スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



平成28年度 教育関係者対象・酪農教育ファーム研修会−酪農体験−
石田牧場での酪農体験スケジュール

1.石田陽一氏による牧場説明
2.搾乳体験
3.えさやり
4.子牛との触れ合い
5.牧場散策
都心から約1時間の石田牧場で酪農体験
 石田牧場がある神奈川県伊勢原市は、神奈川県のほぼ中央に位置し、都心から約1時間という立地にも関わらず、のどかな田園風景が広がり、牧場もある、酪農と農業の盛んな地域です。
 朝10時、石田牧場に到着した参加者たちは、まずは33頭の搾乳牛がいる牛舎で搾乳体験を行いました。搾乳するのは、2回目のお産を控える乳牛マックスです。参加者は、しっかりと手のひらを消毒した後、石田さんから乳搾りのコツを聞いて、マックスに優しく声を掛けながらお乳を搾りました。参加者全員の搾乳体験が終わった後、ミルカー(搾乳機器)で残りのお乳を搾るところを見学しました。石田牧場の乳牛の搾乳量は1日平均26〜28リットル、中にはお乳を40リットル出す牛もいるそうです。搾りたてのお乳を入れたバケツを触るとあたたかく、よく見ると湯気がたっていました。
 季節は夏。牛は暑さに弱いので、えさを食べる量が少なくなり、お乳の量も少なくなります。牛たちが暑さでバテないよう、牛舎内に大きな扇風機を回し、牛にとって快適な環境を作る為の様々な工夫がされていました。
出産前の育成牛がいる牛舎では、お産を控えた母牛の見学をし、生まれたばかりの子牛とふれあいました。この日は牛舎に、1週間前に生まれた双子の子牛がいました。
石田牧場では、メスの子牛は産まれて4〜5ヶ月程すると、北海道の育成牧場に預けます。北海道の広い牧場で足腰を鍛えて、出産までの身体を作ります。そこで1回目の人工授精をし、出産予定日の2週間位前に石田牧場に帰ってきます。一方、オスの子牛は生まれて2ヶ月程で市場に出し、肉牛用に育てる牧場に買われていきます。
 子牛を産んだ母牛が初めて出すお乳(初乳)は、免疫や栄養がたっぷり入った大切なお乳。生まれた子牛にとって、生きる上でとても重要なお乳です。その初乳を飲むことで、子牛は免疫をつけることができます。石田牧場では、生まれて3日間は母牛のお乳を飲ませています。
 堆肥舎では、牧場の牛たちの糞尿を集め、発酵させて良質な有機堆肥を生産しています。できた堆肥は、自分のところの畑にまく他、近隣の果樹・野菜農家等にも販売します。堆肥を発酵するときの温度は80℃にもなり、3ヵ月程で堆肥ができあがるそうです。堆肥を触ってみると、臭いもなく、サラサラとした土のようでした。
 酪農体験の後、参加者は牧場の敷地内にあるジェラート屋「MEGURI」で、石田牧場で搾った生乳と伊勢原市の農家の方が作った野菜や果物を使った、新鮮で美味しいジェラートを味わいました。
牛乳1リットルを作るために、400リットルの血液が必要
 「そもそもなぜ、牛が命を削り、身を削ってお乳を出すのかというと、自分の赤ちゃんを育てるため。牛も人間も同じ哺乳類。赤ちゃんを産まなければお乳は出ません。酪農家の仕事は、牛を育て、命の営みを分けてもらい、それをお金に換えること。生き物を相手にしているから、酪農という仕事に365日休みはありません。でも私は、毎日牛の世話ができることに感謝の気持ちを感じています。牛が一生懸命お腹を痛めて赤ちゃんを産み、乳を出し、私たちはその乳を頂き、生活させて頂いていることをありがたいと感じます。この乳が牛乳や乳製品となって、学校やス―パーに行き、最終的に皆さんの口に入ること。この牛乳が子どもたちの筋肉や骨になること。私の仕事の延長線上に子ども達の成長や、豊かな食生活がある。非常に価値のある職業だと思います。酪農は、肉体的にはきつい職業かもしれませんが、心の面では非常に豊かな職業です。そんなやりがいを感じながら酪農をしていることを、皆さんにも理解して頂きたいと思います。」と、体験の最後に石田さんからお話を頂きました。
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