スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



2001.WINTER Vol.9
VOICE





北海道
平成11年7、8月は酷暑の影響で、大幅に生産が低下したものの、涼しさの戻った9月から平成12年5月までは、生産量は増加傾向で推移しました。が、同年6月以降は停滞状況に転じています。中酪がまとめた用途別販売実績によると、受託販売乳量(平成12年4?11月)累計は99.4%となっています。道内でも地域差はありますが、平成11年11月以降、特に高い生産の伸びを示していたこともあり、残念ながら、今後大きく回復するとは考えられません。


都府県
平成11年の猛暑により生産の低下を招きましたが、その後は気候要因等から1頭当たり乳量が増加したこと、地域的に乳牛更新が進んだことや計画的な導入が行われたこと、分娩時期のズレ等が生じたことから、徐々に増加傾向を強めました。特に近年、落ち込みの大きかった西日本地域では高い生産の伸びが続いていましたが、直近では様相が一変しています。平成12年11月の受託販売乳量では、いずれの地域でも前年割れとなり、都府県全体でも98.0%と大きく低下しています。都府県では、総じて酪農家戸数・経産牛頭数の減少に歯止めがかかっていません。北海道と同様、平成11年下期の生産が高い水準で推移したため、今後は平成11年の水準を上回るのは困難と見込まれます。




前号でもご紹介した通り、平成12年度の生乳需給は、6月まで生産増の中で飲用向けが不振を極め、販売不可能乳の発生、結果としてバター在庫の大幅積み増しという、非常に深刻な状況も見られました。しかし、雪印中毒事故の発生後、消費者の嗜好が牛乳にシフトし、代替供給を行う他のメーカーも牛乳中心に製造するなど生乳使用率が高まり、飲用向けの生乳需給は好転しています。また、同年の乳価交渉の結果、多くの指定団体が「はっ酵乳向けとも補償」に取り組み、はっ酵乳向け取引の新規設定・拡大が進められています。特に10月以降、はっ酵乳向け販売量が大きく増加しています。「飲用牛乳等向け(飲用向け+はっ酵乳向け)」は、直近(11月)でも全国で前年度に比べ1.8%伸びています。従って都府県の加工発生は、7月以降は大幅に縮小しています。直近では生産が収束傾向に転換したこともあり、全国的に生乳不足となっています。




中酪では、これまでの実績動向を踏まえ、品目別に需要予測を行い、平成12年度の生乳需給の見通しを立てました。生乳需給(国産)については、北海道・都府県ともに下期の生産が前年水準を下回ることが見込まれるため、現状のままで推移すれば、年度合計で対前年比99.6%程度(前年度は閏年で1日多いため、実質的には99.9%)になると予測しています。輸入分も含めた国内総供給量は、前年比で99.8%程度です。
一方、生乳需要については、雪印中毒事故の影響等による生乳使用率の高まりが年度内もある程度継続されるとし、飲用等向けは結果として、前年度を若干上回る100.2%程度(閏年加味で100.5%)と見込んでいます。
また、乳製品向け需要は、96.5%程度(閏年加味で96.8%)と前年度を下回ると考えています。これは特定乳製品向け(バター・脱脂粉乳等)需要の減退が大きな要因です。バターはわずかに前年度需要量を上回ると見込まれますが、脱脂粉乳は、脱脂濃縮乳・脱脂乳へのシフト、主な仕向け先である加工乳・乳飲料の大幅な需要減等によります。その他の乳製品(生クリーム・チーズ等)の需要は、全体で前年度並み程度の水準と見込んでいます。
12年度の生乳需給を総合すると、わずかに供給が需要を上回り、乳製品の在庫が前年度末より増加し、「やや縮小均衡」となる見通しです。
国では、新制度移行に当たり、生乳の取引市場の環境整備として11月に緊急バター対策を決定しました。また、バター過剰在庫の要因として懸案のハイファットクリームチーズが世界税関機構の委員会で3月同様、再度「バター類似品」と裁定され、在庫解消に光明も見えてきました。
ただし、牛乳の消費は向上しましたが、加工乳・乳飲料が大幅に落ち込み、これらを含む「牛乳類」全体での消費動向を見ると、むしろ前年度を下回り、生乳の需給動向に影響を及ぼす不安材料として挙げられます。今後、生乳需給の混乱を招かないためにも、着実な牛乳・乳製品全体としての需要の拡大と併せ、全国段階・指定団体・会員県連、農協及び生産者が連携し、的確な配乳調整を進めつつ季節余乳の発生を抑えるよう、需要期生産への誘導による安定的な供給体制の確立が求められているといえます。



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