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平成27年度 酪農教育ファーム夏の研究集会−報告1−
「いただきます」の言葉のうらに−酪農体験から伝えたい食といのちの大切さ−
酪農家 小川牧場 小川 文夫氏
私が大事にしている「青空教室」
北海道、浜頓別町から参りました小川です。本日は実践していることを、そのまま正直に、嘘隠しなく報告させて頂きます。
私の牧場では、青空教室、哺乳体験、搾乳体験を一括りにして酪農体験と言っています。
その他にバター作り体験、アイスクリーム作り体験を行っています。 体験メニューの中でも「青空教室」に特に重点を置いており、牧場の中にシネマと呼ぶ教室を作り、その中でパワーポイントや、紙芝居を使いながら食といのちの大切さを語ります。青空教室が終わってから、搾乳体験、哺乳体験をしてもらい、子牛とふれあい、思う存分お乳を搾ってもらいます。
私が最も大事にしている「青空教室」では、「牛の一生から食やいのちの大切さを学ぼう」ということを伝えています。まさしく酪農教育ファームが目的にしていることを、語ってます。私達が毎日飲んでいる牛乳、食べているお肉がどこから来ているのか。そして、「いただきます」「ごちそうさま」と言う言葉。この言葉にどんな意味が含まれているかを体験に来た方に問いかけますが、きちんと答えられる人はほとんどいません。私は「いのちを頂く」ことはどういうことか、一緒に考えていきましょうと、力いっぱい語りかけるのです。
義務教育の中で食べる給食の数、飲む牛乳の数は1,848本。こんなに沢山の牛乳を飲んでいるのだから、もう少し牛の事、酪農の事を分かって欲しいという語りかけをします。どうしたら牛が栄養バランスよく、沢山の牛乳を出してくれるのかを伝えるために、牛のえさをクイズにします。牛の主食は草ですが、草だけではたくさんの牛乳を出してはくれません。栄養も偏ります。
それを補うために、タンパク質やカロリーを補給する配合飼料を与えると、沢山美味しいお乳を出してくれるのです。それくらい牛に与えるえさの栄養バランスが大事で、それと同時に人間も給食を作ってくれる人やお母さんたちが一生懸命みんなの健康を考え、バランスの良い食事を出してくれているのだと話します。
また、牛は生きたままでは食べる事は出来ません。必ず殺されます。殺す仕事をしている人の気持ち、育て上げてきた酪農家さんの気持ちってどんな気持ちなのだろうというのを私は紙芝居を使って伝えています。
悲しい出来事ではありますが、これが現実です。こういうことがあって私たちは初めて焼肉などを食べることが出来るのです。
つまり肉を食べる事は、動物の命が1つ失われる事、焼き鳥を食べる事は鶏が殺されている事、ジンギスカンを食べる事は羊が殺されている事。いのちを頂いて生きている私達人間だからこそ、いのちを大切にし、食べ物を粗末にしてはいけない、一生懸命食べてあげようという事のなのです。
いのちを頂いて生きている私達人間だからこそ、弱いものをいじめてはいけない、弱い立場にある人を思いやり、守り、そして一生懸命働いている全ての人達に感謝の気持ちを持つ事を体験に来た方に訴えて青空教室を終えます。
牧場、酪農には人間を育てる力がある
こんな素晴らしい目的を持った酪農教育ファームに、なぜ私は興味を持ち、いち早く認証制度を取得して活動を始めたかをお話しします。
平成13年頃、学校が荒れ、授業は成り立たず、殺人等毎日の痛ましいニュース、若者の反社会的な行為や目を覆いたくなるような事件の低年齢化がありました。
酪農教育ファームの目的である「食といのちの大切さ」を伝えることが、そのような事件を少しでも減らす手助けになるのではないかと思い、この活動を始めました。
私は体験に来た人が私の語りや、体験で搾った白い牛乳を見て感動し、来てよかったと言ってくれる、そして感動しているその姿を見て、私達酪農家も感動しこの活動に取り組んできてよかったと思える、そんな教育ファーム活動を目指し、取り組んでいます。子ども達ばかりではなく、大人にも伝えていくべきだと、そういう想いを持っています。
酪農体験をした人達が様々な感想を残してくれます。登校拒否をしていた子、事故で親友をなくし生きる気力をなくした子、学校に行けなかった子が牧場で体験したことで何かに気づく。酪農は、いのちを芽生えさせ、いのちを誕生させ、育て、終わらせるところまでを見ることが出来ます。豊かな人間性を育むことの出来る産業だと、私は思っています。
牧場、酪農は、人間を育てる力がある学校だと言っても過言ではないと思います。
先人たちが切り開いたこの土地を守り、後世に伝え、酪農教育ファームが持つ素晴らしさをもっと多くの人に伝えていきたいと思っています。
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