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世界の乳業メーカー状況
世界の乳業、需要増背景に大幅増収
 世界の乳業メーカーの07年の決算は、2006年から続いている燃料費、輸送費、包装材料費などの高騰が経営の圧迫要因となっているものの、乳製品の世界的な需要の伸びに伴い、大幅な増収となりました。また、経済発展が著しいBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心に需要が急伸したことで、国際的に事業展開する乳業メーカーにとっては強い追い風となりました。今号では、世界の乳業メーカーの売上高上位10社の決算内容を紹介します。

ネスレ、初の売上高 1000億フランを突破
 1位のスイスの国際食品企業であるネスレの売上高は、1070億スイスフランで前年比9%増、純益は106億スイスフランで15.8%増となりました。同社は「他社同様、生乳価格などのコスト増にもかかわらず、すべての部門で伸び、特にオーガニック分野が7.4%増と目標以上に伸びた。07年は画期的な年になった」と発表しています。
 乳製品とアイスクリーム部門は、合計で207億スイスフランに達し、このうちオーガニック分野は7.8%増でした。今までにない牛乳コストの上昇も量的拡大がカバーしました。乳製品部門の増加を主導したのは人気ブランドの「ニド」ですが、アメリカとアジアでは「コーヒーメイト」が際だった伸びを示しました。アイスクリーム部門はラテンアメリカ、アジア、東ヨーロッパで好調でした。
 また、栄養食品部門は84億スイスフランとなりました。オーガニック分野が9.7%増加したことや、ノバルティス、ガーバー、ジェニー・クレイグなどの会社を買収したことが寄与しています。この結果、乳製品・アイスクリーム部門と栄養食品部門の合計売上高は291億スイスフランで24.4%増となりました。

蘭・英ユニリーバは1.4%増収も純益は18%減
 2位のユニリーバ(オランダ・英国)の売上高は401億8700万ユーロで前年比1.4%増でしたが、営業利益は52億4500万ユーロで3.0%減、純益は41億3600万ユーロで17.5%減となりました。
 地域別売上高割合はヨーロッパが38%、アメリカが33%、アジア・アフリカが29%。同社は「クノール」、「リプトン」、「ラーマ」、「ハートランドブランドアイスクリーム」など、アイスクリーム、飲料、冷凍食品などで多くの「10億ユーロブランド」を世界100ヵ国で展開し、従業員は17万4000人にのぼります。アイスクリームなど、乳業部門に限る売上高は世界で10番目とみられます。
 3位の米国最大の食品メーカーであるクラフト・フーズの売上高は372億4100万ドルで前年比8.4%増でしたが、営業利益は43億3100万ドルで4.2%減、純益は25億9000万ドルで15.4%減となりました。
 このうち、米国内の売上高は239億3900万ドルで3.6%増、米国以外が133億200万ドルで18.4%増となり、米国以外で健闘しました。
 部門別売上高のうちチーズは69億ドルで8%増、スナックは114億ドルで13.3%増、飲料は81億ドルで10%増などとなっています。

仏ダノン乳製品は12%増の1兆4857億円
 第4位のフランスの大手食品企業であるダノングループの売上高は、127億7600万ユーロで前年比9.7%増、営業利益は16億9600万ユーロで13.4%増となりました。
 このうち主力のフレッシュ乳製品部門の売上高は87億9100万ユーロで12.2%増、営業利益は12億2900万ユーロで5.3%増となりました。フレッシュ乳製品部門が12%増もの記録的な伸びになったのは「アクティビア」、「アクティメル」、「ビタリナ」、「ダノニノ」という4つの大当たりブランドが寄与したもので、この4つのブランドで20%増を達成しました。
 5位の世界有数のチーズメーカーで、フランス最大の集乳量を誇るラクタリスグループの売上高は、96億ユーロで前年比28%増となりました。売上高のうちチーズが半分近くを占め、地域別売上高はフランスが46%、フランス以外が54%を占めました。
 世界での集乳量は910万キロリットル(前年比14%増)で、このうちフランスは550万キロリットル、ヨーロッパなどが260万キロリットル、米国が100万キロリットル。従業員は3万4500人で、フランスは1万5525人、フランス以外は1万8975人。工場数は125工場で、うちフランスは74工場。
 6位の全米最大の乳業メーカーであるディーン・フーズの売上高は、118億ドルで前年比17.1%増となりました。このうちオーガニック乳製品などを統括する子会社のホワイト・ウェーブ・フーズは14億ドルで18%増となりました。同社のグレッグ・エングルスCEOは「07年は急騰する乳業コストが記録的なものになるという、会社設立以来、最も厳しい年だった。ホワイト・ウェーブ・フーズはオーガニック牛乳の深刻な供給過剰に直面し、結果的に価格が下落、業界内の競争がますます激化した」とコメントしています。

米DFAは史上最高の売上高111億ドル
 7位の米国最大の酪農協で乳業事業も行うデアリー・ファーマーズ・オブ・アメリカ(DFA)の売上高と営業利益は新記録を達成しました。売上高は111億ドルで前年比36億ドル、48%増となりました。これは記録的に高い乳価によるもので、組合員は100ポンド(45.359キロ)当たり19.38ドルの乳価を受け取りました。1キロ当たりに換算すると、43セントで前年に比べて48%高となりました。
 DFAが自工場で処理した生乳と他乳業に販売した乳量の合計は619億ポンド(約2808万トン)という新記録に達し、輸出売上高は2億1140万ドルに上りました。

米ランド・オ・レイクスは26%増収
 7位の米国DFAと同じ酪農協で8位のランド・オ・レイクスの売上高は、89億2490万ドルで前年比25.7%増、純益は1億6380万ドル、84.2%増となりました。大幅な増収増益となったのは、生乳やバター、チーズ相場が高値で推移したことに加え、小売りバターが好調でした。また、チーズ、バターの輸出量が倍増したのも一因です。乳業部門に次ぐ売上高の飼料部門も順調に伸びました。
 9位のデンマークとスウェーデンの巨大酪農協系乳業・アーラ・フーズの売上高は、477億デンマーククローネで前年比4.8%増、利益は9億3800万クローネで前年並みとなりました。同社は06年にイスラム社会から不買運動を受け、40%減収しましたが、同年に、決算期を9月から暦年(1〜12月)決算に変更しました。
 同社は、コスト上昇には小売価格転嫁で対応しました。また、グループ全体で合理化対策に取り組んだことに加え、デンマークのソルストラップ・チーズ、フィンランドのアーラ・イングマン、英国のアーラ・フーズUKなどを経営統合し、効率化を進めました。同社は9億3800万クローネのうち、5億3000万クローネを組合員に追加支払いしました。生乳1キロ換算で8.4エーレに相当します。

フォンテラは史上最高の支払い乳価
 10位のニュージーランドのフォンテラの07年11月中間売上高は、73億NZドルで前年に比べ13.2%増となりました。大幅増収になったのは、乳製品の国際価格高や乳素材事業の伸びと消費者向けブランド乳製品の売り上げ増に加えて、株式投資による収入が7200万NZドル、2.77倍になったことによるものです。
 株式投資収入増加の大半は、DMVフォンテラ・エクシピアンツ社によるものですが、これ以外のアーラ・フォンテラ・フーズ社、サン・ルー社、DPA社も成果を挙げています。
 上期の世界市場への乳製品販売は、平均為替レートが75NZセント高となった分を相殺しても余りあるものでした。また、記録的な物価高となっているニュージーランドですが、消費者向けブランド乳製品の売り上げは、予想を上回る好業績となりました。
 同社は07年度(07年6月〜08年5月)の最終支払い乳価を乳固形分1キロ当たりで7.30NZドルとしました。支払い乳価が7NZドルを超えるのは初めてで、前年度の最終支払い乳価4.46NZドルに比べて64%の大幅アップとなりました。
 同社はこの大幅な乳価値上げの理由について、国内の乳製品価格が上昇していることや、さらに大きな要因として、干ばつによる生乳生産が落ち込み、乳製品市場環境が変化していることを挙げ、生乳増産を働きかけ、株主である1万1000人の酪農家は揃って歓迎しました。

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