殺処分)を実施し、国は全額を補償
6. 発生時において都道府県は消毒ポイントを設置でき、通行車両は消毒を受ける
7. 口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜・疑似患畜として殺処分される家畜については、特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額を交付
8. ただし、通報などの防止措置を怠った者に対しては、手当金・特別手当金を減額又は不交付
ふれあい動物施設における動物由来の感染症について
[牛から人へ感染する病]
牛から人へ感染するものとして、カンピロバクターやサルモネラ症、腸管出血性大腸菌などがありますが、牧場で注意すべき主な人獣共通感染症としては、O157とクリプトスポリジウム、破傷風、リステリアがあります。
通常、100万個以上の菌が体にはいらないと食中毒は起こらないといわれていますが、O157(大腸菌)は、100個程度の菌が体の中に入っただけでも、発病してしまう可能性があるので注意が必要です。通常の食中毒では、潜伏期間が数時間から数日ですが、O157の場合は3〜14日と長く、何が原因だったかという特定ができない場合が多いです。
また、O157は酸性に強いため、普通の菌なら胃酸で殺菌されますが、生きたまま腸に届いてしまうことも注意しなければなりません。毒力の強いベロ毒素を生産し、激しい腹痛、水溶性の下痢、血便が特徴で、特に小児や老人では、溶血性尿毒症(HUS)や脳症(痙攣や意識障害など)を引き起こしやすいので気をつけなければなりません。
特に、妊婦・免疫機能低下者・5歳以下の幼児、知的障害を有する人、高齢者については、感染した場合重症化しやすいなどの理由により、一層の注意が必要になります。
来場者へは、汚れが落ちやすい素材の服や着替えを持参してもらうこと。動物から感染する病気があることを説明すること。動物エリアへのおもちゃなどの持ち込み禁止などを徹底することが重要です。
生乳の取り扱い・手作り体験をする場合に注意すること
搾った牛の乳はその場で、体験者に飲ませてはいけません。
1.手作り体験の場合は、市販の牛乳を用いること
2.出来るだけ屋根の下や囲いの中(建物の中)で行うこと
3.よく手を洗ってから体験をする
4.体験の順序もできれば、動物に触れる前が良いですが、後にやる場合にはしっかり手洗いをしてからやる。
5.作ったものは持ち帰らずその場で食べる。
6.容器は加熱殺菌できるものを使用すること。
千葉県農業共済組合連合会 南部家畜診療所次長 溝本朋子氏
1959年東京都世田谷区弦巻に生まれ。1985年東京農工大学獣医学科修士課程修了,同年千葉県農業共済組合連合会に就職。2004年HACCPコーディネーター資格取得。子供のころ,近所の馬事公苑で馬にあこがれ,獣医を志す。大学時代,農場実習で酪農の現場に“食の最前線を守る誇り”を感じ、就職を決意する。平成22年度より酪農教育ファーム認証研修会講師および、同認証審査委員会の委員。
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