需給動向と乳製品需要・在庫状況に応じて必要な対策を検討 〜指定団体・実務責任者会議より〜
●生乳供給量、牛乳等向け、特定乳製品向け、 それぞれ当初予測を下回ると推計
中央酪農会議が9月までの用途別販売実績と指定団体へのヒアリングから推計した生乳需給の見通しは(表3)、生乳生産量で812万t(当初予測比▲11万t)です。生乳販売予測では、牛乳等向け生乳は461万1000t(同▲5万1000t)、特定乳製品向け生乳は208万1000t(同▲9万5000t)でそれぞれ当初予測を下回ると試算しています。一方、生クリーム向けとチーズ向けは、それぞれ105.1%、103.1%と当初予測を上回ると見込まれています。
こうしたなか、脱脂粉乳需要については当初予測16万3900t(製品ベース・特別枠除く・カレントアクセスは全量バターを前提)に対して15万9200tと4700t程度減少すると見込まれています。このため、当初の予測と特別対策枠で見れば、前年度末在庫からさらに3400t積み増す計算になりますが、前述したとおり生乳供給数量が下回る見通しであることと、特別枠以上の脱脂粉乳対策(5807t)を実施すると予定されていることから18年度末脱脂粉乳在庫は前年度末から約6000t減少する6万9300tになると予想され、削減目標はクリアできる見通しとなりました。
●“ホッとひと息”ついている場合ではない
前回(10月4日)行われた指定団体会長・実務責任者会議では、脱脂粉乳在庫が18年度通年で300t程度しか削減できず当初の削減目標をクリアできないとして、緊急特別対策の発動が議論されました。その後需給予測を改めたことや、ある乳業者が脱脂粉乳在庫数量を誤って報告していたことなどが発覚したことから、今回は「脱脂粉乳在庫をめぐる情勢はそこまで緊迫していない、緊急特別対策の実施は先送り」と判断しました。
しかし、このままでは限度数量を5万t程度超過してしまうことなどから、
〜供給目標数量を超過することが見込まれる指定団体は、11月以降さらなる減産に努め、計画生産を完全に遵守する。
〜早期に減産に取り組むなどして供給目標数量に未達になることが見込まれる場合でも、指定団体は、11月以降、生産力の回復を通じた計画生産の達成対策などを行わないよう指導する。
〜18年度計画生産では未達ペナルティを発動しないとともに、19年度計画生産対策における販売基準数量の配分に18年度実績を加味しないなど生産抑制による需給改善努力が反映されるような仕組みを基本に検討を行う。
〜今後の加工原料乳の発生を極力抑制するよう、指定団体間の需給状況に係る情報交換、連携の強化、液状乳製品や発酵乳向けの取引拡大に取り組む。
などの取り組みを進めるとし、そのうえで「加工原料乳の発生状況や脱脂粉乳需要・在庫量などを見据えて、必要に応じた対策を検討する」と需給を見極めた生産に一層取り組んでいく考えを示しました。
注目したいのは表3に示した需給動向の当初予測と新たな予測との差の裏にある、17年度実績との大きな差です。特に牛乳等向けは12万7000t減と3%近い落ちを示しています。
今ある需要に即した生産をすることはもちろん大事なことですが、それだけでは生産のパイを大きく削ぎかねません。この表から読み取れることは、生産抑制のタガを緩めないことと、生乳需要の回復に今以上に真剣に取り組む必要があるということではないでしょうか。
また、脱脂粉乳需要が減少しているなかで、バター需要は回復しており、当初予測より3500t(生乳換算で9万800t)増加することが見込まれています。このように脱脂粉乳ベースの需要とバターベースの生乳需要に格差が広がっていることも注目されます。
|