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2019年度 スキルアップ研修会(岡山会場)ーワークショップー(抜粋)
〜「話し上手」は「きき上手」〜
「きく力」を磨きファシリテーションのスキルを深める
提中 健仁
クールランニング 代表


 クールランニング代表の提中健仁さんを講師に迎え、ワークショップを行いました。
「きく」をテーマに、様々なきき方、コミュニケーションで大切なことなどを参加者が自ら体験しながら学んでいきました。
きくことによって起こる変化
 まず隣同士で自己紹介をしましょう。隣にいる人を牛だと思ってください。毎日お世話をしている牛ではなく、初めて皆さんの牧場に連れてこられた牛です。そんな牛に向かってどんな自己紹介をしましょうか。
 みなさんは普段牛とお話しされているかもしれませんが、体験に来た子どもたちも牛に話しかけたりしませんか。私も自然が好きで木や草、虫に話しかけています。虫からしたら「何をやっているんだこの人は?」と思われているかもしれませんが、何か通じるものがあると思っています。一方的に話すのではなく、きき手がいると話し方も変わってくると思います。
 きくことによって自分に何が起こるでしょう。そしてきくことによって話している相手には何が起こるでしょう。今日は、この2つの方向からきくことにより起こることを体験していただきます。私からお伝えすることはほとんどありません。大事なのは皆さんが今日の体験を通じて、何かに気付くことです。今日は何かしらの気付きを持って帰っていただきたいし、今のきき方よりバージョンアップして、今後牧場体験に来る子どもたちや従業員、家族との関係が少しでもプラスに代わっていっていただければと思います。
コミュニケーションの時に気にすること
 皆さんが、自分なりのきき方を持っていると思います。でも、普段はそれについて意識することはほとんどないと思います。
 今まで、うまくきけなかった失敗談、反対にうまくきけた成功談はありますか。
 私の失敗談をひとつお話しします。以前、海外に行った時、ホテルのスタッフに周辺のおいしいレストランについてききました。教えてもらった道のりは簡単でした。「まっすぐ行くと右手に市場が見えます。それを過ぎて左側にあります」しかし、行けど行けど市場が見当たりません。不安になりホテルに戻りもう一度場所をききました。道は間違っていません。ただ、市場まで30分かかるという事でした。はじめに聞いた時は時間について尋ねなかったので、失敗したなと思いました。
 成功した話もひとつお話しします。ある女性に相談をされたとき、私は否定や嫌な顔をせず1時間くらい話をきき続けました。そうしたら、相談内容の解決はしませんでしたが、相手がスッキリとした様子で帰っていきました。

コミュニケーションの時に気にすること
言 語:内容が大事(事柄、情報)
非言語:気持ち(身振り、手振り、声の大きさ高さ)

 私の海外での失敗談は、言語的な失敗です。女性の話をきいた話は、非言語的な成功談です。内容に焦点を当ててきくと、相手の話を解決したくなります。その場合、相手の気持ちに寄り添えていると言えるでしょうか。成功談のとき、内容は二の次でも、相手がどんな気持ちなのかを感じ続けようとしました。相手と同じ気持ちになったかどうかは分かりませんが、話していることを聞いていると何となく相手の気持ちが伝わってきた気がします。
 私はこの両方を上手に使いこなすことが重要だと思っています。言語と非言語を切り分けて下さい。内容を正確に理解する事が大事なのか、それとも相手の気持ちを理解することが大事なのか。牧場で体験の受け入れをするときはどうでしょうか。子どもたちを相手にする時はどちらが重要でしょうか。
相手に合わせてきく
 相手の気持ちを大事にすることです。相手に気持ち良くなって欲しいと思ってやると、あまりうまくいきません。なぜなら相手の気持ちは相手が感じるものだからです。相手の気持ちを尊重するという事だけは忘れてはいけません。その気持ちを持ったきき方があります。

ペーシング:相手の話し方(姿勢や状態)に徹底的に合わせるきき方
1.姿勢を合わせる
ペア(AさんBさん)になり向かい同士で座る。
まず2人ともきちんとした姿勢で座る。(今、どう感じているかが基準点)
①Aさん腕を組む
 Bさんはそのまま
②Aさんさらに足を組む
 Bさんはそのまま。
③Aさんそのまま踏ん反りかえる
 Bさんはそのまま
④Aさんは踏ん反り返ったまま
 Bさん腕を組む
⑤Aさんは踏ん反り返ったまま
 Bさんさらに足を組む
⑥Aさんは踏ん反り返ったまま
 Bさんそのまま踏ん反りかえる
⑦Aさん姿勢を直し、足組み腕組
 みをやめる
 Bさんは踏ん反り返ったまま
 気持ちの変化はどうですか。
 基本的に人間は相手と同じだと安心します。違うと違和感を感じる。初対面だと特に自分と違うと思うと離れていきます。
 腕を組むことが悪いわけではなく、自分が何のために腕を組むかが大事です。そしてその姿勢が相手に安心感を与える効果があるかどうかです。きいているときの姿勢が相手にどのような影響を与えているか、自分にどんな影響を与えるか、お互いが望むゴールに向かっていないなら姿勢を変えていく必要があると思います。

2.相手の話すスピードに相づちを合わせる
 単に「うんうん」ではなく、相手が話した言葉を入れて相づちをする。
 例えば「昨日家族で野球を観にいったんですよ」というのに「昨日ご家族でベースボールを観に行ったんですか」と返す。言葉が少し変わるだけで少し違う感じがします。同じ言葉で返しましょう。

3.相手の話を要約して返す
 ポイントは最後に「今の話は〇〇だったんですね」と加えることです。
問題解決に繋がりやすい聴き方
「ブラジルはサッカー強国だ」
 このことは「事実」か「考え」なのかを選んでください。
これは「事実」だと思う人、その理由
・有名選手を輩出している
・World Cupに連続出場
・World Cupで6回優勝

これは「考え」だと思う人、その理由
・ブラジルだけが強い訳ではない
・(詳しくないので)6回優勝が
 凄いのかが分からない
 「ブラジルはサッカー強国だ」これは「考え」です。「有名選手を輩出している」「ワールドカップに連続出場している」「ワールドカップで6回優勝している」これは「事実」です。これらをもとに私たちの中に基準が出来ます。その基準と照らし合わせて「ブラジルはサッカー強国だ」と判断をします。これが「考え」です。
 問題解決が上手い人はこの2つを区別しています。例えば、「早く」と言うけど、どれくらいが早いのか、望む早さはどのくらいなのか等を考えて初めて問題の本質が見えてきます。それくらい細かくきいていくと尋問のようになってしまいます。尋問と聞くと嫌になりますが、相手と信頼関係があってゴールが一緒なら最後までやれると思います。
 今自分が「考え」を話しているのか、「事実」を話しているのかを区別します。人が話をしているときも然りです。これは訓練で出来るようになるのでぜひやってみてください。
クールランニング 代表 提中 健仁氏

実践心理学NLPをベースに体験型トレーニングによる「気付き」の研修を得意にする。
研修では講師と受講生とのインタラクティブなやりとりで個人の気付きを参加者全体の気付きに展開する。信条は「One for All, All for One」
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