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2004.WINTER Vol.21
VOICE

タイトル01

15年度の計画生産対策の基本は、目標数量による生産抑制は行なわず、目標超過が見込まれる場合は、指定団体が主体となった供給目標達成対策を実施し、脱脂粉乳在庫の積み増しを回避することでした。

供給目標達成対策としては、1生乳の出荷調整(全乳哺育向け)、2乳製品の他用途への転用(飼料用全粉等)、3脱脂粉乳の過剰在庫対策(新用途転用)を想定し、指定団体が状況に応じて選択・実施し、対策の実施数量は、生乳量に換算のうえ、指定団体の供給目標数量に加算する等、計画生産上、適切に反映することとしています。なお、目標数量の超過に対しては、供給目標達成対策の確実な実施を促すため、対象数量につき40円/kgの金銭ペナルティを設定しました。

15年度の全国の供給計画数量は年度当初7687・3千トン(14年度実績対比99・7%)とし、14年度に超過・未達が発生した指定団体からの数量削減、追加設定を経て、7677・3千トン(新規就農枠10千トン分別枠として除外)を、指定団体別に設定しました。

前項で触れた供給目標達成対策は、北海道で自主財源(生産者拠出)を用いた脱脂粉乳過剰在庫対策(乳業者在庫の他用途への転用)を実施しています。このため、実施数量見合い分の生乳量64・8千トンが供給目標に追加されています。また、九州でのアウトイン異動分の追加、新規就農者に対する設定等を経て、現段階での全国供給目標数量は、約7776・8千トン(14年度実績対比100・9%)となっています。 なお、10月末には、供給目標の指定団体間調整(減量希望指定団体から増量希望指定団体への流動)を実施し、20千トンの生産枠の移動が成立しました。

中央酪農会議では、10月に実施した指定団体ヒアリングを通じ、指定団体別の計画生産実績の見通しを調査しました。その結果によると、全国ベースでは、約7762・6千トン、前年実績との対比で100・7%となる見通しです。この場合、現段階での供給目標数量との対比では、全国で約14千トン程度の未達となります。また、地域別にみると、北海道では、概ね計画数量と同水準となる見通しです。都府県全体でもわずかな未達数量が発生するのみと考えられます。都府県のブロック別内訳においても、指定団体間調整が成立したこともあり、大幅な超過・未達が発生する指定団体はないと考えられます。

計画生産の実績は、供給目標達成対策(脱脂粉乳過剰在庫対策)による生乳需要増加見込み分、アウトイン異動による修正等の目標数量の追加を踏まえた全国の供給目標及び当初の生産予測値とほぼ同水準となる見通しです。 しかし、全体の需給としては、1天候要因等により全体としての飲用需要の減少が見込まれること、2その他乳製品向け需要も減少が見込まれること、3夏場を中心とした都府県の飲用需要減に伴い、増産基調にある北海道での特定乳製品向け量が増加したこと、等から脱脂粉乳在庫がさらに積み増す事態となっています。現状の基調では15年度末に10万トン程度、16年度末にはさらに増加することも見込まれます。

このような状況のもと、去る11月13日には、生産者代表等で構成する需給調整等委員会で、来年度の計画生産の方針について協議を行ないましたが、厳しい需給事情のもと、従来とは異なった対策の必要性について理解されたものの、「生産意欲の減退を招くような減産は避けるべき」、「消費減退のつけを計画生産のみで解決するのは困難であり、乳業も具体的な対策を講じるべき」、「生産者でも全国的な協力の下で過剰在庫対策を実施するべき」、といった意見も出されました。こうした意見を踏まえ、今後は、指定団体の実務担当者等と、16年度計画生産の具体的な手法について検討を行なうこととしています。なお、次年度計画生産の方針・手法・全国供給目標等を、2月12日開催予定の需給調整等委員会で協議・決定する予定です。

次年度の生乳需要の見通しも含めて、情勢は非常に厳しいものがありますが、16年度の計画生産対策の策定にあたっては、これ以上の脱脂粉乳の在庫積み増しを避けることが至上命題となります。また、中長期的にみて、国際交渉の結末・家畜排せつ物法等の生産現場への影響等の捉え方も焦点となります。脱脂粉乳需給の悪化が、余乳処理・生乳取引等に悪影響を及ぼさないためにも、適正な計画生産対応を講じることが、これまで以上に求められます。





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