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2000.SUMMER Vol.7
VOICE

新酪肉基本方針
昨年7月、「食料・農業・農村基本法(以下「新基本法」)が成立・施行されましたが、現在、これを具体化するための施策の検討や実施が、農水省において進められています。
こうした農政の流れの一環として、本年4月には、『酪農及び肉用牛の近代化を図るための基本方針(以下「酪肉基本方針」)』や『飼料増産推進計画』が取りまとめられ、今後の酪農生産の発展に向けた政策的な基本指針が明らかにされたところです。
各生産者の酪農家としての経営は、それぞれの生産環境や経営主の考え方によって多様な展開となりますが、一方で、酪農経営の長期的安定のためには、その時代に国民(消費者)が酪農生産に何を求めているのかを十分に踏まえることも必要です。
酪肉基本方針などの国が設定する政策目標は、そうした国民的な観点から整理されたものであり、今後の経営行動のひとつの基礎となるものです。


酪肉基本方針等策定の背景
酪肉基本方針では、次の3点が定められます。
(1)酪農・肉用牛生産の近代化に関する基本的な指標。
(2)生乳・牛肉の長期需要見通しに即した地域別の長期需要見通し、地域別の生産目標数量、並びに乳牛・肉用牛の地域別目標飼養頭数。
(3)近代的な酪農経営・肉用牛経営の基本的指標。
すでに平成8年1月、平成17年度を目標年度とした酪肉基本方針が定められていましたが、「新基本法」の新たな発想をもとに、本年3月に策定された「食料・農業・農村基本計画」にのっとり、この酪肉基本方針についても今回、平成22年度を目標年度として、新たに見直されることとなったのです。
また、食料自給率の向上を図っていくためには、自給飼料生産の拡大が極めて重要な課題となっているため、「飼料増産推進計画」が「酪肉基本方針」と併せて策定されたことも、今回の特徴といえます。


酪肉基本方針のポイント
平成22年度を目標年度とした地域別生産目標は、全国合計で993万t(平成11年度実績851万t)、とかなり意欲的な数量となっています。こうしたなか、酪肉基本方針では、今後の酪農生産拡大のための課題として、次の4点の解決をめざすこととしています。
(1)担い手の育成確保。
(2)労働負担の軽減。
(3)飼養及び搾乳技術の高度化。
(4)1頭当り乳量の拡大等を通じた生産コストの低減。
また、急激な発展の一方で、規模拡大によるふん尿過剰や飼料自給率の低下などの問題が顕在化しているわが国酪農の状況に照らし、家畜ふん尿の利用促進及び飼料自給率の向上を図る観点から、土地基盤に立脚した経営体の育成を重要なポイントとして掲げています。
さらに、酪農ヘルパーや飼料生産のコントラクターへの外部委託など酪農支援組織の推進、消費者の酪農に対する理解を広げるといった視点から、生産者と消費者とのパートナーシップの構築、経営における女性の役割評価と参画の促進など、従来にない新しい発想も、現実の酪農経営の動向に即して盛り込まれました。
なお、経営の基本的指標についても、土地条件や経営形態別の8タイプに区分されて示されましたが、従来の生産性指標に加え、環境指標が追加されているのが特徴です。


飼料増産推進計画のポイント
「飼料増産推進計画」では、平成22年度を目標に、全国の飼料収穫量を、TDN(可消化養分総量)ベースで508万t、単収で4,416kg/10aに、また作付面積で110万haと設定するとともに、作付面積の地域別目標数量を設定しています。
この目標数量を達成するための推進方策として、次の9項目が挙げられました。
(1)畜産への土地利用集積及び団地化の推進。
(2)水田等既耕地の活用及び耕種農家との連携。
(3)中山間地域における飼料基盤強化。
(4)草地整備の着実な推進。
(5)優良草種・品種の普及、及び技術水準の高位標準化の推進。
(6)飼料生産の組織化・外部化等の推進。
(7)日本型放牧の推進、及び公共牧場の活性化。
(8)あらゆる地域資源の畜産的活用の推進。
(9)粗飼料多給型畜産物の普及・啓発。


酪肉・飼料の具体化  従来から、こうした基本方針・計画については、その具体化に向けた取り組みや、その達成度合いの評価等が不充分であることが問題視されてきました。しかし、今回は、国、地方公共団体、生産者、関係団体が一体的かつ具体的に取り組むという方針を明確に打ち出していることが注目されます。
 農水省では、畜産局内に「酪肉基本方針」推進本部を設置し、現在、都道府県及び団体関係者との意見交換会が開催されているほか、各地域の実態に沿って、都道府県計画や市町村計画を作成することになっています。
なかでも、飼料増産推進計画については、その具体化を図るために「飼料増産戦略会議」が設置され、平成12年度の飼料作付面積の増加目標を1万haにすることが確認されました。なお、飼料増産の取り組み課題として、コントラクターの育成や、堆肥の草地等への還元のための飼料畑の確保、麦・大豆・飼料作物等を合わせた水田の利用法、などが挙げられています。
 今後は、重点取り組み期間を設定し、各団体ごとに独自の取り組みを行うことが予定されており、いよいよ具体化に向けた活動が本格化することになります。



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