平成21年度受入実態調査報告(通年)
1.受入団体及び受入者数
 平成21年度末の認証牧場数は291牧場(前年度から34牧場増加)となった。そのうち、21年度の受入なしの認証牧場数は22牧場となっており、20年度実績(69牧場)と比較して大幅に減少している。
20年度は飼料価格の高騰等により酪農経営が悪化し、酪農教育ファーム活動を酪農経営の一環として位置づけていない認証牧場での体験受入が消極的である傾向が見られたが、21年度の乳価値上げにより、ボランティアとして活動を実施している認証牧場の酪農経営が好転し、受入を再開したとみられる。
なお、認証牧場のうち受入を実施していない牧場については、ファシリテーター等の事情により体験の受入が一定期間困難になり、「牧場開放」を中心的に実施していたり、特に新規認証牧場(8牧場)については、次年度以降から受入を開始する予定であったりしたことが理由として考えられる。
 21年度の認証牧場(調査回収件数/上半期245牧場・下半期245牧場)における受入者数は約87万9千人となり、20年度と比較して受入者数で約25%増加する結果となった。
これは、認証牧場数の増加に加え、酪農教育ファーム活動が着実に浸透・普及してきていることを表している。
背景としては、わが国をめぐる「食」や農林水産業に対する社会的関心の高まりと併せて、教育現場においては、平成23年4月から新学習指導要領に基づいた指導に完全に移行することとなり、学校教育における「食育」「いのちの教育」の重要性が認識され、その学習手法である体験学習活動の需要が高まっていることが要因として挙げられる。
さらに、21年度においては、1団体あたりの受入人数実績(d)が少なくなっており、家族連れ等を主なターゲットとした観光型の牧場などに訪れて酪農体験を実施した少人数のグループが増加したことが推察される。

(注)調査結果について、19年度の受入実態調査は、単に来場者数の報告を受けていたが、20年度からは『実際に体験を受けた来場者数の報告』という方式に変更したため、受入人数等で前年との比較が正確には行えない事に留意する必要がある。
2.団体種類別の受入状況
 団体種類別にみると、家族連れ等の個人グループについて、団体数は前年比525%、人数は142%と増加している。これは、長期休暇や行楽シーズンに、牧場に訪れて動物とのふれあいや酪農体験を楽しむ家族連れなどの個人グループが大幅に増えていると考えられる。
なお、21年度に体験受入人数・団体数を飛躍的に伸ばした観光型の牧場にヒアリングをおこなったところ、「子牛のかわいさ」「いのち」を感じてもらって何らかの学びを得てもらいたいという意向から、ほとんどの来場者に「哺乳体験」などの酪農体験をさせるようにしたということであった(これまでは「牧場散策」のみの来場者も多数いた)。牧場側も「体験」の有用性を認識していることの表れであると思われる。
また、幼稚園・保育園、小学校においては、受入人数がわずかに減少しているものの、団体数については増加しており、中学校、高等学校、大学・専門学校、特別支援学校については、団体数・人数ともに大きく増加している。
21年度については、多くの個人グループが認証牧場で酪農体験をおこなった一方で、学校等の教育機関と連携した活動についても活発になされた。背景として、学校現場を含めた教育機関での酪農教育ファーム活動に対するニーズの高まりや、活動の定着化があるとみられる。
3.月別の受入状況
 月別では、団体数・人数とも春から秋までの上半期が多く、冬季は全体的に団体数・人数とも少ない。この傾向は過去の実態を見ても大きな変化はない。
21年度は、4月〜9月(上半期)に受入団体数と受入人数が前年度を上回っている。特に5月、8月、9月については、団体数・人数ともに過去2年を大幅に上回っており、長期休暇などを利用して牧場で過ごす家族連れの増加と、21年度からほとんどの来場者に「体験」をさせるようにした観光型の認証牧場の存在が大きな要因と思われる。
 一方で、20年度の下半期(特に秋季)は、新型インフルエンザの発生により、教育機関などの予定していた体験が相当数中止や延期になったというような、大きな影響があった。さらに、冬季には、特に東北地域で例年に比べて積雪が多く、牧場開放が難しかったという意見があった。よって、上半期に大きく伸びた家族連れなどの個人グループの実績も下半期にはそれほど伸びなかった。
周辺環境により冬季の受入が困難な地域はやむをえないが、そうではない地域にあっては、冬季の受入環境の整備や体験プログラムの工夫などにより、体験者の増加が見込まれる。
4.地域別の受入状況
 平成21年度の地域別受入実態で、受入団体数が多いのは、関東、北海道であり、受入人数は関東が多い。首都圏生活者が近隣の認証牧場を訪れていることがわかる。
 受入団体数が大きく伸びた関東、北海道、東海については、観光型の牧場の個人グループの実績の伸びが影響しているのと同時に、体験する教育機関が増加している傾向にある。
 また、受入団体数については前年を下回った地域もあるが、受入人数については、どの地域も前年を上回る実績となっている。このことからも、酪農教育ファーム活動の全国的な広まりがわかる。
5.出前教室型活動の取組状況
 近年、牧場に行けない学校等への対応策として「出前教室」が増加する傾向にある。そこで、昨年度から認証牧場とファシリテーターに対して、出前教室型の酪農体験学習活動を実施したかどうかについても調査をおこなった。
出前教室を実施している認証牧場は77牧場であり、全体の26%となっている。
また、1回あたりの平均受講人数は334人(前年比167%)となっており、学校などの教育機関への出前活動と併せて、1回あたりの受講人数が多い子ども会や地域のイベントでの活動が増えていることが推察される。
実施方法としては継続型より1回のみの実施が圧倒的に多かった。特に、子どもたちを外出させるのが難しい幼稚園・保育園にとって、出前教室に対するニーズが高いことがわかる。また、教育機関以外のイベントや子供会等でも多く利用されていることが分かった。
月別に見ると、牧場での受入と比較して、出前教室は5〜6月(春期)と9〜11月(秋期)に多く、8月(夏期)に低いことがわかる。また、2月(冬期)も比較的需要がある。この傾向は、昨年度の調査でもみられた。このことから、出前教室は牧場での受入が少なくなる時期(冬期)における酪農教育ファーム活動の一環として位置づけられる傾向があると考えられる。
なお、9〜11月の活動件数が多くなっているのは、学校などでは2学期に体験活動が多いことと併せて、地域のイベント(秋まつりなど)の影響もあるとみられる。
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