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需給動向
実績確保のための増産はNG
〜需給予測と計画生産対策〜
 指定団体実務責任者会議は11月1日の会合で、18年度下期の計画生産対策について話し合いました。このなかで、J-milkが9月に発表した第3四半期の需給予測を元に中央酪農会議が改めて試算した需給予測と生乳販売状況、特別対策の実施状況などを総合的に判断して、計画生産の完全遵守や生産実績確保のための増産の抑制に取り組むことを決定しました。

需給は全体に減少傾向にある
〜J-milk予測・9月より〜
●6月以降全国で本格的な生産抑制が続く
 9月29日に行われた第3回需給等分科会の資料によると、直近の生乳生産の動向は、北海道で6月以降は前年水準を下回って推移し、都府県はおおむね前年水準を2〜3%程度下回って推移すると予測しました(表1)。また、実際の第2四半期の生乳生産動向は、北海道では前年比96.3%、都府県では97.4%、全国では96.8%となりました(牛乳乳製品統計)。
 今後の生乳生産動向は、第3四半期は、北海道では前年比97.1%、都府県では97.6%、とそれぞれ見通し、全国では97.4%と予測しています。

●牛乳は引き続き
前年を下回って推移
 直近の牛乳等消費の動向は、牛乳が引き続き減少基調で前年に比べ2〜3%減少で推移し、加工乳・成分調整牛乳・乳飲料は、加工乳と成分調整牛乳が引き続き前年水準を大きく下回る一方、乳飲料が第2四半期に入り好調であることから、合計では前年水準を上回って推移。発酵乳は5月に大幅な伸びを示した以降、5%前後の伸びを維持して好調に推移しています(表2)。  今後の予測については、牛乳消費が引き続き平均2%程度の減少で推移し、加工乳・成分調製牛乳・乳飲料の消費は1〜2%程度の増加で推移、発酵乳は5%程度の増加でそれぞれ推移すると見られています。

●生乳供給量の減少幅拡大で乳製品向け生乳処理量は減少
 第2四半期に入り生乳供給量の減少幅拡大の影響から、乳製品向け生乳処理量が前年水準を下回り、第2四半期は前年比95.3%の実績、第3四半期は95.8%と見通されています。
 一方、牛乳等向け処理量は引き続き前年を下回って推移し、第2四半期は前年比97.8%の実績、第3四半期は98.5%と見通されます。

需給動向と乳製品需要・在庫状況に応じて必要な対策を検討
〜指定団体・実務責任者会議より〜
●生乳供給量、牛乳等向け、特定乳製品向け、
それぞれ当初予測を下回ると推計
 中央酪農会議が9月までの用途別販売実績と指定団体へのヒアリングから推計した生乳需給の見通しは(表3)、生乳生産量で812万t(当初予測比▲11万t)です。生乳販売予測では、牛乳等向け生乳は461万1000t(同▲5万1000t)、特定乳製品向け生乳は208万1000t(同▲9万5000t)でそれぞれ当初予測を下回ると試算しています。一方、生クリーム向けとチーズ向けは、それぞれ105.1%、103.1%と当初予測を上回ると見込まれています。
 こうしたなか、脱脂粉乳需要については当初予測16万3900t(製品ベース・特別枠除く・カレントアクセスは全量バターを前提)に対して15万9200tと4700t程度減少すると見込まれています。このため、当初の予測と特別対策枠で見れば、前年度末在庫からさらに3400t積み増す計算になりますが、前述したとおり生乳供給数量が下回る見通しであることと、特別枠以上の脱脂粉乳対策(5807t)を実施すると予定されていることから18年度末脱脂粉乳在庫は前年度末から約6000t減少する6万9300tになると予想され、削減目標はクリアできる見通しとなりました。

●“ホッとひと息”ついている場合ではない
 前回(10月4日)行われた指定団体会長・実務責任者会議では、脱脂粉乳在庫が18年度通年で300t程度しか削減できず当初の削減目標をクリアできないとして、緊急特別対策の発動が議論されました。その後需給予測を改めたことや、ある乳業者が脱脂粉乳在庫数量を誤って報告していたことなどが発覚したことから、今回は「脱脂粉乳在庫をめぐる情勢はそこまで緊迫していない、緊急特別対策の実施は先送り」と判断しました。
 しかし、このままでは限度数量を5万t程度超過してしまうことなどから、
〜供給目標数量を超過することが見込まれる指定団体は、11月以降さらなる減産に努め、計画生産を完全に遵守する。
〜早期に減産に取り組むなどして供給目標数量に未達になることが見込まれる場合でも、指定団体は、11月以降、生産力の回復を通じた計画生産の達成対策などを行わないよう指導する。
〜18年度計画生産では未達ペナルティを発動しないとともに、19年度計画生産対策における販売基準数量の配分に18年度実績を加味しないなど生産抑制による需給改善努力が反映されるような仕組みを基本に検討を行う。
〜今後の加工原料乳の発生を極力抑制するよう、指定団体間の需給状況に係る情報交換、連携の強化、液状乳製品や発酵乳向けの取引拡大に取り組む。

などの取り組みを進めるとし、そのうえで「加工原料乳の発生状況や脱脂粉乳需要・在庫量などを見据えて、必要に応じた対策を検討する」と需給を見極めた生産に一層取り組んでいく考えを示しました。
 注目したいのは表3に示した需給動向の当初予測と新たな予測との差の裏にある、17年度実績との大きな差です。特に牛乳等向けは12万7000t減と3%近い落ちを示しています。
 今ある需要に即した生産をすることはもちろん大事なことですが、それだけでは生産のパイを大きく削ぎかねません。この表から読み取れることは、生産抑制のタガを緩めないことと、生乳需要の回復に今以上に真剣に取り組む必要があるということではないでしょうか。
 また、脱脂粉乳需要が減少しているなかで、バター需要は回復しており、当初予測より3500t(生乳換算で9万800t)増加することが見込まれています。このように脱脂粉乳ベースの需要とバターベースの生乳需要に格差が広がっていることも注目されます。

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