スゴいぞ!牛乳。飲んだら、ええよう。  >>>                             



1999.AUTUMN Vol.4
VOICE



最近の市場動向


脚光を浴びる宅配システム
宅配
牛乳市場の新たな販路開拓策として、宅配への注目度が高まっています。平成3年度に牛乳販売店1店舗当たりの月間販売額が2百万円を超え(グラフ)、以降、宅配は順調に伸びてきました。大手メーカー数社でも、過去3年間で、売り上げ高や商品別契約本数などで数%から2ケタ台の伸び率を記録しています。これは、女性の社会進出の増加や団塊の世代の中高年化に伴い、「買い物に行く時間がない」「たびたび買いに行くのが面倒」「持ち帰るのがかさばるし重い」といった購入者側の生活事情も影響し、決まった時間帯に自宅に届けてもらえる宅配というシステム自体の利便性が、改めて見直されてきた結果といえるでしょう。
こうした需要を背景に、乳業メーカー各社は、牛乳販売店の経営強化に近年力を入れてきました。

●店の適正なマネージメントを目指す経営モデルの提示。
●お試し商品の頒布など対象地域での各種販促策の提供。
●人気の瓶容器の復活や、品質保持容器や保冷箱の開発。
この他にも販売店の活性化を積極指導しているようです。 また、消費者の健康・安心志向を反映し、宅配ならではの専用商品の開発が進んでいます。しかし、スーパーや量販店で価格競争に陥りがちな普通牛乳との差別化から、乳飲料や加工乳が宅配の主力商品となっているのが現状です。


図表
新鮮でおいしい、生乳の価値を宅配で

牛乳市場全体が低迷する中、宅配チャネルが成長するのは喜ばしいことですが、生産者にとって何より目指したいのは、生乳需要の大幅な増加です。そうした観点からは、農協系プラントをはじめ、一部メーカーで開始されている産地直送の普通牛乳、あるいは低温殺菌牛乳といった「生乳ならではのおいしさ」を訴求する宅配商品の伸長に期待がかかります。
一般小売店頭を通さず、工場から直接、高品質な牛乳を家庭に定期的に届けられる宅配は、価格面での安定はもとより、牛乳本来の新鮮さと風味を、消費者が再認識できる有効な方法のひとつといえます。加えて各工場が製造ラインを増やしつつある、牛乳の品質保持期限を従来の8日から13日に延ばすESL技術による普通牛乳の登場もまた、牛乳の品質・鮮度保持に貢献するものです。これによって、牛乳販売店の経営上、商品在庫のロスを減らす効果も考えられることでしょう。
ともあれ、昭和40年代末には全国の家庭の半数が利用し、現在は1ケタ台にまでシェアが落ち込んでしまった宅配が、業界の取り組みもあって復活の兆しです。これは、家庭用牛乳消費の裾野を広げる朗報として、私たち生産者も歓迎すべきことではないでしょうか。
今後は普通牛乳の宅配強化に期待したいものです。



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