1999.SUMMER Vol.3
VOICE



Report

消費の現場から


構造的な停滞基調が続く最近の生乳生産。昨年度の計画生産の実施結果では、全国的に前年実績を下回り、また酪農戸数・搾乳牛の飼養頭数がともに減少したため、一頭当たりの乳量の増加をもってしてもその回復が厳しい現状です。 こうした生乳生産の停滞や市場における新しい競合商品の定着と関連して、牛乳・乳製品の需要と消費に、大きな影響が出始めています。

生乳生産の目標達成に厳しい視点
平成10年度の計画生産では、北海道が前年比1.8%の伸びに対し、都道府県では2.5%下回る結果でした。2月1日現在の酪農家戸数では、全国で前年を5.3%下回り、3万5千余戸となりました。とくに東北・近畿・中国地域では7%程度と減少幅が大きくなっています。また搾乳牛飼育頭数も、全国で2.4%減っており、一頭当たりの乳量が増えても、カバーしきれなくなっています。 中酪では毎月、各都道府県指定団体から報告される生乳販売実績を公表していますが、直近の4、5月度では、北海道もわずかに前年を下回り、都府県では2〜3%減となるほど、依然として生産回復の兆しがありません。 今年度の計画生産は10年度の実績数量の100.7%と設定していますが、その目標達成が厳しいといわざるをえません。

競合飲料の登場で弱まる牛乳消費
10年度の飲用牛乳向け処理量(需要)は、前年比で1.9%低下しましたが、4、5月度の受託販売実績でも前年同月比4%程度減と、深刻な結果でした。 10年度の乳製品向け需要は、景気低迷による消費不振などに加え、国産脂肪にかわる擬装乳製品が一定程度定着していることから、バターは7.6%の落ち込み。このため、3月末の乳製品在庫は、脱脂粉乳は2.5ヶ月程度と前年に比べ0.3ヶ月減少し、バターは4.3ヶ月程度と、前年に比べ0.8ヶ月もの大幅な積み増しとなりました。 ヨーグルトだけは、新商品が投入される春先にTV番組で紹介されたこともあり、その後も好調を維持しています。 しかし、もっと牛乳を飲んで欲しい若い世代にはニアウォーター(水のように透明な清涼飲料)が定着し、さらに新製品の参入が続いているため、その人気には衰える気配がありません。3月末にはコンビニでもドリンク剤販売が解禁され、牛乳の苦戦が予想されています。 牛乳・乳製品の消費拡大には、こうした消費者心理を捉えた上での啓蒙・販促活動と、需要に見合った生乳生産量の確保が求められます。また飲料等の需要期の夏にも、夏らしい天候を期待したいところです。

グラフ


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