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2000.SUMMER Vol.7
VOICE



気になる牛乳・乳製品の消費動向

生乳生産が回復傾向
 平成11年度の計画生産の実績は、北海道が前年比0.4%の伸びに対し、都府県は1.3%前年を下回り、引き続き減少となりました。月別動向では、10月までは特に東日本における猛暑の影響などにより、平成10年度の生産量を下回って推移しました。しかし、11月以降は、前年比が増加に転じています。都府県の酪農家戸数・経産牛頭数は、ともに減少傾向を辿っていますが、晩秋に入ってから天候が安定したことに加え、乳牛の更新が進んだことなどから、1頭当たりの乳量が大幅に増加したためと考えられます。
 平成12年度の計画生産は、本年3月の指定団体会長会議において、飲用牛乳の消費の停滞傾向やバター在庫の増加など、需給上の問題はあるものの、生産基盤の維持などに配慮する方針から、年度途中でこれ以上の需給悪化があった場合は見直しもあり得るとしながらも、前年並みの数量で実施することを決定しました。一方、12年度の飲用牛乳の消費については、遺憾ながら、引き続き停滞あるいは減少の傾向であり、需給は改善の兆しが見られません。
 中酪では毎月、各指定団体から報告される生乳の受託販売実績を取りまとめて公表しています。が、直近の4月、5月においては、都府県で生産の回復傾向が強まり、地域によっては上昇する傾向となっています。その結果、とも補償の対象数量も倍増せざるを得ないなどの事態を招いています。これらにより、バター在庫については増加の一途となりました。こうした傾向が続き需給上のバランスが悪化した場合、前述のような年度途中の見直しといった、需給管理上の厳しい事態も予想されます。



携帯型の健康志向飲料が牛乳と競合
 4月、5月の受託販売実績によれば、飲用等向け処理(需要)量は、引き続き停滞し、前年比で2?3%の減少となっています。しかし、はっ酵乳等向け及び生クリーム向けは堅調に推移するなど、明るい兆しも報告されています。
 競合飲料の消費動向としては、清涼飲料が総じて好調な伸びを示しています。特に最近では、野菜・果物素材の飲料、豆乳類、ミネラルウォーターが大きく伸び、健康志向の点で、飲用牛乳と競合していると考えられます。また、飲料市場では、小型ペットボトルを中心に、商品の多様化とモバイル化(携帯化)が進んでいます。缶入り飲料とは異なり、再栓し持ち運べる容器の利便性が、新たな飲用機会を創出しています。
 乳製品向け処理量は、とりわけ生乳生産が増加に転じて以降、都府県を中心に増加しています。その結果、前号でもご紹介した通り、バター在庫は11年度末で5.6カ月(前年比1.3カ月増)と極めて高い水準に達し、深刻な問題となっています。業務用バター需要の低下の大きな要因とされる輸入疑似バター(ハイファットクリームチーズ)は、世界税関機構のHS委員会で、チーズではないとの決定がなされました。が、残念ながら、当事国の異議申し立てにより決着が今秋に持ち越されたため、当分の間、事態の好転は期待出来ません。
 以上のように、最近の生乳生産は、とも補償対象生乳が倍増するなどの季節的需給ギャップが拡大し、乳製品の需給は複雑な様相を呈しています。市場需要の増減期を把握し、通年で安定した供給体制を敷くことにより、乳業メーカー等が、国産生乳を基本とした商品戦略を展開出来るような枠組みを作ることも重要と考えられます。
 平成13年度から新しい制度に移行するにあたり、生乳需給の混乱を避けるためにも、計画生産に基づいた適切な生乳生産が、一層求められているといえます。



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