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2001.SUMMER Vol.11
VOICE



平成12年度の計画生産については、7704千トンが年度当初の目標数量として、指定団体別に設定されました。その後、特別生産枠等単年度枠、新規就農・アウトイン異動等に伴う目標数量の追加等を行った結果、12年度の最終実質目標数量は全国で、7816千トン(11年度計画生産実績対比101.3%)となりました。用途別計画生産の内訳では、飲用等向け目標数量が4786千トン、乳製品向け目標数量が3030千トンとなっています。
なお、雪印事故後の生乳逼迫により、特に飲用向け生乳が不足基調となったことから、用途別計画生産の飲用向け目標数量及び実績値について、
  1. 当初予定の伸び率を上回った場合には、目標数量の伸び率による補正を行う
  2. 需要期(7〜10月)の拡大数量を除外する
といった追加緩和措置が、期中で設けられています。
※用途別計画生産については、「飲用向け」「乳製品向け」の目標数量を設け、指定団体間の調整を行うしくみです。




12年度計画生産実績は、北海道・都府県ともに、特に下期の失速状況を反映し、上記目標数量対比で97.8%、前年実績比99.1%となる7647千トンでした。この結果、目標数量に対して約169千トンの未達が生じる結果となりました。
用途別では、飲用等向け販売実績が4760千トンで、目標数量を約26千トン下回り、これについても未達となりました。しかし、指定団体別にみると、7指定団体において超過となり、飲用調整金対象ではあるものの、追加緩和措置によって全て適用外となっています。




計画生産実施の理念は「需要に見合った供給」を行うことにあります。12年度の生産動向に対し、国内の生乳需給は次のようになりました。
まず、飲用向け「生乳」ベースの需要量は6月までは低調でしたが、雪印事故後は様変わりし、堅調に推移したため、年度全体でも5066千トン・前年比101.4%と平成8年度以来4年ぶりに増加しました。しかし、品目別(製品ベース)の需要量でみると、牛乳は前年比101.0%と平成6年度以来の増加を記録したものの、加工乳(同84.3%)、乳飲料(同94.7%)は大きく落ち込む結果となりました。こうしたことから、牛乳と加工乳・乳飲料をプラスした牛乳類全体の需要は、前年比97.5%で引き続き減少しています。
乳製品向けについても、バターは需要の回復がみられたものの、脱脂粉乳は主な仕向け先である加工乳・乳飲料等の消費落ち込みやヨーグルトの頭打ちにより大幅に落ち込み、特定乳製品向け需要は約9%の減少となりました。その他の品目で生クリームは順調に拡大したものの、乳製品向け生乳需要全体でも前年比94.4%と減少を示しています。
この結果、12年度の生乳需要量は、8403千トン・前年比98.4%でマイナスとなりました。生乳生産が停滞基調に転換し、供給実績も8412千トン(カレント輸入分含む)・前年比98.9%と減少したため、12年度の生乳需給は、需要・供給ともに前年を1%程度下回る「縮小均衡」に終わったといえます。




最後に、こうした需給の動向を受け、「とも補償事業」の12年度実績及び実施効果について総括します。
販売不可能乳が発生した場合に、基準取引価格との価格差補填を行う「委託加工向け」のとも補償事業は、6月までは前年に引き続き、大量の余乳が発生したため、大幅に増加しましたが(4〜6月で対前年同期比172.6%)、7月以降は一変し、年末年始の学乳休止時期の発生で収束しました。年度全体では、助成対象生乳が38千トン・前年比60.1%と大きく減少しています。
また、基準年に対し、はっ酵乳等向けを拡大販売した場合、一定の乳価水準への補填を行う「その他乳製品向け」のとも補償事業では、計画段階で見込まれた助成対象数量が184千トン(対象生乳数量から基準数量を控除した数量)でしたが、生乳生産の失速のなかで牛乳が堅調に推移したこと等により、助成対象数量実績は、当初計画を下回る101千トンとなっています。
国の助成金及び生産者の方々からの拠出金を財源とし、全国協調のもとで当事業を実施していますが、「その他乳製品向け」生乳の乳代は概ね93円強(税込み、全国平均)、「委託加工向け」生乳は63円94銭(税込み、全国平均価格)を確保することができました。これにより、生産者の手取り乳価(総合乳価)としては、概ね前年並みを上回る水準が確保されたと推察されます。



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