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1998.WINTER Vol.1
VOICE



Report
酪農教育ファーム推進委員会スタート


平成10年7月10日、中酪は教育関係者と酪農関係者の連携・協力による「酪農教育ファーム推進委員会」を発足させました。委員長には、かねてより酪農の教育的価値に着目し、教育界への啓発運動に尽力されていた羽豆成二氏(玉川大学文学部教育学科講師・前全国小学校社会科教育研究協議会会長)が就任し、合わせて以下の目的が採択・発表されました。

酪農教育ファーム推進委員会の目的

  1. 第一次産業としての「酪農」の役割とともに、「酪農生産の場としての牧場」及び酪農の立地する農村の自然景観・生活文化を通して、環境保全やリサイクル型農業生産などの社会的テーマも視野に含め、農業・酪農のもつ多面性・公益的役割について国民に訴求していく。
  2. 「生命産業」とも称される「酪農」の産業としての特性を生かして、子どもたちの「生きる力」を育む「心の教育」を支援するとともに、生産者自身への啓発も図っていく。
  3. 原料乳を生産・供給する酪農生産の工夫や努力、地域農業との結びつき、自然との共存の仕組みや牧場の動物たちの生態、さらにわが国の食生活における牛乳・乳製品の優れた役割などについて、より確かで詳しい情報や知識を学校教育や地域教育の場を通して普及・啓発していく。
  4. 酪農生産現場の牧場を、「教育の場」にふさわしい機能、環境を備えた「酪農教育ファーム」として整備するとともに、生産者に対しても指導者としてふさわしい教育・指導を実施する。
  5. 上記の目的に沿って、教育現場、酪農生産現場にふさわしいシステムや教育プログラム、教育ツールの開発を図るとともに、その浸透をめざしていく。

教育界においては、2002年より完全週5日制の導入するとともに、一般教科の学習時間を減らし、小学校高学年、中学校、高等学校の事業で、学校が自由に学習内容を決定できる「総合的な学習」が開始されます。
従来の「詰め込み型学習」から「感性や創造力」など五感を育む学習、子どもたち自身が自発的に研究・学習する力をつけるとともに、「命の大切さ」や「生きる力」を育むことに重点が置かれています。
一方、酪農生産現場では以前より地域の幼稚園や小学校・中学校の見学・体験を受け入れており、農業学習・体験学習の場として重要な役割を担っています。また、乳製品の自由化・市場の国際化という厳しい環境の中にあって、市民との交流や積極的な体験学習の受け入れによって、生産現場への理解や国産牛乳・乳製品への信頼と消費拡大を図ろうとする動きが全国各地で活発になってきています。
しかし、多くの場合、その活動はボランティア的なものであり、生産活動に従事する時間や休憩時間をさいて実施されており、生産者に対し労力的にも経済的にも大きな負担を強いているのが現状です。
教育ファーム先進国と称されるフランスにおいては一般生産農家約800戸を含む1,200ヶ所の教育ファームが存在し、農業省や文部省、青少年スポーツ省等の行政機関の支援の下に「農家の収入増=農業の持続」をも可能にする、新しい農業・環境教育システムとして社会の高い評価を受け、近年著しい増加をみせています。
「酪農教育ファーム推進委員会」は、こうした点にも注目し、8月後半に海外調査団を送り出すとともに、わが国教育界への啓発を図るため、10月・北海道十勝地方を皮切りに、全国5ヶ所で教育関係者を対象にしたセミナーを実施中です。
また、全国の小学校の総合的な学習に対応する教育ツールの開発、酪農現場で使う教育資材の制作も進めており、来春には全小学校、そして、希望する酪農家への配布をめざしています。


フランスの教育ファーム
都会の子どもたちに農業を紹介するパリ市営の教育ファーム「ジョルジュ・ビル」


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