発表1
生命誕生の映像を見ましたが、お肉になる、死ぬというのとをセットで「生命尊重」は生きてくると思いました。そしてそれを支えている酪農家の言葉は大事だ、という、これはやはり教師にはできないことです。例えば、牛は酪農家のパートナーであるとか、牛の気持ちでエサをあげるとか、牛の立場を第一に考えるとか、牛を1頭ずつちゃんと見ている等、酪農家が語ってはじめて生きてくる言葉ではないかなと思います。
吉田:
死とかお肉になるという出来事を扱うのではなく、その出来事と酪農家の言葉をつないで子ども達に投げかけることによって「いのち」というものをしっかり見せていったら良いのではないかという事を提案したいと言うことですね。
メアリー(DVDで見た牛)はお肉になって死んでしまったけれど、メアリーの子どもはオスだけではなくてメスもいるので、命は繋がっている。自分たちも親と繋がっているということと、牛は人間のために生きているけれども、では自分はなんのために生きているのか?ということを子ども達に返してあげることも、ひとつの価値観だと思います。
発表2
酪農の学びは本当に深く広いので、どこに焦点を合わせるかを沢山話しました。これはとても意義のあるものです。その結果、母牛の出産は中学年にとって、生命誕生の面白いプログラムになるのではないかということ。高学年にとっては、酪農家の生の言葉で、酪農家、酪農産業の様子について、大切にしていること、工夫、努力、配慮などを授業の中に取り入れて、継続して飼って行くことを「生命尊重」にアプローチして行きたいと思いました。しかし1時間では難しいので「牛乳」そのものにスポットをあて、給食で出てくる「牛乳」は、当たり前のものではないということに気づかせる。或いは少し感覚を変えてキャリア教育、働くという部分に焦点をあてるのは?と、悩んで、まだ結論は出ていませんが、「生命尊重」について沢山考えました。
吉田:
この班の提案はおそらく道徳の時間をこんなふうに位置づけるとより深くなる、ということ。例えば先程の「わくわくモーモースクール」の後にこの時間を設けるか、社会科をやってからやるか、と道徳の時間をどこに繋いでいくかでとても悩んだのだと思います。でも子どもにとっては、この1時間で切るのではなく、学びの中にどう位置づけるかがとても大事で、頑張って研究したということだと思います。本日「もーもー」の提案がありましたが、そこで完結せずどう子どもの学びに繋げるのかを、道徳の出前授業と絡めていくと可能性がとても広がるのではないかと思います。
発表3
5年生の45分間の授業という事を考え、出産に絞りました。子ども達は出産そのものに命の誕生をストレートに感じるのではないか、という素朴な発言がありました。まず自分と比較をするということ。逆子で生まれることや、兄弟の出産を考えた子どももいるでしょうし、理科では人の誕生という単元があるし、そういったものとリンクさせて、牛の出産を自分の誕生と重ねる。そして出産をしないとお乳が出ない。子ども達の中から「出産は1回だけなの?」「子牛の口に小指を入れて息が出来るようにしているね」と酪農家の仕事の部分を見つけ、そこから次へ深めて良ければよいのではと思います。
特に出産のシーンでは、あんなに苦しそうなのに、声も上げず振り向いて酪農家を見ていました。そこに深い信頼関係が見えたので、酪農家の牛に対する想いとか、命を管理している責任、そういう方にも繋がって行くと思います。
吉田:
子どもの体験と酪農家の体験を直接重ねるところがとても良いです。自分にとっての身近な出産を思い出させて、自分のいのちを見つめ直す、酪農家の話を聞くことで、家族や親との繋がりを見つめ直すことが、結果的に自分の命を大事にすることに繋がるのではないでしょうか。
発表5
道徳で命、生命尊重を取り上げるとしたら、出産、牛乳。生きているものが出す命を頂いているということ、子牛の命の素を分けてもらっていること、それと関連して、酪農家が命の期限を決めて、引き離すことの意味。その時の牛の気持ちを考え、酪農家の気持ちの背景を考えることから、生命尊重を授業に入れられるのではと思います。
改善点は、出産を取り上げる点。自分も同じように生まれてきた、お母さんが大変な思いをして産んだということを担任が付け足すと良いと思いました。酪農家が語る仕事の部分を大事にして、その思いを語ってもらい、価値付けていくために、担任が子どもの心を揺さぶるような言葉を言う。最後は自分のいのちをどう大切にしていくかを子どもたちから吸い上げる為に、そういった場面を作る必要があると思いました。
牛は経済動物の部分があるから、酪農家が愛情をもって牛を育てていると語り、それは命の期限を酪農家が決めなければいけないからで、お肉になった後も自分たちの命として引き継がれていることを子どもに感じさせる。ここが担任の出番ではないかと思います。子どもの意見を吸い上げながら、整理していく形で価値付けすると、命の尊さを学んでいくことに繋がるのではないかと思います。
福井先生:
みんなの感想をなるほどと思って聞いていました。授業はこの道徳1時間で終わらせられないし、終わらせようと思ってやっていません。吉田さんは何度も私の学級に足を運んでくれ、学年によっては1年に2回も吉田牧場へ行っています。そういう贅沢な環境があったことに感謝しています。吉田さんを呼び、話を聞いても「ふーん」で終わってしまう経験もしました。だから、そこを体験につなげる、牧場へ連れて行くなど、何か広がりをもたせることが大事だなと思いました。そして高学年では、自分と向き合わせるということを大切にしなければと、大変勉強になりました。
講演資料