スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



日本経済新聞朝刊掲載広告(平成14年5月26日)





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98年秋に東京から那須高原に引っ越されましたね

高 木 ええ、実は当時、ひどい病気を抱え込んでいたんです。手足の冷えや肩こり、そして頭痛。長年の不摂生がたたったんでしょうか。苦しみを克服するにはどうしたらいいかとずいぶん悩みました。そして健康には、やはり新鮮でクリーンな食べ物が欠かせないと考えたのです。しかし、そういう食べ物を手に入れるのは意外と難しい。これは自分で作るしかないと、那須に家を建てたのです。

? ? ご自身で収穫されたものを食べて、いかがでした。

高 木 感激したことがいくつかあります。もぎたてのトマトを口に入れ、20分ぐらいたったとき、体がポッカポッカしてきて、汗がでてきたんです。あんなに冷たかった体なのに・・・。それを実感したとき、本物の食べ物、生命力のある食べ物の大切さを思い知りました。

? ? 健康に欠かせない食品の一つとして牛乳がありますが、よくお飲みになりますか?

高 木 栃木に引っ越すまでは、両親が託児所を営んでいました。託児所では牛乳が欠かせません。私にとって牛乳は身近な飲み物でした。また、那須高原には酪農家がたくさんいます。私も畑や田んぼの肥料に牛糞をいただいたりと、お付き合いがあるんです。そういう人たちは「牛に何を食べさせてんの」と聞いたとき、すぐ答えが返ってくるし、「見においで」といってくれる。どんな環境で牛が育てられているかがわかるから、牛乳も安心して飲めるの。やはり素性がわからない食べ物は口にしたくありません。

? ? 誰もが牧場を確認して牛乳が買えるわけではないですね。普通はいろいろな牧場の生乳を集めて処理しているので。

高 木 ええ、だから、そのかわり、メーカーや酪農家が、どんな手間をかけ、どんな飼料を使い、どう牛の健康管理をして作っているか。情報を公開してほしいんです。(※3)こんなことを言うのも、私自身、無農薬の有機農法を行って多少なりとも農業の苦労がわかってきたからです。科学肥料や農薬を使わず野菜を作り、つるや枝になったまま完熟させる。これは本当に手間暇がかかる。農業で生計を立てている方は、それを新鮮な状態で出荷し、消費者に届くようにしなければなりません。大変なことです。

? ? ところがそうした苦労が必ずしも価格に反映されません。

高 木 ええ、野菜もそうですが、牛乳も同様でしょう。私の知り合いの酪農家は新鮮で栄養価の高い牛乳を供給するための努力を怠りません。例えば、飼料は安い輸入稲わらではなく、高くても安全・安心な国産稲わらを使っています。糞尿などの排泄物の処理も周辺環境に一段と配慮し、規模の大型化や作業の効率化でさらなるコスト削減にも努めています。一方メーカーも、鮮度を重視する消費者に新鮮な牛乳を届けるため、製造や流通の効率化を図っています。品質面では食中毒事件などの反省を生かし、HACCPシステムをより有効に機能するような対策を講じているそうです。こうした努力にもかかわらず、激しい価格競争に加え、最近の食品関連事件の影響もあって、牛乳の価格は下がっていると聞いています。(※4)採算割れするような極端な安売りで、酪農家が苦しんでいる。まじめに牛を育てている酪農家の苦労が報われるためにも、酪農家の苦労やコスト、牛乳の栄養価や安全性を消費者に伝わるようにしてほしいと思います。



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アピールが必要だということですね。

高 木 はい。情報が行きわたり、消費者が食品のプロフィルをよく見て、選んで買ってほしい。メーカーも、子供でもわかりやすい表示をしてほしい。日本は健康への意識が高い国です。サプリメントとか、がん予防の食品とかに何千円でも何万円でも払う人がいる。そのくらい健康管理に対する欲求が高い。一方、安いだけで、どのように作られているかがわからない食品を食べている人がいる。医療費を考えたら、少し高くても「自分の健康となって返ってくるんだ」と思える食品を毎日食べた方が得ですよね。そういう意味では牛乳は優れた食品。また、消費者が食品をきちんと選ぶことは、消費者が地球環境保全にかかわれる方法でもあります。生命力の詰まった農作物は、地球環境が元気でないとできません。そして、地球に元気でいてもらうためには、環境にやさしい農作物の作り方をする必要がある。でも、そういう農作物も消費者が買ってくれないと作られなくなってしまうのです。


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最近の牛乳などの食品をめぐるよくない話題が多いようですが、どうお考えですか?

高 木 こうした問題は多分、生産者と消費者、そしてメーカーの距離が離れてしまったことにあると思います。ですから、事件が逆に三者の関係を見直すチャンスになる。手間暇かけて牛を育てる生産者。おいしさと安心、安全を求める消費者。新鮮な牛乳を安定的に供給するメーカー。この三者が納得できる適正価格があるはずです。安全で、自然で、生命力たっぷりの牛乳は、ちょっと割高かもしれません。そのとき「高いわね」で終わらせてしまうのではなく、そのお金が自分たちの健康、幸せという形で巡り巡って返ってくる。そういう意識ができれば、牛乳もいっそうおいしく飲めると思いますよ。




※1 日本の酪農

日本の酪農が本格的にはじまったのは戦後のことです。ピーク時の1963年、酪農家の数は約42万戸ありましたが、1戸当たりの飼養頭数は2-3頭という規模。農業のかたわら乳牛を飼うというものが大半で、生乳の生産量も約280万トンと現在の30%に過ぎませんでした。現在、酪農は離農が進む一方で、大型化し、約3万1千戸の酪農家が、1戸当たり平均55.7頭の乳牛を飼っています。生乳生産量は約831万トンとなっています。(グラフ参照)


※2 有機農法と牛

牧場では糞尿にワラやオガクズを混ぜて堆肥を作っています。1日1頭当たり20-40キログラムといわれる大量の糞尿も、こうして堆肥化することで自然に返り、環境が守られています。また、この堆肥などを使った有機栽培による農作物への人気が高まっています。


※3 飲用乳の表示改正

現状では牛乳のラベルから一般的には生産者名やエサの種別などを知ることはできません。ただ、以前は生乳が50%以上使用されていれば、加工乳も白もの乳飲料も商品名に「○○牛乳」と、牛乳という文字が使用できました。現在「牛乳」と表示できるのは、生乳100%で、無脂乳固形分8%以上、乳脂肪分3%以上のものに限られます。それだけ牛乳や乳製品の素性がハッキリとわかるようになりました。


※4 小売価格の低下

牛乳の小売価格は低下し続けており、1リットル150円以下の牛乳も見受けられます。安い牛乳は消費者にとっては好ましいことですが、乳業の採算性を無視した過当競争を引き起こし、牛乳の安全管理にも少なからず影響を与えているといわれています。
 
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