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2001.spring Vol.10










本紙6・7号でもお伝えした疑似バター「ハイファット・クリームチーズ」の関税分類見直し問題にようやく決着がみられ、関税率がアップすることになりました。
昨年11月に開催された世界税関機構(WCO)の統一システム委員会で、昨年3月に続いて2度目の審査を行った結果、ハイファット・クリームチーズは現行の「チーズ」ではなく、「バター類似乳製品(デイリースプレッド)」に分類すべきものとの判断が再度なされたのです。
昨年3月のHS委員会で日本の主張が圧倒的な支持を受け、いずれ関税分類の変更が予想されていたためか、今年1月末までに輸出国であるオーストラリアから異議申し立てがなく、WCOが2月1日に正式決定。これを受け、財務省関税局では直ちに分類変更の手続きに入り、平成13年3月1日より施行されました。
関税率は「フレッシュチーズ」が従価税29.8%であるのに対して、「デイリースプレッド」は従価税29.8%に加え、1キロ当たり985円の従量税がプラスされます。今回、関税分類が「チーズ」から「デイリースプレッド」に変更されたことで、これまで1キロ500円程度で輸入できたハイファット・クリームチーズは、1キロ1,500円程度に引き上げられ、国産バターの価格(1キロ950円程度)よりも上回ることになります。これにより、バターの代替品として乳飲料等の原材料に使われていたハイファット・クリームチーズの輸入に歯止めがかけられ、過剰在庫を抱える国産バターの需要回復に大いに期待がもたれることとなりました。



ハイファット・クリームチーズはバターに酷似した乳製品で、乳脂肪率が60?78%程度もあり、バターの乳脂肪率80%に近い割合となっています。チーズという名前はついているものの、乳脂肪率20?40%程度といわれるナチュラルチーズ類をはるかに超える乳脂肪率です。さらに、タンパク質も非常に少なく、チーズ臭もほとんどない無塩バターに似た食味の製品です。
にも係わらず、これまで関税品目上はフレッシュチーズに分類され、一般のナチュラルチーズの関税率が課されていたため、国内では国産バターの2?3割近い安さで流通していました。見た目もバターに近かったため、酪農関係者からは「疑似バター」として問題視されていました。
オーストラリアなどから年間1万3,000トンが輸入され、アイスクリームや乳飲料、コーヒー用ミルク、デザート製品などの業務用として、ここ数年、使用が拡大していました。このままでは、国産バターの需要に悪影響を及ぼすことが懸念され、中酪をはじめとする酪農関係者がハイファット・クリームチーズの分類見直しを強く国に働きかけてきました。そのため今回の措置は、こうした地道な努力が実り、生産者の皆様の声が届いた歓迎すべきものといえるでしょう。
一方、最新の栄養学では、バターの健康価値の再評価も進んでいます。WTO体制下の厳しい酪農政策の転換期にあって、日常商品としてのバターの魅力が見直され、また業務用原料としての疑似バターの輸入に際し、抑止策が設けられたことは、国産バターの生産基盤の確保に当たり、近年にない朗報となりました。


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