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2001.spring Vol.10




13年度の計画生産対策の中心課題は、生乳生産が失速気味のなかで、増加が見込まれる需要に見合った生乳供給が確保できるか、 広域指定団体体制のなかで、生乳の安定的な供給責任と地域の酪農振興に配慮しつつ、いかに市場実態に即した効率的な生乳販売を実行できるか等です。


平成12年度の計画生産目標数量は、当初の目標数量(7,731.3千トン)に期中での追加設定数量や新規就農者に対する数量設定、アウト・イン異動による数量の変更等を加味した結果、全国で7,815.9千トン(実質目標数量)となっています。
中酪では1月末の段階で、各指定団体から生乳の出荷実績見込み調査を実施いたしましたが、その結果によると、12年度の計画生産実績は7,674千トン程度となり、目標数量に対して約140千トン程度の未達が生じる見込みとなっています。本紙でもお伝えしたとおり、12年度の上期では特に西日本を中心として生産が回復基調となったものの、下期に入ってからは全国的に失速気味に転じており、特に直近では停滞傾向を強めています。このため、1月時点の見込み数量よりも、さらに全国ベースでの未達数量が増加することも考えられます。


計画生産実施の基本的な理念は、「需要に見合った生乳供給」を行うことにより需給混乱を防ぎ、安定的な生産環境を創出することにあります。このため、計画生産の基礎となる全国の供給計画数量(目標数量)は、生産者代表や学識経験者により構成される生乳需給委員会での、生乳の需要予測結果に基づき策定されています。
13年度の生乳需給委員会から答申された需要予測数量は、8,510千トン(カレント未消化分の脱脂粉乳約3,600トンは含めない)で、12年度の生乳需要見込み数量の8,423千トンとの対比では101.0%となります。従って予測結果からすると、13年度においては、国内の生乳需要が増加に転じることになります。これは、飲用向け需要の好調さがある程度継続することが見込まれることに加え、12年度において低迷していた加工乳・乳飲料の回復や生クリーム・チーズ需要の拡大により、乳製品向け需要の増加が見込まれること等によります。
13年度計画生産の供給計画数量の設定については、3月6日に開催された、指定団体会長会議の場で、上記需要予測数量からチーズ向け数量と、カレントアクセス輸入分相当の生乳量を差し引き、インサイダー総量として7,730.8千トンで決定されました。これは、12年度の当初の供給計画数量と同水準であり、さらに2月時点の12年度の実績見込みを0.7%上回る数量となります。これを基にした、指定団体・都道府県・農協段階・生産者段階の目標数量においても、12年度の生産実績を上回る水準でありますし、最近の生産動向からすると、目標達成のためには一層の生産確保の努力が求められることになります。


13年度の全国の供給計画数量を踏まえた、指定団体別の目標数量設定、計画生産管理・運用等に関しては、従来から実施してきた新規就農者に対する目標数量の無償優先配分措置や、生産意欲のある生産者に対する個人別生産枠流動化措置等を引き続き継続・拡充することに加え、新たな手法を取り入れ実施することとなりました。
まず、全国の供給計画数量を基にした指定団体別の目標数量は、従来の目標数量を基本とした設定に加え、生産者から申請された13年度出荷希望数量が加味されます。これに12年度の指定団体別目標数量に対する超過・未達の削減数量を差し引いたものが、指定団体の基礎目標数量となります。また、この目標数量を踏まえた期中での計画生産管理・運用等に関しては、年度途中での指定団体毎の目標数量の追加設定・貸借調整措置、需要期における出荷増加数量の計画生産管理からの除外等が新たに設けられました。
こうしたことを通じ、より地域の生産実態・酪農振興に配慮した柔軟な計画生産を進めるとともに、需要期生産の促進により需給の均衡を図ることとしています。


需給委員会答申の生乳需要見込み数量には、未確定であったハイファット・クリームチーズに対するHS委員会の裁定決着や、生乳取引環境改善緊急対策事業によるバター在庫の売渡し、牛乳表示の改善等の波及効果は、織り込まれていません。今後の動向は不透明ではあるものの、これらの影響により、需要予測数量をさらに上回る水準で需要が拡大することも考えられます。こうしたなかで、仮に現状での生産動向が13年度も継続した場合は、需要に対して供給が大きく不足する事態を招く可能性もあります。
13年度においては、全国段階・指定団体においては需要期・不需要期を踏まえた計画生産の運用、効率的な販売体制の整備・需給調整の的確な推進に努め、さらに農協・生産者等の地域段階においても、需給動向をにらんだ生乳生産の強化を図る等、関係者が一丸となった生産への取り組みが、これまで以上に求められるといえるでしょう。





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