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平成28年度 認証研修会(大阪会場)
−ワークショップ 酪農教育ファームファシリテーターの役割−
平成28年度 酪農教育ファーム認証研修会(大阪会場)が行われました。
fence works 橋本 仁美氏

認証研修会大阪会場のワークショップは、大阪生まれ、大阪育ちの橋本仁美先生。橋本先生ご自身が最近体験したことのお話から始まりました。
分かっているつもりが、全然わかっていなかったこと。生きること、死ぬこと。
祖母の介護と、別れ。自分がこうして呼吸していること、立って、話して、生きていること、皆さんがここにいること、それだけで凄いんだ、ということを祖母の姿を通して実感したそうです。
人が死ぬということを身を持って知り、自分はどうやって生き、どうやって死ぬかを考えるようになり、今は死ぬことも怖くなくなったという心境にいるとのこと。
体験からの気づきを、実感した橋本先生のワークショップ。
グループに分かれ、ただ楽しいだけではない牧場での体験、目的をもった体験を意識した体験メニュー作成のワークをし、参加者からは、様々なアイデア満載の体験メニューが出ました。最後に1人ずつ「明日から私は○○する!」宣言で、今日の研修会を経て自分は明日から何をしたいか、決意に満ちた宣言がたくさん飛び出しました。

以下内容一部抜粋
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◆「聴く」ワーク。寄り添って「聴く」ことを体験してみてどうだったか?
ペアになり、「何故、酪農体験をやりたいと思ったか、何のために(何を伝えるために)酪農教育ファームをするのか?」を話し、聴きました。会話ではなく、静かに相手の話を「聴く」ことをやってみてどうだったか、全体でシェアしました。

参加者A:
僕は学生なので、普段から授業等で先生の話を聞く機会が多い。「聴く」ことは全然苦ではない。田舎育ちなので、おじいちゃんおばあちゃんがよく話しかけてくるが、面白い時もあれば、半分は興味のないことだったりする。でも相槌を打ちながら、話を聞くことは好き。話す自分も、聴く自分も何も変わりなく出来た。
参加者B:
5分間、自分の気持ちを話し続けてみて、話しながら、気付いていなかったこと、自分はこんな事を考えていたのだという発見があった。
参加者C:
私は話すことが苦手。でも、相手の話を聴き、知っていくうちに、苦手意識が消えて、もっと話したいし、相手の事も知りたいと思った。楽しくて、時間が短いと感じるようになっていた。
◆思いを実現するために、どんな体験メニューにする?考え、生み出すワーク
4人グループを作り、具体的な体験メニュー作り。どんな対象者をイメージするか、人数、年齢も具体的に。体験した子どもに言ってもらいたい一言も考えます。今までにやっている体験メニュー、やってみたい、面白そうだなと思う体験メニューを各々思いつくままに書き出し、その体験メニューを、どんな順番でやるか?どんな順番でやったら自分の思いが伝わるのか?誰にサポートしてもらう?体験者にはどんなタイミングで、どんな言葉をかける?道具は使う?を考え、最後にグループ内で発表。悩んでいる部分があれば相談し、アドバイスをもらいながらメニューを仕上げて行きます。
◆実現可能か不可能とか、現実的かどうかは、関係なし!こんな体験やってみたい!
やってみたい体験メニューや、こんな体験、イベントやったことあります、など、グループで出た、面白いメニュー、アイデアなどを全体でシェアしました。

「マサイ族は、牛の糞で家を作るそう。日本でも作れないかな?その家の中で牛乳飲むとか」
「干し草のベッド。ハイジを体験!実際寝てみるとどんな感じなのかな?」
「牛にそれほど興味のない体験者に向けて、SNSに使える写真を撮れる枠や、顔ハメ看板があると面白いのでは?私は元々牧場や牛が大好きなので、まさか興味のない人に対するアプローチを考えるなど、思いもつかなかった。みんな好きだろうと思い込んでいたが、そういった視点も必要」
「鼻紋採集させる。ミニロール(餌が入ったロール)を作って、好きな絵を描いてお土産に持って帰ってもらう」
「個人的に考えたのですが、牛はよく舐めるので、牛にベロベロ10分以上我慢出来たら何かプレゼント!というゲームとか。」
「「お昼ご飯用意しています♪」と言って牛用の餌を出すというドッキリ的な遊びとか。こういうものを食べて大きくなるんだよと教えることも出来る」
「子牛の散歩。子牛であっても力引っ張る力が強い。牛の力を知って、牛のすごさを知ってもらいたい。牛に敬意を払って接して欲しいという思いがある」
「牧場で音を鳴らすことが可能ならば、牛のストレスにならないような音で、牧場フェスをやってみたい。子ども達と、様々な楽器で音を出し、牛がどんな反応するか見てみる?というようなやり取りをしたり(牛は音や特に振動がストレスになるそう。アルプホルンの演奏会をやったことがある牧場では、興味津々で牛が寄って来たので、音によっては大丈夫なのかも。太鼓はダメ、オドオドしてしまう。)」
「親子連れ10組位を対象に、お揃いのカラーの繋ぎと長靴をはかせて、酪農体験をさせた。親は大喜びで写真を撮っていた」
橋本:
酪農体験に止まらず、人間がやる活動、その景色の中に牧場があり、牛がいる、というような体験メニューも良いのではないかと思います。牛の力を知ってもらって、敬意を払って接するというのは、人間の世界でも言えること。何のためにやるか、ファシリテーターの思いが伝わる新しい体験メニューはまだまだたくさんあるのでは?という気がしてきました。
◆最初の一歩。明日から○○やる!宣言(抜粋)
「牛のことを、酪農のことを伝え続ける!」
「牧場に子ども達が遊びに来たくなるような、仕掛け、仕組みを作る」
「今日知り合った人とfacebookで友達になる」
「牛と牛舎をきれいにする!」
「牧場にある遊具を直す」
「酪農関係者、畜産関係者で酪農バンドを作って、牛に優しい音の曲を作る!」
「牧場の中に写真撮影ポイントを作る」
「酪農だからこそ学べることを探す」
「話すことは苦手だが、書くことは出来る。まずはSNSで伝えることを始める」
「学校に牛がいることをアピールしたい」
「体験する人、牛を知らない人の立場に立った体験メニューを考えたい」
「牛に感謝する事を忘れない」
「牛舎の色を塗り替えて、明るい雰囲気にする!」
「酪農のことをまだまだ知らないと痛感した。もっと勉強して、伝えられる人になりたい」

橋本:
今日の体験メニュー、プログラムを作るワークは、自分の思いを実現させるためのひとつの手法です。今日作ったもの、みんなでシェアしたことがこれからの活動の手助けになれば幸いです。そして作ったメニューは是非、実現させて下さい。ありがとうございました。
fence works
橋本 仁美 氏


1986年生まれ。大阪を拠点に活動中。2010年より「目的を持たない生命体的集団fence works」のスタッフ。
スタッフそれぞれが自由な雰囲気のなかで人間的な関わりや一体感を味わいながら、その人ならではの仕事づくりを探求している。普段は、目的や議題を設定せず参加者が思いのままに語り、あるいは語らずに座る「円坐」という場を開いている。また、介護ヘルパーを対象に介助の際の在り方についての研修を行ったり、幼児や小学生を対象に大阪府内にある「森の幼稚園」(フリースクール)のスタッフを勤め、お互いがコミュニケーションを大切にしながら、それぞれが主体的に関われる場作りに取り組む。
平成25年、26年度認証研修会講師。
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