平成29年度 酪農教育ファーム『夏の研究集会』−挨拶−
主催者あいさつ
酪農教育ファーム研究会 会長
國分 重隆


 年に一度、同じ志をもつ仲間に会える、最も楽しみにしている日がきました。

 私は東京都の社会科研究会にも所属しており、そこでも毎年研修会を行っています。学校で酪農を活かしてもらうことを狙いに、先生方を牧場に連れて行きます。
 一昨年までは1日で定員に達してしまうほどの人気の研修会でした。ところが去年と今年は集まりがよくありません。なぜかというと、今、学校現場は大変忙しく、先生の多くは長時間の残業をしているからです。夏休みになってもやることがたくさんあります。本日はそのような中、多くの教育関係者にお集まりいただいていることを本当にうれしく思います。
 日本酪農教育ファーム研究会は、教育関係者や酪農乳業関係者が集まる研究会です。中央酪農会議の支援もいただきながら、酪農教育ファーム活動を通して酪農の教育的価値を教育現場に活かし、教育課題の解決も意識しつつ、教育そのものの質の向上を目指す研究をしています。今年も、中央酪農会議と共催で研究会を開催することができました。御礼申し上げます。
 今年、告示があった新学習指導要領の中に、『体験活動を通して豊かな心の涵養を目指す教育を充実させること。自己の生き方を考え、自立した人間として他者と共によりよく生きる為の基礎となる道徳性を養うこと。健康安全な生活を目指す教育として食育を推進すること。キャリア教育の充実を図ること。そして、生命の有限性や自然の大切さ、多様な他者と協力することの重要性を実感させるための活動を、地域社会と連携しつつ、体系的、継続的に実施する事』という記述があります。これは全て酪農教育ファーム活動を通じた学びで実現できることだと思っています。新学習指導要領の完全実施に向けて、酪農教育ファーム活動の教育的価値をもっとアピールして、利用者を増やしていかなければと私自身も決意を新たにしています。
 酪農教育ファームの仕組みができてもうすぐ20年になります。本研究会でももう一度、共通の思いを再確認して、日本の学校教育の充実や、酪農・牛乳生産に関わる産業全体の発展に資することができるように研究を進めていきたいと思っています。
 本日の清水さんと柴田先生からの講演は、私達に意欲とやる気を与えてくれるものになるでしょう。その後のワークショップでは、ぜひ楽しく親睦を深めながら、ひとつでも学びを持って帰っていただけたらと思います。


一般社団法人中央酪農会議 事務局長 
内橋 政敏


 本日は暑い中、全国各地から酪農家の方、先生方そして関係の皆様にお集まりいただき、感謝申し上げます。
 先日の九州北部集中豪雨では酪農にも大きな被害がありました。またその後も、秋田や新潟など各地でゲリラ豪雨が続いています。被災された方々、そしてご家族、関係の皆様には心よりお見舞いを申し上げると共に、現地での一日も早い復旧復興を祈念しています。
 私からは、最近の酪農を巡る情勢等について紹介させていただきます。
 昨年の熊本地震や相次ぐ台風の影響も依然として残り、全国の生乳生産は前年を下回る状況が続いています。そうした中でも、性判別精液の普及・活用により乳用雌牛の出生頭数が雄を上回り、将来の生産が増えるという期待もされています。
 天候に恵まれ牛乳やヨーグルトなどの消費が比較的堅調ですが、その結果、原料乳の不足傾向が続いており、スーパー猛暑は乳用牛に大きなダメージを与えていて減産に拍車がかかっています。学校給食が再開される9月の最重要期に向けて、混乱なくしっかり牛乳を消費者に届けられるように、酪農家の皆さんは暑熱対策や飼養管理を徹底し、生乳の供給と品質の確保に努められています。
 先日、日本とEUとの経済連携協定の交渉が大枠合意をしました。ヨーロッパのおいしいワインや品質の高いチーズが安くなるのではないかという声も聞かれ、流通ではもう“大枠合意記念セール”等とアピールする動きも出てきています。一方で、日本の食糧自給率は先進国の中でも最も低い状況の中、農業へ影響が懸念されています。バター不足に端を発した規制改革で来年度から生乳流通に係る制度が変わるなど、酪農は大きな転換期にあることを頭に置いていただければと考えております。

 酪農教育ファーム活動は、酪農が持つ教育力を活かして、酪農への理解や子どもたちの学びの場として重要な役割を担っており、我々としても生産者が直接消費者に思いを伝える絶好の機会として推進してきました。
 夏の研究集会は今年で7回目の開催になります。今年は「酪農現場と教育現場のつながり」をテーマに、教育活動を実践する酪農家と関係者が交流し、つながることで、取組を共有化して新しい視点を見つけ出し、それぞれの実践の場につながることを目的としています。愛知県の清水牧場と近隣の小垣江東小学校の17年続く取組報告の後は、酪農教育ファーム活動を知らない先生方に興味を持ってもらうためのパンフレット作りを通じたワークショップを予定しています。酪農教育ファーム活動の特色や価値を見つけ出し、学校側の事情も共有しながら、活動をどうやって広めていくかが狙いです。限られた時間ですが、今日得た出会いをそれぞれの立場で活かして、酪農教育ファーム活動の展開に繋げていただければ幸いです。
(C) 2013 Japan Dairy Council All right reserved.