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1999.SPRING Vol.2
VOICE



知っておきたいこんな補助事業


酪農の現場を訪ねて(1)--みどり牛乳農協
農協が乳肉事業と生産者を結ぶ。
今回は愛知県・知多半島、半田市を含む1市5町の酪農組合からなるみどり牛乳農協での取り組みについて紹介します。
みどり牛乳農協は、全122戸の酪農家のうち77戸が肥育経営を取り入れており、さらにその2割強が年間売上1億円以上という全国有数の乳肉複合先進地です。
補助事業のひとつ、乳肉事業についても、
(1)高品質初生牛生産奨励金(自ら生産した)初生牛を、1ヵ月以上哺育・出荷した場合に、奨励金7,000円/1頭)、(2)乳用雄牛等奨励金(自ら生産した初生牛を、哺育育成し肉用子牛生産者補給金制度に登録されているものに、奨励金1万4,000円/1頭交付)、(3)経産牛肥育促進事業(経産牛を3ヵ月以上肥育し、肥育効果があったものに、奨励金2万円/1頭交付)、(4)経産牛繁殖利用促進事業(経産牛に肉用種の受精卵を移植し受胎されたものに、奨励金4万3,000円/1頭交付)、すべてのメニューに積極的に取り組んでいます。
「毎年、計画書の提出時期になると、お宅はどの事業に取り組むか準備をしておくようにと各戸に知らせを出します」とは、酪農部担当の渡辺隼大さん。肥育牛の飼養が平均101.5頭と多いため、ことに分娩が集中して忙しい夏場、申請書類等に不備がないよう心配りが欠かせません。奨励金を有意義に使ってもらうべく、だから各戸の飼養データの把握も正確です。
「補助事業はありがたいですね」と渡辺さん。
輸入飼料代の高さや牛肉自由化などに思いをはせると、国の補助事業の果たす役割の懐深さを実感するのだそうです。
複合酪農家の約7割が肉用子牛生産者補給金制度に登録していて、その黄色の耳標をつけた子牛が、乳用雄牛等育成奨励金の対象に。そして2年後には「知多牛」としてお目見えすることになります。


知多牛ブランドが酪農家経営を支える。
妙見部長、都築さん、渡辺さん

「昭和54年の計画生産を機に、規模を拡大したい若い人たちのエネルギーが肥育を取り入れた経営へとシフトし、急速に増えた。肉は苦労に応えてくれますから」と、妙見辰郎酪農部長。現在、管内約2万頭中、乳牛とF1主体の肥育牛の割合は半々です。
「みどり牛乳農協は生産者と手を携え、乳肉複合経営の大型化への基盤作りを進めました。また環境美化運動も進め、地域住民との共存共栄を大事にしてきました。この基盤づくりで、生産者の余力が肥育経営に活かせました。F1でも肉質最上等級のA5をもらえるようになりました」と妙見部長。また、平成元年に結成したET部会にとっても、経産牛繁殖利用促進事業の高額な奨励金も、大きな支えとなっているようです。
みどり牛乳農業の事例を紹介しましたので、皆さんも乳肉事業を有効に活用してみたらいかがでしょうか。


奥が深い肉牛に魅せられた
「肥育はね、自分で丹精込めたのが評価されるから、うれしいね。極端にいうと共励会で最優秀を取る人が毎年変わるほど、奥が深い」。収入は乳と肉半々ながら、頭数が多いだけに奨励金も多く、乳肉事業に感謝するといったところ。受賞歴を誇る都築さんは、知多牛品質向上の牽引役です。

都築隆さん(54歳)。肉牛部会・会長。乳牛136頭肥育牛238頭(ET17頭)


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メインはあくまでも搾乳
「お産にF1が楽だってことで少しずつ始めた。F1子牛が安くて売れなかった時期があって、仕方なく自分で育ててたら、かなりいい値で売れたので増やした。収入は2対1で乳、僕は乳が主体と考えてますが、奨励金は経営にとって、とても助かってます。乳肉事業を通じて皆と肥育について話せるのも心強いですね」。若き担い手の榊原さんは、フリーストールを計画中です。

榊原守男さん(37歳)。乳牛87頭肥育牛147頭。


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