スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



平成30年度 スキルアップ研修会(仙台会場)
ーワークショップー(抜粋)
きき合うことで見えてくる私が伝えたい本当のオ・モ・イ
〜あなたはどのくらいきくことができていますか〜

立野 美香氏
イナ・アソシエーション 代表


 イナ・アソシエーションの立野美香さんを講師に迎え、ワークショップを行いました。
「きく」ことをテーマに、参加者同士がコミュミケーションを取りながら、相手の話を大事に「きく」ことの大切さを学びました。
きちんと話をきけていますか?
 私は幼稚園で5年働いた後、フリーランスで仕事をしていて、企業のコンサルをしたり、カウンセリングをしたりしています。また、学級崩壊している学校へ行き、建て直したり、コンセプトづくりをしたりもしました。
 今は昔と違って、学級崩壊の形も変わってきています。子どもとの関わり方が変わっています。問題が表面化していないのです。
 そういうクラスへ行き、「話をするから前に来て」というと子どもたちはどんな行動をすると思いますか?まず、周りを見ます。なぜかというと、みんなと違う行動をしたくない、合わせたいからです。人に合わせようとすることを客体的といいます。その逆は主体的です。
 今の子どもたちは、こうやったら大人が喜ぶと思って行動する場面が多いです。牧場に来るときに質問を用意していることも多いと思いますが、本当にうれしいのは体験後の生の言葉だと思います。今日は、子どもたちからそんな生の言葉がきけるようなきき方が見つけられたら良いと思います。
きくことは得意ですか?
 会話はキャッチボールです。お互いに笑顔で声を掛け合うとキャッチボールはうまくいきます。いいかげんに投げるとうまくいきません。投げたボールを相手が受け取ってくれないと会話は成立しません。受け取ってもらえないと投げることすらやめてしまいます。自分が傷つきたくないからです。
 大事に話をきいてくれる人がいたら、人との関係、人を信頼する力、自分の生き方に影響するのではないかと思います。それくらい大事なことだと思います。
 みなさんは酪農教育ファーム活動をする中で、「伝える」ことはやっていると思いますが、今日は「相手に主体をおくことを意識してきく」ということをやってして欲しいと思います。
 「相手に主体をおく」ということは、主語は「あなた」です。相手が主役であることを常に意識する練習です。
 工夫やポイントは伝えますが、私は「教え」ません。体験して、皆さん自身が気づき感じたことのひとつひとつが学びになります。たくさんコミュニケーションを取り、振り返り、気づき、次に活かす。今日はその繰り返しをしたいと思っています。
3つの「きく」
聞く=Hear(聞こえている、聞き流す)
聴く=Listen(相手に心を寄せて聴く)
訊く=Ask(尋ねる)
 今回は、「聴く」をメインに、意識して聴くこと、相手に心を寄せて聴くことを意識してみてください。
「きく」ことを意識してたくさん話をきこう!
 子どもと関っていて、困った質問やよくされる質問はありますか?
■なぜ牛乳は白いの?
■なぜ牛は白と黒なの?
■なぜ鎖で繋がれているの?
■なぜ角がないの?
■お乳が出なくなった後はどうなるの?
■雄はどこにいるの?
■なぜ上の歯がないの?
 どうやって答えていますか?あっさり一言で答えることが多いでしょうか?
 子どもたちは、なぜこの質問をしたのかを考えるため、「大人(酪農家)役」と「子ども役」になってペアワークをしたいと思います。
ロールプレイ(役割演技)
 ペアになり「大人(酪農家)」「子ども」役を決め、子ども役は大人に質問しながらコミュミケーションを取っていきます。
 子ども役は年齢や性別などの設定を決めてください。設定を決めることで、子どもたちの気持ちを感じることができると思います。また大人(酪農家)役の方から、苦手意識がある年齢等を指定しても良いと思います。
 交代でどちらの役もやり、最後に振り返りをしていきます。
 自分が聞き手(大人)、話し手(子ども)をしていた時に、相手がどんな反応していたか、困ったところや難しかったと感じたところを書き出し、相手とシェアします。良いことばかりではなく、困った、話したくなくなったなど、嫌だった部分もフィードバックしてあげてください。
 これが重要で1番の学びになります。
 子ども役と大人役ではどちらの方が多く話していましたか?大人役の方が多く話しているのは、質問に対して答えようとしているからで、この時主体は大人役に移っています。主体を相手に置くのなら、本来なら子どもの役が多く話しているはずです。

意識するポイント
■主体を相手に
 「○○くんは…」「○○ちゃんは…」と付ける。
■興味関心を持つ
 「うんうん」「それで?」などレスポンスをきちんと返す。
 少し大げさなくらいが良いです。
■確認をする
 「それはこういうことでいいのかな?」と質問を確認する。
「私は明日から○○な場面の時、○○します!」
 今日学んだことで、「明日からこんなことやってみよう」と思ったことを宣言。
 今日の学びの中で、気が付いたことや思ったことで明日からやってみようと思ったことを言語化します。できるかできないかが重要ではなく、やってみようと思ことが大事です。
 今日学んだことを少しでもためしていってもらえばと思います。

「私は明日から、質問を受けた時、相手の意図を考えます」
「私は明日から、何かが気になった時、相手の人と話す時間を作ります!」
「私は明日から、本気な気持ちで問われたらその人の気持ちになってその人のための行動をします」
「私は明日から、興味がないなと思った時、うんうん、それで?ってきく!」
「今までは一生懸命話をしていましたが、明日からは一生懸命話を聞きます」


イナ・アソシエーション 代表
立野 美香氏


大阪生まれ。
モットーは、「一人一人がありのままで輝き在る中、共に育ち合うおもろい場をおもろく創造していく!」
 幼稚園に務めた後、フリーでイベントやワークショップ、チームビルディング研修、子育て講座、養成講座などの企画運営、プロデュース、ファシリテーターなどを行う。その後、全国の教育現場や企業で職員研修や人権教育、人間関係トレーニングなどを主な活動とする「マザーアース・エデュケーション」と出会い、スタッフとしてファシリテーターやカウンセラーとして関わる中、自己肯定感の育みの必要性を感じると共に、「教える」「教わる」という関係ではなく、共に育ち合う「共育」の場や存在そのものを認め合える場を創りはじめる。
 平成26年10月に独立し、「イナ・アソシエーション」を設立。「場づくりのプロ」として、イベントアドバイザーや企業コンサルティング、個人カウンセリングも行う。
 平成27年度より酪農教育ファーム研修会の講師を務める。
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