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スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。 >>>
2002.WINTER Vol.17
伊佐地誠中央酪農会議専務理事の『日本酪農の現状と今後』と題した講演では、現状について「食中毒事故やBSE問題等による酪農業界への余波も落ち着き、14年度の生乳生産は増産基調にある」と報告する一方、「夏場から最近まで飲用向け生乳が不足しているなかで、冬場にバターやクリーム等の需要が増加し、乳脂肪向け生乳が不足するのに対し、脱脂粉乳の在庫はさらに増えるという”ねじれ現象“を起こしている」ことを示唆し、今後の課題としました。
また、今後の展開について「WTO交渉により関税率の削減が予想されるが、守るべきものは守るという姿勢で臨み、不足払い法については基本はこれを守ること、場合によっては根幹を守りながら柔軟に対応、指定団体制度も維持する方向で努力したい」と報告しました。
『農畜産物と食のマーケット』と題した日本総合研究所・大澤信一氏の講演では、農畜産業界を取り巻く経営環境の大きな変化があり、90年代のバブル崩壊以降、日本の食マーケットは、市場流通から消費者流通へと移行していると説明。「昔は需要が供給を大幅に上回っていたので、商品の価格も上がり、生産重視型の販売戦略でよかった。しかし、いまは、少子・高齢化により消費量が減る一方、規制緩和により安価な輸入品が入ってくることなどにより、供給過多で、商品価格も下がっているので、誰に、どのように食べてもらえるか、つまり消費者を意識したモノ作り戦略が必要である」と指摘。
また、この不況のなかにあっても、高級なブランド商品が売れていることから、(値段が高くても)個性的な牛乳・乳製品の購入意欲は高いことが示唆されました。
また、「国民の労働時間が減少して、余暇時間が拡大しているなかで、中国やタイなど、近場への旅行が増えている傾向が見られる」と指摘。このことから、グリーンツーリズムの可能性も示唆されました。
牛乳・乳製品の消費拡大に向け、どのように消費者にPRすべきかをテーマに、日本大学の伊藤敞敏氏が『栄養学から見た牛乳の効用』と題して講演を行いました。伊藤氏は、「日本人のカルシウム摂取量は、必要所要量の600mgに充たず、チーズ等を常食とする欧米人の半分しかない」と説明し、「牛乳はカルシウムが豊富で、小魚や野菜に含まれるカルシウムより吸収率がよく、栄養価も高い」と強調。
また、「牛乳を飲むと下痢をする人は、代わりにヨーグルトを食べれば、下痢にもなりにくく、カルシウムの摂取など、牛乳と同様の効果が得られる。そして、ヨーグルトには、整腸作用、大腸ガンの抑制、免疫機能の向上など様々な効用がある」と伊藤氏。
質疑応答では「牛乳は異種タンパクだから人間の身体にはよくないという論調があるが?」という質問があり、それに対しては「口から入るタンパク質はすべて異種タンパクであり、そんな論調はナンセンス」と断じたほか、「妊婦や高齢の女性には必要所要量以上のカルシウムが必要」との見方を示し、今後の牛乳・乳製品の栄養面における宣伝・広報活動の必要性が示唆されました。
同業他社との熾烈な販売競争を展開しているキリンビール。今回訪れたキリン横浜ビアビレッジは、最新のテクノロジーを完備したビール工場と消費者へのPR施設を兼ねたアメニティ施設で、仕込み、ろ過、びん詰め等、一連のビール製造工程を一般の人でも見学できるようになっています。
また、見学コースのなかには、古代ビールの歴史や原料に関する展示コーナーがあるほか、製造途中の「麦汁」や「若ビール」、「ろ過前ビール」、でき立てのビールを試飲できるコーナーもあり、楽しくビールづくりを見学することができました。
施設内部も明るく清潔感があり、敷地内にはレストランも併設されているので、リピーターが多いというのも頷けます。
牛乳と同じく鮮度が命であるビールをおいしく製造するための最新の工場設備と、消費者へのサービス・PR内容に、参加者もただただ感心するばかりでした。
研修会最後のプログラムとして、女子栄養大学の芳賀磨誉美氏より、実際の調査事例をもとに牛乳の適切な値段と価値を客観的に評価した、『牛乳の値段と価値』についての講演が行われました。
それによると、牛乳のおいしさには、
1 次要因として成分・加工条件・中身、
2 次要因としてパッケージの表示やブランド・価格などの視覚情報、
3 次要因として広告・宣伝などの意味情報があり、「牛乳のおいしさは1次要因のみで決まっている」という従来の牛乳のおいしさに関する研究は間違いだと主張。
2次要因である視覚情報に着目し、同大学の学生を対象に、市販の牛乳を使ったインタビュー形式の調査を実施した結果、消費者が牛乳を買いたくなる要因として、”中身“”見た目“”安心感“などが上位に挙げられ、”健康感(カルシウムが強化されているなど)“”高脂質“などは下位に位置することがわかりました。例えば、牛の絵や青を基調とした牛乳のパッケージには自然っぽさや安心感があり、”牛乳の買いたさ“に結びつきましたが、健康感や高脂質に消費者は魅力を感じませんでした。
また、価格に関しては、安いから買うという消費者心理がある一方、価格が高いからおいしく感じられるという相反する結果も出ていて、芳賀氏は、「安売り競争が牛乳の価値を下げている可能性もあるので、安易な安売り戦略からの脱却をするべき」と示唆されました。
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