1999.SPRING Vol.2
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平成11年度計画生産対策の概要と課題


見出し
イラスト 中央酪農会議は、3月2日の指定団体会長会議において、99年度計画生産目標数量は7,809千トンで98年度実績の見込み量と比べ、100.5%とする増産型の方向を決定しました。これは、2月10日の生乳需給委員会で明らかにしました。1999年度から3年間の生乳需要の見通しの試算を受け、指定団体の供給数量として決定したものです。99年度の生乳需要見込み量(チーズ向けを除く)は8,299.6千トンで、98年度の需要見込み量の99.8%となり、わずかに減少する見通しですが、生産実績の見込み数量に比べると増加となります。
この生乳需要見通しをもとに、WTO協定で輸入義務(カレントアクセス)として現在、脱脂粉乳及びホエイが輸入されている数量を除き、すべて国産で供給することを基本に、増産の目標数量を決定しました。特に、都府県で生産が減少しているため、生産拡大が見込める指定生乳生産者団体には、生産振興調整枠を新設し配分するほか、98年度に設けた新規就農枠も継続していきます。


生乳需要は微減見通し、期待される需要の拡大

99年度の需要見込み量を用途別に見ると、飲用牛乳等向けが4,993.5千t(98年度需要見込み対比99.3%)と減少しています。これは、ペットボトル飲料などとの競合や景気低迷による消費不振、また少子高齢化などによるものと考えられます。ナチュラルチーズ向けを除く乳製品向けの需要見込み量は、3,306.1千t(同100.6%)、ナチュラルチーズ向けが298.8千t(同103.2%)、と前年度より需要が伸びると予測しています。この乳製品向け需要の主な内訳としては、脱脂粉乳が前年並み、現在在庫が積み増し状況にあるバターが若干減少、生クリームでは安定的な伸びとの予測です。

予想以上に長期化する生乳生産の低迷

生乳生産の低迷は、都府県でその傾向が顕著に現われ、北海道も一時の勢いを失っています。長引く乳価低迷、環境問題などにより、生産者の意欲が低下しているためと考えられます。しかしながら、需要に見合った計画生産を図り、乳製品の追加輸入を避けるためには、98年度の生産実績の見込みを基本に100.5%と増産していく必要があります。このために、新規就農枠(1万t)を継続し、なおかつ、生産拡大が見込める指定団体に上乗せ配分する生産振興調整枠(4万t)を新設したのです。

■生乳の需要予測数量
(単位:千トン、%) 
  年度 1999年度 2000年度 2001年度
区分   98年度
見込み対比
 99年度
見込み対比
 2000年度
見込み対比
飲用牛乳等向け 4,993.5 99.3 4,984.7 99.8 4,969.9 99.7
乳製品向け(除くチーズ向け) 3,306.1 100.6 3,324.5 100.6 3,354.1 100.9
小      計 8,299.6 99.8 8,309.2 100.1 8,324.0 100.2
チーズ向け 298.8 103.2 306.0 102.4 313.0 102.3
合      計 8,598.4 99.9 8,615.2 100.2 8,637.0 100.3
表中の数値は、カレントアクセス分を含む。

用途別計画生産の継続実施

99年度も、都道府県別に飲用向け枠と乳製品向け枠を設ける用途別計画生産を引き続き実施することになりました。これは、行き過ぎた飲用向け生乳の販売競争を避け、それぞれの需要に見合った生産・販売をめざすもので、その実行を担保するため、「飲用とも補償」も実施します。すなわち、飲用向け生乳販売量が飲用枠を1.0%超えた場合、超えた数量に応じて10円/kgの調整金を支払い、超えた数量の1/2を翌年度の飲用枠に上乗せ配分するというものです。
これは、指定団体を広域化(ブロック化)し協調体制を進めるうえで、効果的な広域需給調整への経済的な足がかりともなるものです。また98年度から実施されたブロック毎の加工設定にともなう加工率の平準化による影響を緩和するという側面も持っています。
拡充強化する販売不可能乳のとも補償

98年度から、無理に余乳を押し込まない、結果として委託加工になったものは全量をとも補償の対象とする「加工とも補償」を実施し、一定の要件に合ったものは農畜産業振興事業団からの補助の対象としています。99年度も補填水準を引き上げるとともに、予期しない販売先乳業者の廃業等への対応を含めるなど、内容を強化して継続することとなりました。
バター在庫の積み増しなど、最近の乳製品需給が緩和傾向にありますので、余乳のリスクを一部の生産者だけが負担することのないよう、用途別計画生産とともに「加工とも補償」は重要な仕組みといえます。
計画生産は、今や過剰を抑制するものではなく、再生産を確保し、需要に応えるとともに、生産者の間で無駄な競争を避けるためのものです。今後、価格政策の見直し、市場原理の導入が予定される中で、わが国酪農を維持・発展させるため、自主的な計画生産・需給調整は欠かすことができません。生産者の皆様の一層のご理解とご協力をお願いいたします。


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